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指定管理施設の第三者評価とは?

ブレインファームマネジメントコンサルタントの中村正志です。

今回は指定管理施設の第三者評価について解説します。
指定管理施設の管理運営状況については、指定管理者自らの事業報告や担当する自治体の所管課によるモニタリング、利用者へのアンケート等に加え、客観的あるいは専門的な立場から評価するために、第三者による評価を行う制度を導入する自治体が増えています。
※なお、福祉サービスを提供する施設に対して行われる第三者評価というものもありますが、ここでは話を省きます。

目次
1.実施している自治体の第三者評価の目的
2.評価項目の例
3.評価のプロセス
4.第三者評価実施のススメ

1.実施している自治体の第三者評価の目的
ここでは、横浜市が行っている第三者評価の位置づけと目的をご紹介します。横浜市では、指定管理施設の「PDCA サイクル」の一環である
「C(Check:評価)」の役割を担うプロセスとして、評価を位置付け、評価の主体によって、次の4つの手法に分類しています。
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① 指定管理者による自己評価
② 市(施設所管課)による評価
③ 第三者評価機関・委員会による評価(第三者評価)
④ 利用者等による評価
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これら4つの手法は、様々な点で異なる特性を持つものですが、特に、第三者評価制度は、日常的に各施設に関わっている立場から離れた第三者が評価するもので、客観性が図られるとともに、多角的な視点からの評価が行えることが大きな特長です。
つまり評価は、各施設の運営の継続的な改善を目的とする「PDCA サイクル」の一環であることから、評価を行うこと自体ではなく、評価を通じて「施設運営の継続的な改善」につなげることが目的です。
そのため、評価制度の設計及び運用は、「運営の継続的な改善につなげられるかどうか」を基準に考えることが必要となります。
特に、第三者評価制度は、客観的かつ多角的な視点から評価を行うことにより、指定管理者にとっての「気づき」のきっかけとなり、指定管理者自らが業務改善を行い、施設運営の改善につなげることを目的とするものです。

(参考)横浜市指定管理者第三者評価制度運用指針

2.評価項目の例
では、次に第三者評価ではどのような項目で評価を行うのでしょうか?ここではさいたま市の第三者評価項目を見ていきます。主な項目としては、
・施設の基本方針や設置目的の達成等
・施設、設備の維持管理等
・利用者サービスの向上等
・収支状況等
となっており、他の自治体の評価シートも主に上記のような項目に従って評価をしていくことが多いです。

令和5年 さいたま市の指定管理者の第三者評価結果より

3.評価のプロセス
上記で示した横浜市やさいたま市における第三者評価の主な実施プロセスは以下のとおりになります。
①指定管理施設からの評価に関わる事前の資料収集
(年度の事業計画書、事業報告書、収支計画・報告書、利用者アンケート結果等)
②上記資料の閲覧による施設についての事前把握と資料に基づく評価の実施
③訪問調査を実施し、施設見学における施設の維持管理や職員対応の確認、評価項目に従って職員のヒアリングや必要な書類の整備が出来ているか等の確認
④上記のプロセスを踏まえて、評価報告書の作成
⑤評価報告書を自治体に提出

4.指定管理者独自の第三者評価実施のススメ

上記での実施例は、自治体が主導で行っており、評価対象となった施設は自治体からの指示で第三者評価を受審することになります。しかしながらこの制度はどこの自治体でも実施しているわけではなく、多くの自治体は施設所管課による評価(モニタリング)のみとなっているケースが多いです。ただその結果を見ていると、評価の項目数が少なかったり、毎年同じような結果になっている等、「施設運営の継続的な改善」が見られないといったことも多いです。

当社では、自治体の第三者評価実施の豊富な経験から、指定管理者に対して独自の第三者評価を実施しており好評を得ています。
指定管理者では、その結果をもとに改善を加え次回の公募に向けての提案につなげていくということも十分可能ですので、指定管理者の方はぜひこの第三者評価の実施を前向きにご検討いただきたいと思います。

↓参考文献:「これ一冊ですべてがわかるPPP/PFIの教科書」(中央経済社)。


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