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【お題小説】7.焼却炉でみた夢

 きっとキミはもうすぐ、オレがいないことに気づいて泣くだろう。
 とぼとぼと内履きのまま帰って、そしてお母さんにまた怒られるんだ。
「また靴なくしたの、これで今学期3足目よ!?」
 とでも怒鳴られるだろう。
 そして肩を震わせながらお風呂場で、外を歩いたせいで砂などで汚れた内履きを洗うんだ。

 ああ、ここから出られたらなぁ。
 キミがオレを履いているときみたいに、オレひとりだって軽やかに駆けていけたらいいのに。
 そうしたら、オレを汚いもののように摘みながら、クスクス笑ってたあいつらの顔を蹴り飛ばしてやるんだ。
 ついでに、キミが泣いている理由を訊いてもくれない、キミが悪いんだと決めつけているお母さんのすねもペシッてしてやる。
 それからキミの元に戻って、キミの足を包んで、どこかに行こう。
 キミは海に行きたがっていたな。
 遠いけれど大丈夫、オレとだったらどこまでだって行けるさ。
 キミはキラキラ笑って、走っていく。
 どこまでも、どこまでも――。

 ああ。誰かが近づいてきた。
 この足音は、用務員のおっちゃんだ。
 もう、火を入れる時間か。


お題はお題配布サイト「腹を空かせた夢喰い」様からお借りしています。

学校に焼却炉があった時代のお話。 

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