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【PODCAST書き起こし】落語本のおすすめについて語ります。(和田尚久・三浦知之)全5話 その5

【PODCAST書き起こし】落語本のおすすめについて語ります。(和田尚久・三浦知之)全5話 その5

【三浦】小島……。

【和田】小島貞二さん。

【三浦】小島貞二さん。

【和田】はいはい。

【三浦】この人面白い経歴で。

【和田】相撲をやってたんです。

【三浦】そうなんですよね。相撲とりだったっていう。出羽海部屋で。相撲とりの頃から寄席とか行ってたんですよね。

【和田】みたいですね。それで自分が落語の本も書いたり、台本とかそういうのも書かれたりとか。

【三浦】新聞記者かなにかになったんですね。

【和田】あ、そうなんだ。

【三浦】だからちょっと変わった、面白い人だな、と思って。

【和田】だから、志ん生さんのほうを聞き書きしたのは小島貞二さん。

【三浦】そうですよね。

【和田】そう書いてありますでしょ。

【三浦】この小島貞二さんの人となりというのは。漫画家でもあり、力士、出羽海部屋。芸能新聞記者。東京日日新聞って毎日新聞の前身ですよね。そこで記者をされてて、放送作家も経て、演芸評論家、著述業と書いてあります。『びんぼう自慢』もこの方が書かれてるんですか。

【和田】だから聞き書き。

【三浦】聞き書きか、そうですね。

【話者】だから『びんぼう自慢』なんかは、あれすっごく面白い本なんだけど、志ん生さんの自伝とされてるんだけど。たとえば、私は三遊亭……ああ、圓喬だ。橘屋圓喬という名人がいて、その人の弟子だった、と(志ん生は)言ってるわけよ。だけどほんとは三遊亭小圓朝って人の弟子なんです、志ん生さん。

【三浦】小圓朝。

【和田】小圓朝の弟子なんです、経歴的にいうと。だけど、私は圓喬という人の弟子だったと言いたいんですよ、圓喬が名人だったから。すごい圓喬が名人で、それの門弟だったといって。で、昔のことだから。

【三浦】分からないだろう。

【和田】分からないだろうっていうノリで言ってられる、志ん生さんは。で、小島貞二さんも、それそのまま書いちゃってるの。「圓喬という人の弟子で私は『鰍澤(かじかざわ)』というのを聞いてすごかったですね」みたいなことをいって。だからなんていうのかな、悪気全然ないんだけど、今の学究的に検証するのでいうと、与太を言ってるのをそのまま書いちゃってるっていうことになるわけです。

【三浦】なるほど。検証せずに。

【和田】検証せずに、ご本人が言って。これ志ん生さんが言ってるんだけどね。でもそれも含めて小島さんの……なんというのかな、お相撲とりとかいろんなことやってるのの良さが……。

【三浦】人徳なのか。人となりなのかということですね。

【和田】でも、なんやかんやいって、あれが凄く残ってる作品ですからね。

【三浦】そうですよね。でまたこの、ちょっと出版社の話ですけど、この本を出してるのが、うなぎ書房っていう面白いお名前の本屋さんで。

【和田】うなぎ書房は、ほとんど落語本とかそういうのが多いところですね。

【三浦】うなぎ書房っていいですよね、命名が。といったあたりを私はちょっと見てまいりました。

【和田】ちょっとまた落語の本の話はまた。入れなかったものもあるので。

【三浦】もう少し、次回まで読んでこようと思うんですが、なかなか……。こういう本、読むのって時間もかかったりするので。

【和田】そうですね。ちょっと最後に宣伝をしてもいいですか?

【三浦】ちょっとじゃあ、和田さん、最後に宣伝の前に。何人か有名な落語評論家っていらっしゃるじゃないですか。たとえば安藤鶴夫さんとか、矢野誠一さんとかって。こういう人たちの書いたものっていうのは実際やっぱり名著だったりするんですか? 同じような評論家って立場から。先輩たちの……。

【和田】それは……本によるとしか言いようがないだけですけどね。いい本もあれば……。ただ、僕が自分で読んだ範囲でいうと、小説家の人とか……たとえば久保田万太郎とか、そういう人が落語について書いた文章のほうが僕は面白い。個人的に。

【三浦】なるほど。

【和田】ただ、そういうものってのは、一冊本は大抵ないんですけど。随筆の中でちょっと書いているものとか。そういうのでとても面白いのがありますね。

【三浦】いわゆる落語のほんとの専門の評論家の人がちゃんとしっかり書かれたものも……それはあるけれども、文学者、小説家が書いたエッセイ的なものとか。

【和田】そうですね。

【三浦】そういうのが割と、実は真実を捉えていたりするんですよね。

【和田】文学者に限らないんだけど、なにかの世界の、メインテーマのある人が落語に触れて書いて、なんかそれを掴んだときの面白さってのは凄くあるなあ、と思っていて。

【三浦】なるほど。それもやっぱり、別の視点が持てるってことですね。

【和田】そうかもしれませんね。たとえばこのあいだ亡くなった和田誠さん、イラストレーターの。『落語横車』っていう本があって。あれ講談社かな。落語について書かれた、折々に書いたものを、和田誠さんの場合は集めたら一冊分あったわけ。だから『落語横車』って本が一冊あるんですけど、それなんか凄く面白い本。

【三浦】そうですか。落語本、やっぱり沢山ありますね。はい。じゃあ、和田さんも本を書かれてると思いますので、宣伝も。

【和田】宣伝は……これぜんぜん違う話なんですけど。僕の本の宣伝はまたしますが。

【三浦】分かりました。

【和田】今度ですね、2021年11月30日に、浅草の見番っていうところがあるんですけども。見番、芸者さんたちの稽古舞台ですね。

【三浦】そうですね。踊りとか稽古するところですよね。

【和田】踊りなんかの稽古舞台があって、そこで、浅草寺のすぐ裏手なんですけども、11月30日に「さん喬双つ玉」っていう会をやります。これ年1回やってる、(柳家)さん喬師匠が2席大きな話をされるという会で。『鰍澤』を、これを。もともと、圓朝作とされてるかなり冬の大ネタなんですけど、これをされます。それからもう1席は、黒田さんという方が……これ中央大学の翻訳家の先生なんですけども。

【三浦】黒田絵美子さん。

【和田】黒田絵美子さんが書いた『声色や』っていう新作落語があります。これは前されてるんですけど、けっこう5年ぶりぐらいに、もう1回練り直して再演されるってことで。今年はこの2本。「双つ玉」ってのは「二つの鉄砲の弾」という意味なんだけども、凄いものを打ちますよ、みたいなニュアンスです。

【三浦】この、やっぱり二つのネタっていう。

【和田】そういうことです。

【三浦】『鰍澤』でも鉄砲打ちますよね。

【和田】そうですね。『鰍澤』打ちます。ああでもそういう意味ですよ、双つ玉。

【三浦】『鰍澤』は怖いですよね。

【和田】そうそうそう。

【三浦】おくまが鉄砲、火縄銃もって追いかけてくる。

【和田】そうです。悪女のね。

【三浦】悪女ですね。

【和田】そういう意味では、だから『鰍澤』が悪女もので、『声色や』のほうはちょっと純愛ものみたいなお話ですね。

【三浦】そうなんですね。ちょっと楽しみですね。

【和田】もしあの、僕現場にいますので。私、主催者なのでおりますから、ぜひ。

【三浦】浅草見番、昨年私行きまして、とても良かったです。ちょっと悲恋の話でしたね、去年は。

【和田】そうですね、『お藤松五郎』。

【三浦】『お藤松五郎』って。ちょっと聞きいって。ほんとに聞きいってしまいましたけど。

【和田】『お藤松五郎』ってのをやって。

【三浦】すれ違いが……。

【和田】そうです。誤解がね、誤解が殺人事件になってしまった話。てなことで。

【三浦】素晴らしかったです。

【和田】どうも有難うございました。

【三浦】有難うございました。

【山下】最後に、有難うございました。浅草見番、時間は開場が18時半からです。

【三浦】開場が18時半で開園19時ですね。いわゆる裏浅草といわれているところで、言問通りを越えてすぐの、雷5656(ゴロゴロ)会館の。

【和田】の並びっていうか、あの通りですね、柳通りです。

【三浦】とても風情のあるところで。

【山下】緊急事態も明けると思いますので、その辺をブラブラ回ってですね、日が落ちてから見番にいくと凄い風情があると思いますので。

【三浦】で、見番終わって、どうなんですかね……。

【和田】時間がちょっとあれかもしれないけど。

【三浦】お店とか。

【山下】緩まってるかもしれないですよ。11月。

【三浦】その辺とてもいい感じのお店も沢山あるし、楽しい夜が過ごせるのではないかと思います。

【山下】ということで今日はいろんな本を全部はご紹介できませんでしたけど、また続けてやっていきたいと思いますので、和田さん、三浦さん、今日はどうも有難うございました。

【和田・三浦】有難うございました。

【山下】ではカメラに向かって、さよなら~。


 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)

担当:上田
この度はご依頼、有難うございました。おかげ様で、普段あまり馴染みのない日本の伝統芸能の世界にも興味をもつことができました。ぜひまた担当させていただけると幸いです。

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