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講談師の前座 神田伊織さん(師匠は神田香織さん)に講談についてお伺いしました!

ポッドキャスター:三浦知之 大野洋平、MC:山下治城



【山下】 集まれ伝統芸能部、開幕のお時間です。この番組は、普段は総合映像製作会社に勤める伝統芸能好きが大集合。伝統芸能をたくさんの人に好きになってもらうために勝手にPRを頑張る番組です。ポッドキャスターを務めるのは?

【三浦】 はい。講談と落語好きの三浦です。よろしくお願いいたします。

【大野】 はい。講談に興味ありあり、大野と申します。

【山下】 はい。そしてMCの山下の3人です。で、実は今日はですね、講談師の神田伊織さんをゲストに迎えました。みんなで神田伊織さんに講談に関するいろいろなことを伺っていきたいと思います。では、よろしくお願いします。

【神田伊織】 よろしくお願いします。

【三浦】 では、神田伊織さん。早速なんですけど自己紹介をお願いしてもいいですか?

【神田伊織】 はい。この世界に入ったのが4年前でして、元々は5年前に師匠のアマチュア向けの講談教室に通っておりまして、それが縁となりまして4年前にまずは前座見習いの立場になりまして、見習いが3カ月進むと前座。そこから4年間修行中。

【三浦】 はい。師匠はどなたになられるんでしょうか?

【神田伊織】 神田 香織という。

【三浦】 神田 香織さん?

【神田伊織】 はい。

【三浦】 神田 香織師匠は女性ですよね?

【神田伊織】 はい。

【三浦】 もう講談歴がすごく長い方ですよね?

【神田伊織】 そうですね。もう38年ぐらいです。

【三浦】 38年!! 神田 香織さんのところにお弟子さんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?

【神田伊織】 私の姉弟子の「織音」姉さんと私と、プロの弟子は二人。

【三浦】 ああ、アマチュアの弟子さんもいる?

【神田伊織】 いますね。教室を開いてますので、そこの。

【三浦】 ああ、元々そこの講談教室。アマチュアの講談教室ってどのくらいいらっしゃるんですか?

【神田伊織】 そうですねえ……。毎回参加する方は20名とかそれぐらいですかね。で、以前、通ってた方なんかも含めると結構な人数がいますね。

【三浦】 結構それは年齢も幅があるんですか?

【神田伊織】 年齢はですね60代、70代、やっぱりご高齢の方が多いですね。

【三浦】 なるほど。

【神田伊織】 私が入ったときはやっぱりその中では若手だったのでちやほやされて、その次になった。

【三浦】 で、やらないかと?

【神田伊織】 そうですね。

【三浦】 講談の世界に入らないかと。

【神田伊織】 ええ。

【三浦】 なんで聞いたかというと、ちょっとやってみようかなとか思ったりして、今一瞬。

【山下】 三浦さんぜひやってください。(笑)

【神田伊織】 まず、やっぱり声を出すだけで気持ちがすっきりしますし、普段我々が話すときは声ってそんなに意識せずに自然に声を出しているわけですけども、改めて発声のし方っていうのを意識すると本当に声を一つ出すのも難しいなと。

【三浦】 そうですね。努力というか鍛錬がいるっていう。やっぱりお腹から出すっていう感じですかね。

【神田伊織】 そうですね。ただ、お腹から出すといっても実際のところお腹からは出ないんですよね。だけど、やっぱり下のほうを意識して全身を響かせるようにして声を出したりっていうのが、私なんかも最初の頃は全然そういう感覚が分からなかったんですけど、だんだんだんだんちょっとずつ身体の響き具合なんかが意識できるようになってくる感じがします。

【三浦】 やっぱり声の出し方から勉強する、鍛えるという。

【神田伊織】 講談独特のリズムとか拍子をというのが基本ですね。

【三浦】 はい。今お手元にある張扇(はりおうぎ)、これは皆さんご自分で作られるって聞いたことがあるんですけど、そうなんですか?

【神田伊織】 そうです。これは講談で釈台をたたく以外に使い道がないので。

【三浦】 人をたたいたりしちゃいけないってことですね?

【神田伊織】 いけないですね。ほかに使い道がないんで、これは売ってないですから。

【三浦】 売ってないんですね。

【山下】 人をたたくのはハリセンになっちゃうじゃないですか。

【三浦】 ああ。漫才でハリセンってありますけど、それとは全く違うものなんですよね?

【神田伊織】 ええ。これはよく間違えられるんですけども、講談で使う道具は張扇といいますね。

【山下】 ハリセンと字は同じなんですか? せんが扇ですからね。言い方が違うんですよね?

【三浦】 でも、漫才の場合、センってカタカナで書いてますよね。

【山下】 ああ、そうですね。

【三浦】 その辺ちゃんと区別してるんじゃないですかね。ちなみに、張扇ってどうやって作るものなんですか?

【神田伊織】 講談師によってもちょっと違いがありまして、大きさとかサイズとか人それぞれやっぱりこだわりがあるんです。

【三浦】 大きさ。何回か講談の回いって、たしかに大きい人いますよね。

【神田伊織】 いますね。私の今手元にあるものは、私の先輩たちなんかにはこれは大きすぎて野暮だって言われます。

【三浦】 あ。それは大きいんですか。

【神田伊織】 大きいって言われます。ただ、もっと大きい、もっと、ぶっといものを使ってる人もいます。

【大野】 やっぱり大きいほど音が大きくなるっていう感じですか? そういうことでもなく?

【神田伊織】 まあ、大きいほうがたしかに音は出しやすいと思いますけども、音の出しやすさより見た目の美しさを、私の講談協会の男性の先輩方はそう言ってますね。使うのは難しくても、これよりももうちょっと短くて細いほうが粋だと。

【三浦】 相当短くて細くなってくると使いこなすのが難しくなったり。

【神田伊織】 難しいですね。いい音も出しにくいんですけども、そっちを好む先輩もいらっしゃいますし、それよりも音を重視する方もいます。で、この中に入っているのは私の場合は厚紙に竹を張り付けて、それを西ノ内という紙で巻くんです。で、西ノ内っていう紙で巻くところは全員に共通してるんです。

【三浦】 ああ、それはもう決まり事なんですか?

【神田伊織】 うーん。昔から張扇の和紙は西ノ内って決まってるんです。その紙自体がなかなか手に入らないので、専門の和紙屋さんに行ったりするんですけども。ただ、その中身に関しては人によって舞扇を半分に割いて、それに西ノ内を巻くという方も結構いらっしゃいます。

【三浦】 舞扇っていうのは舞うための扇ってことですか?

【神田伊織】 そうですね、踊りで使う。この、いわゆる扇子よりももっと大きいサイズが。

【三浦】 能とかでもやるんですか?

【神田伊織】 そうですね。これが江戸時代なんかはもっと違って、いろんなかたちの張扇を使ってる方がいまして、これは放送できるのか分からないですけど、江戸時代の深井志道軒という講釈師は男性の下半身のかたちをした針を使ってたたいていたという、そういう人もいるんです。
(※深井 志道軒(ふかい しどうけん、延宝8年(1680年)? - 明和2年3月7日(1765年4月26日))は、江戸時代中期の講釈師。)

【三浦】 へえ。面白い。

【大野】 どういう狙いなんですかね。

【山下】 すごい。

【神田伊織】 どういう狙い何ですかね。

【三浦】 それだけでウオーっと注目が集まるということでしょうね。

【神田伊織】 アバンギャルドな講釈師も江戸時代にはいたんです。今それやったら結構大変ですね。今のほうが、しきたりがだいぶ違います。上方は関西の講釈師の方は東京の方よりも派手なのを使ってる。色のついた紙で巻いてたりとかしますね。

【三浦】 へえ。今上方の講釈師さんの話が出ましたけども、上方にも講釈師さんって結構いらっしゃるものなんですか?

【神田伊織】 そうですね。基本的に講釈師は全国に90人ぐらい。落語家・噺家さんは800人ぐらい。大体10分の1ぐらい。

【三浦】 90人って少ないですね。

【神田伊織】 そうですね。ただ、これでも戦後、間もないころは24人にまで講談師が減るという。

【三浦】 なんかそういう本ありましたよね。著名な講談師が書いた。

【神田伊織】 貞鳳先生、一龍齋貞鳳が。

【神田伊織】 そこから比べるとだいぶ増えましたね。

【三浦】 ああ。それで昨今有名な松之丞(伯山)さんが、絶滅危惧職っていう本を出してたんですかね。

【神田伊織】 そうですね。本当に24人の頃はもう絶滅すると言われてたんですけども、どうやって増えたかというと私の師匠の師匠、大師匠っていうんですけども。2代目神田山陽。伯山先生も大師匠は2代目神田山陽。今、神田を名乗ってる講釈師は全員そうですね。全員2代目神田山陽の弟子筋に当たるんですけども、2代目神田山陽が女性の弟子を育てることに成功して、その女性の弟子たちがまた女性の弟子を育てるかたちで、それで講談師の数が増えて、結果的には今は90人ぐらいの講釈師の半分以上が女性になっています。

【三浦】 半分以上が女性?

【神田伊織】 はい。

【山下】 女性が働きやすい職場。

【神田伊織】 そうですね。そうなんですよ。

【三浦】 それはなんか、今を先取りしてますね。

【山下】 今っぽい。

【神田伊織】 そうなんですよ。ものすごく封建的な世界なんですけども、そこに関しては先取りしてます。

【大野】 進化が早かったという。

【三浦】 でも、それでもまだ90人って少ない気がするんですけど。

【神田伊織】 そうですね。その90人のうちの60人ぐらいが東京にいまして、残りの方が関西。

【三浦】 そうなんですね。これからどんどん増えていきそうな感じってあるんですか? 気配としては。

【神田伊織】 そうですねえ。まあ伯山先生のところに弟子志願がどれぐらいるかっていうところじゃないですかね。

【三浦】 なるほど。やっぱり有名な師匠のところにみんないきたいなっていうのは。

【神田伊織】 どうなんですかね。そもそも講談の世界に入ってくる人は変わり者が多いですから、世の中の流れをあまり意識しない人も多いんで、意外と伯山先生がこれだけ活躍していてもそこには入らずに、という人も多いですね。私の講談協会で前座の後輩が二人でいるんですけども。

【三浦】 あ、前座の後輩二人なんですか。

【神田伊織】 今前座は全部で5人いまして、私は真ん中で。後輩二人も伯山先生が知られるようになってからもそこは全然興味をもたない。

【三浦】 なるほど。今ちょっと前座さんの人数の話になりましたけど、前座さんの場合って、どういう日常をおくってらっしゃるんですか? 
落語家の場合って、住み込みだったりっていうのが。

【神田伊織】 ああ、今は落語も住み込みはほとんどないですね。

【三浦】 もうないんですか?

【神田伊織】 師匠の方も嫌がりますからね。

【三浦】 そうですね。プライベートに。

【山下】 たしかに。

【神田伊織】 ですから、通いの弟子ですけど、ただその通いというのもどの程度通わせるかは本当に師匠次第ですね。私の師匠なんかはそういうのはいいって。稽古の時に行ったり、あとは大掃除に行ったりとか。そういうのはありますね。

【三浦】 毎日とか掃除がなくていいってことですよね?

【神田伊織】 昔はそういうのがありましたね。

【大野】 師匠独特のルールとかそれぞれ師匠ごとにあって、うちの師匠だけなんかとんでもないルールがあるとかそういうのはありますか?

【神田伊織】 そういうのはないです。結局、一応協会に属すわけですけども、基本的には師匠のところにいるという。師匠がやっぱり絶対ですね。師匠の好み、価値観に合わせる。

【山下】 伊織さんは師匠に入門させてくださいって言ったのは講談教室の流れで、そのあとちゃんと言いにいったんですか?

【神田伊織】 そうですね。改めて。

【山下】 どんな感じだったんですか? 言ったときは。

【神田伊織】 私の師匠は昔ながらの徒弟制度にあまりこだわらない人なんですよ。で、弟子も本当に同じような対等の人間として扱ってくれるんです。ですから、弟子として私は居心地が良くて、ここまでやってこれたようなこともあるんですけども、弟子入りのときも、まあちょっとやってみればみたいな感じでしたね、うちの師匠は。ですから、師匠の感じで軽い気持ちで入ったら、そんな軽い気持ちではとても過ごせないって感じでしたね。

【三浦】 それはもう前座見習いの3カ月間で完全に分かったって感じですかね?

【神田伊織】 そうですね。3カ月というか、最初の1日目はただ楽しかったですね。初めて部屋入りして、皆さんにご挨拶して、そしたらみんなニコニコ先輩が迎えてくれたんですけど、翌週には怒られてましたね。もう激怒されちゃって。

【三浦】 ああ。ちなみに、それはどんなことで怒られるんですか?

【神田伊織】 挨拶のし方もそうですし、あとは前座がまずやる仕事というのは着物を畳んだり、その着物の畳み方なんかの覚えが遅かったり、雑になってしまったりスピードが遅いということで大変怒られました。楽屋でのちょっとした振る舞い方一つ一つが、とにかくいつでも周りの方の様子を見て気を遣う。それを「気働き」っていうんですけど、そういうのが全然できなかった。自分ではわりとできるんじゃないかなって思ったんですけど、水準が違いましたね。

【三浦】 なかなかやっぱり厳しいですね。

【神田伊織】 厳しいですね。特に講談協会の場合はやっぱり女性が多いので、女性のほうがいろんな細かいことに気づいて。で、男はぼんやりしてて、とろくて、そういう男を見ると先輩のよくできる女性からすると。

【三浦】 イラっとするわけですね。

【山下】 それは、かみさんとかにいろいろ怒られるのと同じかもしれないですね。これを洗ってないとか、畳んでないとか、そんなことなんですね。

【三浦】 着物を畳むっていうのは、つまり着物は着物であがるじゃないですか。何を畳むって言うことになるんですか?

【神田伊織】 まず着替えのときですね。皆さん私服でいますね。

【三浦】 私服はやっぱりもう皆さん洋装が多いんですか?

【神田伊織】 もちろん、もう普段は。今、日常的に着物で暮らしてる方は、そういう人がいたらいいなあっていう憧れはあるんですけど、さすがに。

【三浦】 落語家さんも、見てると楽屋はみな洋装ですもんね。

【神田伊織】 そうですね。まあ、普段から着物でおしゃれにしてる方もいますけど、そういう方でも家の中ではやっぱり洋装ですね。講談の場合、師匠というのは自分の弟子入りしてる方を、師匠というので、ほかの先輩方の真打の方は先生って呼ぶんですけど、先生方がまず楽屋にいらっしゃって、それで楽屋入りしたら最初にお茶を出す。

【三浦】 お茶。

【神田伊織】 すぐにお茶を出す。それで、高座に上がる。30分ぐらい前になると皆さん着替え始める。着替え始める様子を見せた段階で、サッと着物をカバンから取り出して、もう言われなくてもこっちで揃えるという。風呂敷を開けて、足袋を履きやすい形にセットする。で、その足袋は左足から差し出す。そういう細かいことがいろいろ。それで、先生方が服を脱いだら、脱いだものをハンガーにかける。で、丁度いいタイミングで着るものを順番に出していく。これもやっぱりタイミングがずれたりすると、お前はなになにだって、怒られちゃいますね。

【三浦】 ああ。女性の先生方って着替えるときも、そばについてるんですか?

【神田伊織】 これはですね、女性の先生にもよるんですけども、大体の先生方は女性の場合は男の前座はあまり近づけない方が多いですけども、人によっては襦袢を着たあとぐらいからですかね、手伝わせる方もいますね。

で、男の着物より女性のほうが帯とかやっぱり難しいんですよね。
そこは私は正直なるべくつきたくないですね。女性の先生が着替えるときはなるべく近づかないように。下手に近づくと、なんでそこにいるのに手伝わないのっていうことになっちゃうんですよ。

【大野】 手伝おうにも難しいわけですよね?

【神田伊織】 難しいですね。で、大体の方はそこまで難しいところまでやらせないので簡単なお手伝いはできるんですけども、難しいところまでやらなきゃいけない状況にならないように。

【三浦】 身の置きどころを。

【神田伊織】 で、後輩の女性をそっちに近づけるとか

【三浦】 ああ、後輩をね。後輩はやるとそれできますよね。

【神田伊織】 そうそう。まあ、最初の着替えのときについて、高座に上がって降りてきて、そのあとにまた脱ぐわけで、その脱いだものを畳む。

【三浦】 ああ、それもまた難しそうですね。着物を畳むのって。

【神田伊織】 そうですね。それをやっぱり短い時間で丁寧に。なおかつ楽屋が狭いときに、どんな狭い空間でもちゃんと畳めるようにするっていうのが大事なんですけど。そこができるようになるまですごく時間がかかりますね。

【三浦】 どのくらいかかったんですか?

【神田伊織】 うーん。よく考えると今だってちゃんとよくできてるのか心もとないですね。

【三浦】 ああ。未だにそれを修行中みたいな感じなんですか?

【神田伊織】 まあ、あまり今そこを言われませんけども、
最初の1年~1年半ぐらいは毎回怒られてましたね。

【大野】 やりなおしとかになっちゃうんですか?

【神田伊織】 なってましたね、最初は。

【三浦】 楽屋でもやり直しって言われるんですか?

【神田伊織】 最初はなりましたね。ちょっと着物がずれてたりして、最初からって言われました。

【三浦】 まあでも、それは逆にいうと教える側の優しい。
怖いけど優しい気持ちがあるんですね。
もういいから、私やるからじゃないんですもんね。

【神田伊織】 まあでも、よく、私やるからってされちゃって、
横でしゅんとしてあとで怒られるという。

【山下】 何年ぐらい経つと、先生もそういうふうなことを言わなくなってくるんですか?

【神田伊織】 うーん。人によるんですけどね。ずっとおっしゃる方はおっしゃりますし。

【三浦】 ずっと経験を積んでいっても言う人は言うと?

【神田伊織】 そうですね。

【山下】 今弓道の「弓と禅」という本を読んでるんですけど、なんとか道、講談師も芸道みたいな感じじゃないですか。道を極めるのは、自分で自分の存在をなくして分からない状態になって、相手のために何かやる。そういうことをやってらっしゃるんじゃないかな。逆にいうと、講談道じゃないかと。

【神田伊織】 たしかに。本当によくできる前座は多分存在感がない前座だと思うんですよね。

【三浦】 ああ、無の境地。

【神田伊織】 無で、そこにいらっしゃる先生がこうあってほしいと願うことを全部丁度いいタイミングで一切存在を意識させずに気を使って動けるのが、スーパー前座と言える人ですね。

【山下】 だから、多分自我がなくなってるんですよね。自分がこうしたいとかじゃなくて、先生がこうだから、こういう感じでっていうのが、空気と共に共感できてるんですよ。

【神田伊織】 ああ。スーパー前座はそうだと思いますね。

【三浦】 でも、前座さんだとしても講談師ですから、当然読むことが大事なわけじゃないですか。

【神田伊織】 いや、これは楽屋では高座のことに関しては何も言わない。前座はとにかく高座がどうこうよりも楽屋仕事というふうに言われます。

【三浦】 スーパー前座の人が、でも前座さんも高座に上がりますよね。で、うまいとかって限らないわけですよね。

【神田伊織】 限らないんですけども、やっぱりいろんなことに気を配れて、相手が何を望んでるかを察知できる能力が、結局お客様が今どういう話を求めているかとか、このお客様にはこういう語り口、こういうスピードで読んだり、こういう声の大きさで読んだほうが合うだろうなとか、そこを全部その時その時に対応できるのがやっぱりいい芸人みたいな。てなると、そこで通じるところがあるみたいで。

【三浦】 いい前座さんといい講談師の通じるところがあると。

【神田伊織】 て、言われますね。まあ、でもよく分からないですね、実際そこは。


以下文字起こしのブラインドライターズの担当者さんのコメント
---- 担当: 北村直也 ----
ご依頼ありがとうございました。着物の準備をする話で、私も男性のが女性の先生を相手にどうするのか気になっていました。しっかり納得です。講談は見たことがなく、とても新鮮でした。こちらの起こしが製作のお役に建てれば嬉しいです。
 
テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)

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