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月光~妖精と龍~

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黒龍の暁飛(こうひ)と花の妖精ミリーの可愛いお話し。 少しずつ育む2人の思いは 友情?それとも・・・
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2023年11月の記事一覧

【お話し】月光~妖精と龍~(10)

【お話し】月光~妖精と龍~(10)

 暁飛の気持ち

 ケンカをした日から、ミリーはぱったり清涼の谷へ来なくなった。
以前は4、5日おきに来ていたのだが もう10日は姿を見せていない。
暁飛(こうひ)は毎日 谷でミリーを探したが、今日も来ていないようだった。

日当たりの良い石の上に、ゆみんが来ていた。

「ゆみん。」

暁飛は声を掛けた。

「あら、暁飛。あなたから声をかけてくるなんて珍しいわね。」

初対面の時あんなに怖がってい

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【お話し】月光~妖精と龍~(11)

【お話し】月光~妖精と龍~(11)

ミリーの気持ち

 あれから何日経っただろう。
ミリーは毎日毎日 花々を見て回っている。
そんなに頻繁に見回らなくても良いのだが、ミリーはじっとしていられなかった。

『施しなどいらん!』
暁飛(こうひ)の声が繰り返し心の中に響いた。
施しなんてそんなつもりは全くなかった。
枯れ草を敷いてある暁飛の寝床。
寒くないのかな、痛くないのかな、と思っていた。
土の上に寝るより、空布を敷いて寝た方が気持ち

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【お話し】月光~妖精と龍~(12)

【お話し】月光~妖精と龍~(12)

2人の気持ち

 次の朝、ミリーは夜明け前に目が覚めた。
一晩考えた。
暁飛(こうひ)への気持ち。
私は暁飛が好きなんだ。
アウルやゆみん達を好きなのとは違う。
私は暁飛を愛してる。
種が違っても 大きさが違っても 私は暁飛といたい。
心は決まった。

朝露が降りていると、羽が湿って上手く飛べない。
もう少し明るくなるのを待って谷へ行こう。
気持ちを伝えて、暁飛がなんと言うか分からない。
でも大丈

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【お話し】月光~妖精と龍~(13)

【お話し】月光~妖精と龍~(13)

祝福

 谷の1日はいつもの様に過ぎていく。
幼い妖精達は暁飛の頭に乗って空の散歩に行く。
時々 大人の妖精もそれに混じる。
暁飛(こうひ)は、見回り見守りを兼ねて、あちこちへ飛んで行く。
ミリーは谷で星の花の様子を見て回った。
以前蒔いた種は芽吹き、蕾を付け、1/3程咲いている。
日の当たり具合や 風の吹き具合で色を変える星の花。
赤やピンク、黄色やむらさき等が咲き始め、優しい風に吹かれて シャ

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【お話し】月光~妖精と龍~(14)

【お話し】月光~妖精と龍~(14)

 暁飛(こうひ)とミリーは暁飛の洞穴で一緒に暮らすようになった。
以前は何もなかったねぐらだったが、花が飾られ、テーブルが置かれ、その上にも竹を切った花瓶が置かれ 生花が挿してある。

 空布も健在で夜は2人仲よく寄り添って眠る。
最初の頃、暁飛がミリーを潰してしまうのではと気にしていた。
最終的にミリーが暁飛の鬣(たてがみ)の中で眠ることにして、暁飛も安心して眠るようになった。
 
 ある日、暁

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【お話し】月光~妖精と龍~(15)

【お話し】月光~妖精と龍~(15)

※15話と16話は少し長めのお話しになります。
宜しくお付き合い下さい。

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 その小さな生き物は ビクッとして花びらを1枚引き寄せ隠れてしまった。
その姿も愛らしい。

「驚かせて悪かったね。言葉は分かるかい?」

 小さな生き物は隠れたまま、顔半分、片目だけ花びらから少し出し こちらを見ている。

「この花壇からは出ない方がいいよ。もう少し大きくなる

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