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第28回前編_鳥の糞と落雷_耽楽的即興感想_ソースティン_ヴェヴレン「有閑階級の理論_」(1899)__2024.8.12

片倉洸一の耽楽的音声記録
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夏休みに入ったのはいいものの、その前週では休みを阻むかのように色々とありつつ秘かに読み続けていた本について即興で感想を述べる事に。

1:夏休み前のあれこれ
・電車通勤でできる事
・ある日の帰り道で雷雨に追いかけられて死の予感―「同じ日に鳥の糞と落雷に見舞われて死んだ人」になる確率はどれくらいだろう
・胃カメラ検査において鎮静剤から生じた死の希望的想像―死ぬ時もこうならいいのに
・叔父についての知らせ―父方の親戚の癌連鎖にうんざり

25分頃から
2:耽楽的即興感想 S・ヴェヴレン「有閑階級の理論」(1899)
急遽始まった新企画。せっかく読み終わった本について下書きなどせずあえて即興で感想を頭の整理のために語る。

・転職決定時にうろついた神保町にて偶然「顕示的浪費」というワードに惹かれて購入―「顕示的」な例なら現代SNS、ネット社会に無数にある
・ヴェヴレンの人類史観―大きくこの2段階に発生した本能が人類の思考習慣に深く根付いて様々に作用する。
♡平和愛好社会―自然の中で生存するので精一杯の時代、人類史上最も長い時代。→平和愛好的な本能(無私、善意、非競争的)、様々な知識を無目的に蓄積したがる「知的好奇心」、それを有用性、目的に沿って制限しながら進化しようとする「製作者本能」が発生。
※ただしこの時代にも当然ながら暴力沙汰や殺し合いはあった。一時期の文化人類学における「未開文化」を理想像として、彼らの社会に犯罪行為がないかのように美化していた作為に対する予防はしっかりしてるヴェヴレン。

⚔野蛮略奪社会―人類社会が巨大化、富の所有と蓄積が可能になり、自然から何かを得るより他のヒト集団から略奪するほうが効率的になった結果、集団同士での戦争が重要な生存手段になった時代。
→敵から略奪できるだけの武勇とその技術、他人より優れている証拠である超自然的な力、神格的な要素、他より富や奴隷といった所有を多くしている事が重要。その結果、人間社会では力の差に基づいた身分階級が明確に形成され、力の証明のためには略奪するだけでなく有用的な用途以外にいかに浪費できるか―「顕示的浪費」をできるかが重要な指標になった。それが名誉、評判に直結する。
↓そして…
★産業社会―人類の生産手段、産業手段がより巨大化して他人から略奪せずとも生存可能になった時代。
→産業に従事する階級の人間は野蛮略奪的ではなく平和愛好的な資質の方が重視されていき、一種の先祖返りが起こる。かといって富を所有して産業に従事しなくてもいい有閑階級には野蛮略奪的な資質、習慣が保存され続け、有閑階級の文化、規範が他の階級へも普及する効果も与える。
※この結果、宗教に対する人々の態度の変化(有閑階級内、聖職者階級では熱心な信仰が保存されるが、産業に従事する階級では信心が薄れていく)が起こるような変化が社会の様々な面で生じる。
また、有閑階級内でも平和愛好的な因子が強くなった「変異種」が起こって慈善事業や社会活動を行ったりするようになる。しかしそれでも人類は野蛮略奪性を払しょくできるわけではない…という分析が面白い。

・顕示的浪費の普遍性―金だけでなく時間も含まれ、「自分はいかにこうした事に金と時間をかけられるぞ」という顕示からは人類は逃げられそうもない。昨今のアウトドアブームを例に挙げながら大いに納得。
→顕示的浪費は「教養、古典」教育の面でも大いに作用。教養や学歴の習得=「自分はこんな非有用的な事にこれだけの時間と金を浪費できる」という証明。しかし「古典」も固定的ではなく、人類の略奪野蛮的な名誉の証明になるのであれば何であろうと当てはまり得る。

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