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【PODCAST書き起こし】オフィスエムズの加藤浩さんに和田尚久さん、三浦知之さんが落語会と寄席などについて聴いてみた(全5回)その4

【PODCAST書き起こし】オフィスエムズの加藤浩さんに和田尚久さん、三浦知之さんが落語会と寄席などについて聴いてみた(全5回)その4

【和田】だからどうなんですかね。落語なんかでもいい時期も落ちちゃったとかあるじゃないですか。どうお考えだったんですかね。
【加藤】晩年ですか?
【和田】自分もそうだし、例えばある時期からの
小さん師匠ってどうなってたのかなあって。
【加藤】どんなふうに思っていたんでしょうねえ。
【和田】接点はないけどチェックはしてるはずだから。
【加藤】小三治師匠はある程度そういう小さんの場面って評価してますよね。あれが局地だと。扇橋師匠もそうですけど。ああやって枯れていくのが。談志師匠はどう思ってたのかねえ。
【和田】で、圓生師匠は亡くなるまで衰えてなかったって本に書いてて。
【加藤】そう。圓生師匠って本当にそうだね。ぎりぎりまで。
【和田】うん。ぼろぼろになってなかったって。あとは、フィルムセンターに戦中の慰問映画を誰かが見つけてきて見る会があったんですよ。で、なんか誘われて行ったわけ。そしたら6代目柳橋が、戦時中に「支那そば屋」という話をやってるんですよ。それを見たときに、「ああ、いい顔してるなあ。これじゃあ売れるわけだ」って言って。で、柳橋さんはこの頃にピークがあって、そこからあとはダメなんだろうなっていうのをシビアに言ってました。自分が見てた時期はなんだか分かんなかったけど、これ見たら分かるわって。
【加藤】昔「ベイジンジョウズ」(?)の最後のほうってどうだか私も分かりませんけど、最後まで練習しようみたいなね、あれは分かりましたけども。林家さんもそうでしょ? 衰えたけどなんかしっかりしてましたね。小さん師匠に関していうと、僕は小三治さんとかがおっしゃってるのに結構賛成で、最晩年の予告なしに寄席に出てきて小話をやって、川のこっちと向うに人がいて、「深さはどのくらいですか」っていう小話があるんですけども、なんか良かったんですよ。棒読み感が良かったんですよ。小三治さんがいうにはおとぎ話を子どもに聞かせるような。昔、前座って棒読みでしたよね。
【三浦】そうですよね。
【和田】大きな声出して。
【加藤】今、そういう前座いませんもん。前座すごくうまくて。
【三浦】それはそれでつまらないってことなんですか?
【和田】まあ、お笑い慣れしてるしね。本当に器用で。
【三浦】稽古もちゃんとしてるみたいな感じなんですかね?
【和田】どうなんだろう。昔は、「おつきあいお願いします。たっちゃんいるかい? なんだ?」みたいな棒読みなんだよ。声だけは出してるから大きく。それが前座らしくてね。今は本当に抑揚を付けて、人物描写までして。
【三浦】たしかに、ホーム落語でも開口一番で大体出るじゃないですか。聞いてると結構ちゃんとしてますよね。ちゃんとしてるっていうのかな、落語には、なってますよね。
【加藤】小さん師匠は、私の仲直りです。あの落語は。
【和田】あの落語っていうのは最後のほう?
【加藤】全部。
【和田】ああ、全部ね。
【加藤】一人で暗くして小さんの声だけ聴いて。その世界に入るのが。
【和田】小さん師匠はね、僕とか加藤さんは生の小さん師匠を見てるじゃないですか。でね、小さん師匠の芸ってある意味難解だなと思うのが、生で見たらめちゃくちゃテンション高いんですよ。ところが、音で聞くとそこがちょっと伝わりにくいんですよ。生で見たらすごいんですよ、迫力が。迫力があるように見えないじゃないですか。でも、なんかすごいんですよ。あれが伝わるんだとしたらありがたいことだけどなあ。だからやっぱり今はその流れで継いでらっしゃるのが市馬さん。市馬さんとの出会いっていうのはどこなんですか?
【加藤】寄席かなんかで出会ったんですよ。それも歌の話で。
【三浦】ああ。市馬さん歌好きですからね。
【加藤】私も歌好きで、歌の話をしてて。岡晴夫の歌で私が、「港のエトランゼみたいなのが好きなんですよね」って言ったらもう。談志師匠と一緒ですね。あれだけ信用しない人が、私のことを信用してくれる。「この歌が好きな人は」っていうんで、この人のプロデュースを。
【三浦】それで柳亭市馬事務所なんですね。
【加藤】はい。その当時、会もそんなになくて、独演会というかその手伝いを。それ以降、市馬師匠だけじゃなくて柳家が好きなのかね。顔つきが柳家系で、古今亭のリズム感があってっていうのは苦手で、無骨な人間が出てくるようなのが好きですよね。古今亭って、今は菊之丞、文菊。古今亭のラインはしっかりしてるから、お客さんついてるんですよ。ここしかダメっていう人が。
【三浦】ああ。菊之丞、文菊じゃないとダメっていう人が?
【加藤】そのラインでしょう。歌舞伎座なんかに行くまとまった着物で歩いているような女性。女子大生でいえば、文庫本を片手にこうしてる文学少女。
【三浦】そういう客層ですか。
【和田】文菊さんはキャラ確立しましたよね。
【加藤】あの中でもね。
【三浦】文菊さんってそんな感じでしたっけ?
【和田】文菊さんってお坊さん。
【三浦】そうですよね。
【加藤】あの出囃子でね、あの格好で、いいですよね。
【和田】面白いですよね。
【加藤】お客さんもそうやって色分けができてるんですよ。私は会場に行ってお客さんの顔を見ただけで、今日はどこの会だっていうのがその当時はよく分かりましたもん。今日は誰の会でしょうみたいな。扇辰さんだな、今日は、とか。
【三浦】本当にそういうごひいきがいるんですよね。
【和田】女の方っていうのは主催者として見て、何を見にきてるんですかね? 何を求めてる? 落語界に。
【加藤】それは人それぞれだけど、顔だっていう人もいますよ。雰囲気、生理的なもの。あとは新作系のようなものも好きな人もいるし。今言った古今亭さんラインの人もいるし。
【和田】なんか、女性の落語ファンってその人自体を見てる濃度が濃いような気がする。つまりさっきの例えでいうと、女性のファンの人が終わって何かを飲みに行ったときに、「いやあ、芝浜の演出はね」っていう話はあんましないような気がするんですよ。
【加藤】しないです。
【和田】それより、その人の魅力のほうを語ると思う。
【加藤】感覚的な魅力を。
【和田】その素材というか人間ですよね。あと、これは僕の付き合った範囲で、女性の音マニアの人に会ったことがないんですよ。
【三浦】音マニア?
【和田】音マニアというか録音マニア。
【加藤】資料があってうちに来ると
【和田】そうそう。こんな珍しいのがあるみたいな。
【三浦】ああ、なるほど。
【和田】これダビングしてもらってうちにあるんだよとかさ。
【三浦】なるほど。音源とか。
【和田】この時代のなんとかがさあとか。そういう人があんまいないような気がしますね。
【加藤】唐茄子屋の丈二さんと話をしていた時に、我々がまだ仕事を立ち上げたばかりの頃、「客席は、これは半数以上を女性にしなきゃね」って言ってましたね。6割女性、男性4割だったらだいたい成功だって。
【三浦】ああ。今は落語会って女性結構多いですよね。
【和田】多くはなりましたね。昔はほとんどいなかったですよね。
【加藤】いなかったね。
【三浦】えもり(?)さんの落語界にお邪魔すると半分ぐらいは女性だなっていう。
【和田】ああ、そうかもね。この間の射手座落語会なんかも女性多かったですね。
【加藤】多かったね。射手座は女性ですね。
【三浦】だからそういう意味でいうと、女性の落語好きってかなり増えてるんじゃないですかね?
【加藤】そうですね。
【三浦】もしかしたら、さっきおっしゃった、何人かで来て、「今日の話のあそこがどうだった」っていう話をしてるかもしれないですね。
【和田】かもしれませんね。
【三浦】今はコロナだから終わってどこも行けないですけど、きっとするんじゃないですかね。
【和田】いや、当然するとは思うんだけど。
【三浦】でもやっぱり噺家に確かについてる人のほうが多いような気もします。
【和田】うん。だから宝塚とか歌舞伎って基本的に人を見に来るものだよね。出し物よりもその人がたいていの場合優先する。それと同じ図式のような感じがする。
【加藤】今の噺家さん自体がね。
【和田】俺を見てくれって人が多いからね。夏泥を聞いてくれじゃなくて、夏泥をやっている俺を見ろ、俺がやってるんだぞっていうのがひしひしと伝わってきて。
【三浦】ああ、みなさん意識してかしてないか分からないですけど、だいたいそういう噺家さんのほうが多いですよね。
【和田】しょうがないんだよ。売れたいんだから。それが否定ではないんですけども。
【加藤】そういうやり方にしないと今の時代は無理なんだろうなと私も思ったりしますね。
【和田】加藤さんがエムズをやっていらして、これは持ち主がいいっていうかどうかは別ですよ。それを別にしていうと、例えば歌舞伎座で会をやってみたいとかそういうのってありますか?
【加藤】ありますね。それはやってみたいなと。
【和田】そういうの面白いですよね。それが向こうのS社がなんていうか知りませんけども。
【加藤】そういうのを提案でS社に持っていけばね、見てはくれるでしょう。
【三浦】昔、実際やってたわけですよね。
【和田】いくつか例はありますね。
【三浦】枝雀さんとか。
【和田】談志師匠もそうですね、親子会。明治座もされましたでしょ?
【加藤】やりました。
【和田】あそこはどうですか? 会としては。
【加藤】それはいいでしょう。国立で今度やるんですけど。ああいう劇場はいつ終わるか分かんないんで今のうちにやったりしますけど。
【和田】国立劇場も今度建て直しますからね。
【三浦】ああ、そうなんですか。
【加藤】数年ぐらいこれで使えなくなる。
【和田】本当はオリンピックの時に新しくなってるはずだったんですよ。
【三浦】国立劇場は1回全部取り壊すんですか?
【和田】そうです。で、今の演芸場は大劇場・小劇場が建った後に作ったわけですよ。ほかの場所で建てる計画がとん挫してあそこの空き地に造ったわけです。次建てるときは三つ合体させるっていうね。演芸場もつぶして三つ合体させて、一つの屋根で大劇場・小劇場・演芸場が入ってるというふうにするという。
【三浦】じゃあ、その期間は例えば文楽とかもやれないってことですよね?
【和田】だからどのぐらい建て替えるのかな。歌舞伎座は2・3年休んでましたからね。同じぐらいのスパンだと思いますけども。
【加藤】数年というところだと。
【三浦】歌舞伎座が建て替えのときって歌舞伎って新橋演舞場と国立と浅草でしたっけ?
【和田】意外にも浅草とか国立ってあの間増えなかったんですよ。もっとやるのかなと思ったんだけど、基本は演舞場で毎月やるようになって、今の勘九郎たちが襲名したのは演舞場のときなんですよ。建て直してるときだったので。
【三浦】いつから国立劇場を建て替えてるんですか?
【和田】いつだっけなあ。この間芸人さんなんかには、演芸場がいつが最後になりますのでって話があって、2年後ぐらいだったような気がしますけど。
【三浦】じゃあもう2年後からは2年間ぐらいは。
【和田】建て替え期間に入るっていうところだと思います。
【三浦】なるほど。ちょっと寂しくなりますね。
【加藤】寂しくなりますね。うちら興行師としてはね。劇場がもう使えないとなると。
【三浦】演芸場が使えないのは結構寂しいですよね。
【和田】好きな小屋ってありますか?
【加藤】好きな小屋は、浅草見番ですね。評判があまり良くなくても。
【和田】いやあ、見番はいいですよね。僕も大好きです。
【加藤】若い人が正座っていうのがいやでしょ?
【一同】はい。
【加藤】それが見番がこういう空間で聞くのが。だから切符を売るときも正座するのが嫌な人は来なくていいですよっていうと、お客さんは来るんですよ。切符買ってもいいですけど、そういう状況ですから大変な目に遭いますよっていうと、お客は来るんですよ。
【三浦】まあ、実際はそんな詰め詰めじゃないんで正座してなくても大丈夫なんですよね。胡坐かいても大丈夫だし。
【加藤】だんだん慣れてきたね。
【和田】でも、ああいうのもあっていいんですよね。
【三浦】赤坂も正座っていうか座布団ですよね。でも、椅子も置いてくれてましたかね。
【加藤】そうですね。
【三浦】あそこはなんていう場所でしたっけ?
【加藤】赤坂会館ですね。
【三浦】なんか踊りの稽古とかをする。
【加藤】そうですね。赤坂芸者。
【和田】赤坂会館っていうのは、浅草とかと同じぐらいですか?
【加藤】結構高いですね。
【三浦】場所がいいから。
【加藤】ミカド(キャバレー)のあとですよ。
【三浦】ああ、そうだ。
【加藤】昭和39年。
【和田】力道山。
【加藤】フランク・シナトラが生バンドで歌ったんだから。
【三浦】ミカドで?
【加藤】うん。すごいクラブでしたね。
【和田】あとは好きな小屋は?
【加藤】好きな小屋っていうよりも嫌いな小屋があるんだよ。日本橋って嫌い。
【和田】本当? でも、しょっちゅうやってるじゃないですか。
【加藤】だって仕方ないもん。
【和田】まあ安いんですよね。
【加藤】こんなこと言ったら叱られるけど、あんま好きじゃないんだな、自分が客として行く場合も。なんか居心地が悪いというかね。
【和田】なんか本式じゃないんだよな、あそこの作りが。
【加藤】なんかねえ、椅子がね。しょうがないんだけどね。
【和田】あと、真面目なことをいうと響きがあるところがいいわけよ。PAなしでね。浅草の見番なんかは響きがあるんですよ。日本橋は響かない。
【加藤】まあ畳ひいたらいいんだけどね、椅子じゃなくて。そんなこと言われたらどこも。あそこが嫌いって言われたらどこも使えなくなる、今は本当にないですわ。300ぐらいのいい小屋。
【和田】でもさ、演劇のちっちゃな小屋って今でもしばしば落成するじゃないですか。できましたってやるでしょ? あと、寄席って難しいのかなって思う。だから僕も加藤さんと一緒で、すごくお金があったら小屋主みたいなのになってみたいなと思うんだけど。
【三浦】ああ、まさに席亭ってことですか?
【加藤】演劇の?
【和田】はい。サンモール。
【加藤】サンモールはずっと見てぼーっとしてましたよ、私。ああ、こういうのはいいなあ、こんなところで落語がやりたいなあ。
【和田】思いますよね。
【加藤】お金がないことばっかりだけど、ああいうところでやってみたいと思わせるよね。今閉鎖してましたけど。
【三浦】サンモールって落語家はあまりやらないですよね?
【加藤】そうですよね。
【和田】50人ぐらいでしょ?
【三浦】もうちょっと入りますか。
【加藤】だって、小さいのと大きいのがあるから。
【山下】大きいところはダウンタウンとかが「ガキの使いやあらへんねん」とかを収録してました。
【三浦】へえ。なんかこの近くに道楽亭さんがやったりするところがありますよね?
【加藤】箪笥ホールかな?
【三浦】あ、箪笥ホールじゃなくて、それこそ歌舞伎町の二丁目の店みたいなところ。AiSOTOPE LOUNGE(アイソトープラウンジ)。これは変な小屋でしたね。僕1回だけ行ったことあるんですけど。
【和田】道楽亭さんもよくやってるね。そういうのじゃなくて、本当の寄席みたいなのを作れたらいいなあと思いますね。永谷さんって不思議なんだよなあ。なんやかんやいって何十年もやってるわけですよ。広小路亭も両国も何十年もやっててパイプ椅子っていうのは僕はなんか不思議な感じがしてて、そこがやっぱり不動産屋さんらしいリアリズムな感じもするんだけど。
【三浦】座れりゃいいだろみたいな感じ?
【加藤】だったらこの会議室でやっても一緒だよね?
【和田】そうですよね。大阪のざこば師匠が作った、ざこば師匠の道楽亭っていうのがあるんですよ、動物園前に。そこ、すごくいい小屋なんですよ。で、そもそも建ってるマンションの中をぶち抜いて。
【加藤】縦長ですか?
【和田】縦長。
【加藤】サイドに椅子があって?
【和田】そうです。で、あそこがすごく僕は好きで。50人ぐらいのあれなんだけど、ざこば師匠の稽古小屋みたいな、でも一門で結構回してるんですけど。ああいう感じでいいからなんかできたらすごいいいのになあっていうふうに夢想してるんですけど。俵町に寿亭っていうのがあるんだけど、あそこは二十人ぐらいしか入れないのでちょっと勘定が合わないんですよ。
【三浦】でしょうね。
【和田】本当に純粋にお稽古するならいいんだけど。
【加藤】なかなか借り手がねえ。
【三浦】収支合わないですよね。
大須はどうですか?
【和田】大須はねえ、やっぱり大須伝説込みだよな。あそこはお金かけてもうちょっとぴしっとしたほうがいいかなという気はしますね。
【加藤】大須演芸場においでになったことは?
【三浦】中は入ったことないんですけど、近くまで行ったことはあります。
【和田】大須演芸場に行くと芸人さんがみんな、「これは隣のコメ兵で買ったんだね」みたいなことを言うんだけど、僕は東京から行ってるからコメ兵っていうのがピンとこないんですよ。何屋だかよく分からない。
【三浦】コメ兵って質屋みたいな。
【和田】質屋なんだよね。
【加藤】東京にも出てきましたね。
【三浦】新宿にありますよね。
【和田】ああ、そうですか。
【三浦】伊勢丹のすぐ目の前ぐらいに。
【和田】これはコメ兵でいくらだったってよく言うんだけど、それが質屋だということなら分かるんだけど、それがいまいちわからなくてずっとピンとこないというのが続いて。
【三浦】コメ兵ってそっちのほうの?
【和田】名古屋でしょ?
【三浦】そうなんですか。
【加藤】そうなんですよね。あそこもなんかえっちらおっちらまだやってるみたいで。
【和田】僕は丁度同い年で、素人時代から知ってるんだけど、マツシタ君っていう友人がいて。大学生だったんだけど落語家になりたいって中退しちゃったんですよ。で、談志師匠のところで立川獅篭っていう名前をつけてもらってやってたんだけど、首になって今は名古屋に行って大須でやってるんですけどね。
【三浦】それは獅篭の名前でやってたんですか?
【和田】雷門獅篭っていう名前でやってたんだけど、去年雷門を改めて登龍亭っていうのを。古い亭号なんですって。それで、今は登龍亭獅篭という名前で。
【加藤】雷門の家にある芸名ですか?
【和田】いや、なんか探してきたみたい。
【加藤】じゃあ、小蝠師匠とはべつに?
【和田】小蝠師匠からきて雷門だったんだけど、小蝠師匠が亡くなって、変えた理由は知らないんですけど。
【加藤】同級生ですか。
【和田】そう。まあ、同級生っていうか大学のときからの知り合いということですね。
【三浦】小蝠師匠って大須でやってらっしゃった方ですよね?
【加藤】私の5軒隣が、雷門福助っていう師匠の家で。ここに入門して、名古屋でしか活動してませんね。ネタも五つか六つしかないし。あと、その頃は名古屋でMCの仕事をしてました。コーラ早飲み大会とか。
【和田】雷門福助師匠って方がいて、小蝠師匠の師匠で明治生まれの方なんだけど、その人が、例えば僕が師匠だとしますよね。雷門福助師匠だとするじゃないですか。そうすると、みなさんからグッズをもらうんですよ。例えばシャープペンシル、例えばペットボトル、例えばマイク、例えば傘っていうのをここに並べるわけ。それを全部入れたお題話っていうのがあるんですよ。それがすごい芸なんですよ。まあ、昔からあるパターンなのかもしれないんだけど。
【三浦】即興でやってるってことですか?
【和田】そうなの。即興なんだけど、多分それを入れ込む何かベースがあるんですけど、僕が生で見てないですけど見たことあるのは、お父さんが息子に小言を言ってるんですよ。「お前さんここに座んなさい。そんなことじゃいけません。お前のことを育てた、どういうつもりだ」みたいな入り方をして、そこにグッズがあるわけです。鍵があると、「そんな情ないこと言ってはいけません」とかね。マッチがあると、「ちょっと待っちください」みたいなところでパターンがあるんだけど。
【加藤】謎かけみたいなものでね。
【和田】でも、それめっちゃ面白いんですよ。すごいんですよ。こんなんあるんだあみたいな感じで、シーラカンスとか。
【加藤】あれは東宝名人会にもきたりしてね。私町内だからいろいろ話を伺ったりして。「あんたよく知ってるねえ。どうして名古屋にいてそんなこと」っていう話を、もう必死にカセットで。
【三浦】ああ。師匠の言葉を録音?
【和田】加藤さんって、カワドさんは関係ありますか?
【加藤】カワドさんはどこであったかというと、「艶歌」です。
【和田】ああ、そうか。
【加藤】談志師匠の。何かがあるとぶつぶつ言ってましたよ。
【和田】カワドさんっていうのも癖があるTBSの演芸の超名物ディレクターで、僕は気が合った人なんだけど、福助師匠がインタビューして、福助楽屋話っていったかな、それを最後に本にするっていって、まあしたんですけど。でも、あれを読んだのは僕とか加藤さんとか全員で50人ぐらいじゃないかなと思うんだけど。そのモチーフを知らんだろうというような。でも面白いんですけどね。面白いんだけど、福助の一代記をまとめて出しました。
【加藤】3分の1は与太だとかいって。
【三浦】そんな本が出てるんですね。
【加藤】まあ、日本で30人いるかなあ。
【三浦】もっといますよ。
【加藤】これはいいなあと思ったのがそのうち15人ぐらい。
【三浦】1億人中15人ってことですね。

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)

---- 担当: 北村直也 ----
ご依頼いただきありがとうございました。落語家に関しては笑点に出ている方々ぐらいしか知らなかったので、おそらく落語会のトッププレイヤーだけど初めて聞く名前がたくさんありました。落語はおうち時間に気軽に楽しむことができる媒体だと思うので、これを機会に落語に触れてみようと思います。


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