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#OOPARTS2024 岐阜に心置いてきた話

OOPARTS2024に二日間、行ってきました。

知らない人のために説明すると、岐阜県で開催されているフェスのことです。僕がものすごく好きな cinema staff という岐阜出身のロックバンドが、主催してます。

そもそもお前は誰なんだというところから始まる話ですが、まあとにかく、今岐阜県から遠い首都圏の家に帰ってきて、とにかく文字を打ちたいと思ってパソコンを開きました。今自分が感じていることをとにかく書き留めなきゃと思いつつも、誰かに読んでほしいという劣情も抑えきれず、エッセイにでも仕立て上げてみようかと考えた次第です。人生初めてのノート。いえーい。

ぼくは高校二年生のときから、cinema staffというロックバンドが好きです。アメリカに住んでて、アホみたいに病んでた高校時代にずっと聞いてた。それから時間が経って、日本に帰ってきてキラキラ大学一年生になり、野音で初めて彼らのライブを見てから、結構な頻度で行くようになっています。

しかしながら今回のOOPARTS2024、本当は行く気がありませんでした。大好きなバンドが地元で主催しているのにもかかわらず。
理由は、岐阜が遠いなと思ったからです。

私は怠惰な人間です。陰気な人間です。強情でもあります。
大学の友達に放課後、ボウリングに誘われて平気で断るような人間ですし、その場で飯を食いにいく流れを断ち切って改札を抜け、耳にイヤホンを挿したりします。帰り道にアイスを食べたいなと思ってコンビニのショーケースに目を輝かせてみるけれど、いつもチョコモナカジャンボを手に取る。袋を先に捨てればごみ出ないから楽だし。
OOPARTSから帰ってきた深夜一時、アイスが食べたいと思って同じようにチョコモナカジャンボを買った時に、そんなことを思いました。ぼくはチョコモナカジャンボが好きだから食ってるんじゃなくて、ゴミが出なくて楽で、でもアイスとしての要件を満たしているから好きなんじゃないかという不安。そんなものを、ぼくはいつもぼくが好きなものに対して感じ続けている。

客観的に捉えてみれば、ぼくはシネマスタッフのファンだしシネマが好きなんだと思う。何だったら、この前のリキッドほぼ全通したし。
なら、OOPARTSも行きなさいよ。そういう話。アイス食べたいんだったらさ、べたつく袋手に持ったままでいいし、手を汚してもいいし、それをみっともなく舐めとってみてもいいよ、ちゅぱちゅぱ、って。それは誰にも咎められない。そういう話のはず。ただ、岐阜は遠いよなあとか、夜行バスからフェスって体力持つのか?とか、楽しくなかったらどうしようとか、しょうもないことを長時間考え続けるような人間がぼくなんです。だから、首都圏という殻に籠っています。路線図って血管みたいだし、それなら東京は心臓みたいだと思う。遠くまで行ったら、出発点にまた帰ってこれるか分からないから。ずっと同じ場所でドクドクしていたい。

ただ、本当に来て良かったなと思います。

表題にある通り、岐阜に心を置いてきました。
非日常の中にいたのに、日常に戻そうとしてくる恒常性がひどく鬱陶しい。あちこちに文字が踊る東京、人の少ない日曜日の終電、完全に散っていた桜、歩きなれた道、要らないチラシがいくつか入ったポスト、寝起きの顔をして玄関に来た飼い猫。嗅ぎ慣れた匂いのする部屋、見慣れた壁紙と黒いキーボード。
岐阜の二文字に縁がなさすぎる表象だらけだった。キーン、とずっと耳鳴りがし続けて、首が痛い今のぼくにとって、その全てが嫌でした。いや、悲しかった。
猛暑、極寒。ライブの轟音、夜の自室。余りにも急激。サウナだと思えば気分もいいかもしれないけど、外気欲の時間がぼくにはない。第一サイクルを回せない。これは特別だ。明日にはもうファッキン大学が始まるし、本当は一刻も早く寝て、明日に備えるべきだ。でも、今はただ書いていたい。部屋に貼ってあるシネマのポスターが、今後は岐阜を背負ってくれると思う。本当に、岐阜県から来たんですね。貴方たち。

時間の流れっていうのはやっぱり密度で出来ているんだなって、痛感する。行きのバスはワクワクしてあんなに長く感じたのに、家に帰って来るのはすぐでした。新幹線だから当然か。でも、今ではこの二日間が春休みそのものより長くすら感じます。今年のクソ短かった桜と同じ。ぼくはどちらかというと、秒針を刻むような毎日を生きていたい。

演者の皆さんが、MCのときに重ねて言っていたことがあります。シネマスタッフっていうバンドはカッコいいって。何故なら、自分たちの地元で長い間、人を呼び込んで、巻き込んで、やっていることがすごいんだって。一日目、その話をIvyかストレイテナーか、誰だったか忘れましたがまあとにかく一日目に聞いた時、あまり実感しませんでした。しかし、二日目を終えた今、それを痛感しています。

色んな人の顔が見えて、本当にぼくは、感動しました。

髪色が大体変わっている、岐阜に集結したいつものライブ仲間。東京までは出てこれないけれど、こっち側ならと集結した見覚えのないシネマファン。
全力でイベントを楽しむ毛色の違うファンたち、例えば猫の眼に宇宙で全力オタ芸してたにーちゃんとか、HAWAIIAN6&dustboxで柵前周辺を率いたキングダムの将軍みてえな客とかね。肩を組み円を作ってぐるぐる回りながら踊るのはまあ分かる。皆でしゃがみこみ円を作ってクラウチングスタート全力ダッシュ、それは分からんし演者も笑ってた。めっちゃ楽しかった。いてくれてありがとう。

柵前のピンボール連携、空飛ぶぼくら、ビビるキタニガール、屈強なセキュリティ。あまりにも文化ホールすぎ。
お祭りだと走り回るキッズ、リストバンドを交換してない老夫婦たち、マルシェとキッチンカー、地域総出のボランティア。地元過ぎて挨拶して回ってる人とかいる。後方腕組み地元面とかいうOOPARTS専用の言葉を思いついた。蔑称ではない。

シネマが呼んできたバンドマンたち、見たことない人も多かったけれど、ほんとうに楽しかったな。色んな曲と生き様が体に染み渡っていく。マナーと愛があればいいHAWAIIAN6、でかく見えすぎたAsparagus、ボカロ好き中学生だったから暴れたいのに、歌って、立ち止まってしまうアンノウン・マザーグース、ヒトリエ、躍らせすぎKEY TALK、気持ちだけ向けさせるシネマ。違いすぎ。今、これ書いてたらお風呂が沸いたけどあまり入りたくない。染み出てしまいそう。俺がいろんなバンドから受け取ったOOPARTS出汁。あのハコの中でぼくらはぐつぐつしていた。どのバンドがどの具材だとかいう論争は全て託すけれど、ぼくたちが大根ね。
一日目の終わり、岐阜駅近くの居酒屋でしみしみ大根食べたんだけど、バカ美味かった。安いし。串揚げを大将が出してくれたタイミングで、美味しいっすって言ったら食ってから言えって言われた。最高。しばらく経った後、このOOPARTS出汁が効いたノートをぼくは食べようと思う。どんな味がするかな。

フェスって、良いと思った。みんな観る量、観る順番が違うから、感じ方も人それぞれ。何通りあるんだろう。帰りの電車で曲をおさらいしていたけれど、全部ほんとうによかったな。ぼくが岐阜で最後に聞いた曲は「海について」だったけれど、ぼくは今年最後の海に向かって、陸なしの海を見に行ったんだなって。OOPARTSの白いロンティーを青色で染めていきました。
あの空間に人が交錯している。温かさを感じた。熱源の在り処が見えた。システマティックな東京、ぽかぽかの岐阜県。

ぼくは小説家もどきで、とにかくバカげたことをしたいと思いながら毎日を生きているので、一つの到達点を見せてくれて、勇気を貰えました。実を言うと、小説家になりたいけどバンドマンにもなりてえなと思ってギター買っちゃった♪ 大学三年生なるのに♪ 俺も曲書いてみたい語りたい♪ ハッピーナウ! リアルハッピーナウ! SILLY THING<3

また来年、金ぴかの信長を見に行きます。
気が向いたら、また何か書く

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