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a noisy room diary❅*(17)

『picnic at hanging rockみたいだね』

 南病棟では1週間に3回入浴が(月、火、金)できるのだ。だいたい順番を待ち4〜5人ずつ入るのだ。
 基本、まずはシャワーでキレイにキレイに身体を洗う。それから湯船へ浸かるのだが、この湯船が中くらい温泉のようで「はあ〜極楽だっぺよ〜♫♨」なのです(受取り方は、まあ銭湯のような感じでもいいかな〜)。
 「リリコさんお風呂ですよ〜」と呼ばれると本当に嬉しい。「わーい、お風呂だ〜」と病棟の中を私は小走りする。
 それから洗濯なのだが、洗濯1回100円である。
私は洗濯洗剤を切らしていた為、入浴後、シャンプーを投入して洗濯をした。…まあ洗えないことはないでしょ。
           ✴*
           *✵
           ✳*°

 18:00夕食だ。
ロビーでみんなTVを消して黙々と食べる。本当に食べることが楽しみのひとつなのだ。一番の楽しみかもしれない。
 私は3食きっちり食べている為、体重は確かに増加している。が、薬の副作用だろうか?身体を動かすたび、頭の方、又は空間がズレる感触がするのだよ(ん〜…これが副作用のめまいなのかな?)。
 
 夜19:00。
私が洗顔していると洗面所の鏡に他の病室の暗い窓に、夜の闇より一層暗い黒い影がスッと通り過ぎていくのが見えた?映った。ここは2階なんですけど…。酷く恐怖なんですけど…😱
 急いで私は自分の病室へと戻り、窓のブラインドカーテンを完全に閉じた。←私の眠るベットは窓際なのだ。
 少ししてから私はその鏡に映った黒い影の件についてナースへと伝える。すると「ここは病院だし長い歴史もあるからね。見えるか見えないだけのことよ…。リリコさん見えたのね、フフフ…」とのことだった。←フフフ…って何ですか?
 「私、出来るなら見たくないです。今夜は睡眠薬を1回で2錠全部飲んで早寝します」。
「リリコさん、1錠ずつだから。どうしてもまた眠れない時はまた1錠よ。センセイにそう言われているからね。無理しないでね、フフフ…」と融通なしのナース。

          ❁*°

 20:00。夜の薬を貰う時、宇宙交信者のスミレさんと少しだけだが会話を交わす。

 「リリコさん、あなたもう少しで退院なんでしょ?
いつ頃ここからいなくなるの?」。
 「来週の次の週ですかねー…」。
 
 宇宙交信者のスミレさんと初めて会話を交わす。
なんだかスミレさんは、企業で働く仕事の出来る女上司風に感じられた。
あと彼女の“ここからいなくなる”というセリフに、
私は映画『ピクニックアトハンギングロック』を思い出す。
(そうそう本当にピクニックアトハンギングロックの少女達はどこへ行ってしまったのだろうか…?)。
 
 「スミレさんの退院はまだなのですか…?」。
 私の質問にスミレさんはコクリと静かに無言で頷いてから薬を飲んで、またロビーの角で宇宙との交信を始めた。

 21:00病棟消灯。リリコ就寝。←だいたい30分後に目覚めてしまい、ナースステーションへ眠剤を貰いに行きますがね…。時々、眠剤なしでも眠れる日も出来るようなったの。でもやはり今夜も1錠ずつ貰いに行きました。
(だから1回で2錠頂戴よ!)

          ❆*
          *❅
          ❆*


 ある日の日曜日明け、午前6:00目覚める。
それとともに、すぐにワールドカップでアルゼンチンが優勝したことを知る。メッシ、万歳♪
もう朝早くからロビーのTV前から離れられない、私。
 メッシ、おめでとうございます。大、大、大感激ですよ♪ メッシ、ありがとうございます。


             つづく
 


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