見出し画像

【PODCAST書き起こし】オフィスコットーネの綿貫 凜さんへ演劇人生について聞いてみた(全7回)その7 谷さんの見たオフィスコットーネ作品と海外戯曲の上演

【PODCAST書き起こし】オフィスコットーネの綿貫 凜さんへ演劇人生について聞いてみた(全7回)その7 谷さんの見たオフィスコットーネ作品と海外戯曲の上演

【山下】谷さんは僕以上にコットーネの作品を観てらっしゃいますけど、何か印象に残ってらっしゃるものは。

【谷】僕はね、そういう意味では最初に観た大竹野さんのが『屋上のペーパームーン』で。

【綿貫】まだ軽いテイストの演出ですね。

【谷】そうですね。お笑いありの感じでね。

【山下】2016年に谷さん。谷さんのほうが僕よりオフィスコットーネの観劇歴が長いんですよ。

【綿貫】これも、でも大竹野さんの本でいつもハードルがあるのが関西弁かどうかということなんですね。関西弁で書かれているのと標準語で書かれているのがあるんですよ。
標準語で書かれているものは普通にキャスティングできるんですけど、関西弁で書かれているもので『屋上のペーパームーン』は残念ながら誰も大阪出身がいなかったという、キャストの中に。

【山下】僕、大阪出身なので、関西弁がちょっとニュアンスが違うとね。

【綿貫】気持ち悪いんですよね。

【山下】そうなんですよ。あれはあるんですよ。

【綿貫】いや、すごく方言指導を入れて頑張ったんですけど「僕、気持ちが悪い」って言われたんです。そこがいつも関西弁のハードルの高さと、やっぱり関西人の根っからの気質みたいなものが東の私たちの中にはないんですよね。

【山下】このお二人は東の人ですから。

【谷】私、横浜なんですよ。

【綿貫】会話を途切れさせないというか常に何か言ってるとか。

【山下】関西人はそういうとこありますよね。関西人は収録してインタビューすると声が必ずかぶさる。

【谷】かぶっちゃうんだ。

【山下】だから「どうですかって聞いたら1秒経ってからしゃべってください」とか言わないと。

【谷】Zoomでかぶっちゃうんだよね。

【山下】すぐしゃべり出すから、ほんまに。Zoomでかぶるのは本当にそうなんです。ごめんなさい、初っ端から。

【綿貫】いえいえ。

【谷】だから、『埒もなく汚れなく』というのが大竹野さんを描いた作品ですよね。と、奥さんですよね。

【綿貫】そうですね。大竹野さんの物語を奥さんの視点から。

【谷】劇団チョコレートケーキの西尾友樹さんが出てる。

【綿貫】西尾さんは大阪出身。

【山下】西尾さん、大阪なんだ。いいじゃないですか。ばっちりじゃないですか。

【綿貫】そうなんですよ。ばっちりだったんですよ。

【山下】これ、行ったらよかったな。失敗したな。

【谷】そのときに確か奥さんがお見えになってたんじゃないかな。

【山下】えっ、なんで分かったんですか、奥さんて。

【谷】だってアフタートークで。

【山下】そういうことか。

【谷】瀬戸山美咲さんと、確か奥さんと綿貫さんの3人でアフタートークをやってらして、より深く大竹野さんを知ったわけです。

【綿貫】そうですね。どんどん作品にのめり込んでいくと同時に、やっぱり大竹野さんという人物にものすごくのめり込んでいったんですよね。

【山下】分かります。

【綿貫】もう止めどもなく止まらなくて。

【山下】その熱量は、でも観客に絶対伝わってます。

【綿貫】ありとあらゆるところに出かけて行き、ちょっとでも生前の大竹野さんと話したことがあるという人に話を聞きたいと思って。

【山下】素晴らしい。会ってらっしゃるんですね。

【谷】「聞きたい」がすごいですよね。

【山下】すごい。

【綿貫】聞きたいんですよ。私、お会いしてないんで。

【谷】だから、19年か、その3年後に改訂版の『埒もなく汚れなく』をシアター711でやって。

【山下】2019年ですね。

【谷】僕、同じ日にGEKI地下Libertyの『山の声』。これは、あちらのくじら企画ですか。オリジナルのお二人が。

【綿貫】そうです。オリジナルバージョン。そうなんです。

【山下】これ、むちゃ近いじゃないですか、しかも劇場が。徒歩30秒。

【綿貫】本当はね、同じところでやれたらよかったんですけど。同じ劇場で飾り替えをして、やれたらよかったんですけど、東京はそれが『山の声』ってタッパがないとできないんでシアター711だとちょっと厳しくなって。

【山下】天井が低いのか。なるほどね。

【綿貫】低いんですよ。それで下北沢でもっと天井の高いところはないかなって。

【谷】あそこは高いですもんね。

【山下】あそこは高いね。地下のね。

【谷】もうだけど、あそこも閉まっちゃったんですよ。コロナでね。

【綿貫】閉まっちゃったんですよね。

【山下】建て替え?

【谷】いやいや、コロナで何かあったみたい。何か別のあれになるって書いてあった。

【綿貫】閉館したんです。

【山下】もったいないねえ。

【谷】それで、僕、あのときがね、ものすごい寒かったの。芝居が寒いって言っちゃ、あれじゃない。エアコンが寒くて、本当にね、劇中にいる感じ。

【山下】エアコン? 5月だから。

【綿貫】『山の声』のほうですか。

【谷】そうそう。

【綿貫】それね、わざとかもしれない。

【谷】本当にね、寒かった。

【山下】ちょうどいいじゃないですか。演出ですよ、演出。かき氷とかまいてたんじゃないですか。もう再現してもらおうと思って、お客さんに。
そうか、谷さんはこの『埒もなく汚れなく』を、そういうところだったんですか。

【谷】それ、2回観てるの。改訂版も観てるし。で、『さなぎの教室』を観て、松本哲也さんが。

【山下】これも面白かったらしいですね。

【谷】突然、松本哲也さんが女性役になって。

【綿貫】松本さんがヨシダをやるって。

【山下】それは僕も読みました、ニュースか何かで。ツイッターか何かで。「松本さんがやるんだ」と思って。

【谷】で、今年に入ってからは大竹野さんじゃないですけど海外の作品を日本で拝見して。

【綿貫】そうですね。スタートはそんな感じでアナザーというところから割とゆっくりめに。
でも、「次はこれやりたい、次はこれやりたい」みたいな感じで徐々に広げてって、だんだんだんだん誰も関心を持っていなかったんですけど徐々に徐々にお客さんが付いて、それで、じゃあ本公演にかけられるかなと思ってやったのが、たぶん『屋上のペーパームーン』だったと思うんですよね。

【山下】2016年ですね。

【綿貫】その辺りで1回、先ほども言いましたけど、作家の大竹野さんに対する想像力というか興味とか関心がものすごくわいて、これもやっぱり思いつきなんですけど、瀬戸山さんとその次の年に何かをやろうってことでお話をさせてもらってて、何をやろうかということをずっと話してたんですけど、やっぱり、ある日突然「あっ!」って思って。
瀬戸山さん、すごく取材して人物を描くということを得意にされていて、他に何か事件のネタがないかとか、いろいろお互い提案してたんですけど、「あっ!」と思って「大竹野さんを芝居にしてくれないか」と言ったんですよ。
そうしたら「その人は誰?」という話から始まって。

【山下】最初はそうなりますよね、だいたい。

【綿貫】実は、ここ何年か私が追って上演している作家なんだけど、こうこうこうでという話が1時間とか2時間とか電話で大竹野さんについての人生みたいなのを、こういう人でこういう人で、こういう亡くなり方でとか遺作がこうでとかいうことをすごく語ったんです。
そうしたら「ちょっといろいろ本を読んでみたいから」と言って送って、それで、いろいろ本を読んでもらったりとかして「どうかな。興味持ってるかな」ということで「すごくあります」ということで、そこから二人で大阪に行って取材を。

【山下】瀬戸山さんと?

【綿貫】はい。

【山下】すごい。贅沢ですね。すごくいいですね。

【綿貫】劇団員の方とか、あと、いろいろ昔のこととかをやっぱり知ってる方とか、もういろんな人に何回か。

【山下】聞いて。

【綿貫】ええ。小堀純さんって、大阪でいろいろ審査員とか、あと、昔ジャーナリストでいろいろ書いていらっしゃる小堀純さんって方がいらっしゃるんですけど、小堀さんはやっぱり大阪の劇作家をすごく応援していて、すごく。例えば南河内の内藤さんとか。

【山下】内藤さんね。

【綿貫】大竹野さんのこともすごく才能を買っていて、ただすごく不器用で表に出てこないから、すごく小堀さんが「大竹野は面白い」と言ってすごく宣伝されてたんですよね。
で、内藤さんのこともすごく。

【山下】内藤さんはね、ある種、割とメジャーな劇団でもやってたんじゃないですか。

【綿貫】でも内藤さんは志向がやっぱりそっちなので、ただ、大竹野さんはそっちの志向がないので、見かねた小堀さんがいろんな業界の人に「ぜひ大竹野の作品を観てほしい」ということで、小堀さんがすごく積極的に推してらしたんですね。

【山下】「観てくれ」と。宣伝マンになって。

【綿貫】私は知らなかったんですけど、小堀さんにもお会いしていろいろお話を聞いたりとか、その関係者とか、いろんな方にお話を聞いて、1年間ぐらい。
それで私たちが取材した中で、フィクションもありますけど、ほぼほぼエピソードは本当のエピソードで、私たちが想像した大竹野像というものを初演のときに作ったということで。

【山下】できたと。瀬戸山さんと一緒にお作りになったんですね。

【綿貫】そうですね。でも、それもやっぱり東京で受け入れられないんじゃないかということはプロデューサーとしては思いましたね。だって、作品は上演してましたけど、大竹野さんって知らないから。

【山下】「誰? その人」みたいな。

【綿貫】そうですね。それはやっぱり別役実さんとは大違いなので。だから、そういう無名な人を作品にして、それが果たして興行として成立するのだろうかという不安みたいなものはすごくありましたけど。

【山下】ドキドキしますよね。

【綿貫】やっぱり本当に最後のほうの通しを観て「いけるな」というか、これは本当に作品的に素晴らしいなって確信しましたね。

【山下】でも、それはいろんな意味で観客の評価も含めてうまくいったんじゃないですか、最終的にはこんなに。

【綿貫】そうですね。

【山下】ものすごく良かったかどうかは分からないけど、ある一つの価値が、ブランド? 僕は一番重要なのは、オフィスコットーネのブランドができてきたんじゃないかなと思って。

【綿貫】そう言っていただけるのは。

【山下】コットーネさんって書いてあると、ちょっと観ようかなと。

【綿貫】ありがとうございます。

【山下】北村明子プロデューサーがシス・カンパニーという名前をブランドにしたように、たぶん、それがすごく、この数年ですけど我々は、それができてるんじゃないかなと思って。

【綿貫】特に意識してということではないんですけど。

【山下】いやいや、それは継続をしたことの結果だと思います。

【綿貫】そうですね。基本的にはやっぱり私が興味を持たないとということなので、あれなんですけど。

【山下】いやいや、それはプロデューサー冥利じゃないですか。

【綿貫】やっぱり客観的に周りから、観た方に言われるのは「あっ、コットーネらしいよね」っていうふうに言われることが多いのと、「あっ、コットーネだよね、この作品は」って「シスカンパニーじゃないね」って言われることが多いっていう。

【山下】面白いね。

【綿貫】「そうね」という何か。

【山下】それは面白い。

【谷】確かにね。なんとなく分かります。

【山下】何かありますよね、それは。
それでちょっと時間が厳しくなってきたので、最後に、谷さんがご覧になった『墓場なき死者』、サルトルのやつと、カレル・チャペックでしたっけ、『母 MATKA』。

『母 MATKA』は、谷さんから絶対観たほうがいいってメールが来たんですけど、僕のスケジュールが合わなくて行けなかったんです。
それで、海外の戯曲を最近割とやられてるみたいですけど、これはどういう経緯で。

【綿貫】もともとは、何かやろうというものは。

【山下】これです。『母 MATKA』のチラシです。

【谷】チラシじゃ、これ、パンフレット。

【綿貫】パンフレット。

【山下】ちゃんと購入。良かったら買うんですね、谷さん。素晴らしい。

【谷】あまりにも良かったんで。

【綿貫】ありがとうございます。

【山下】「観ろ」という感じだったんですけど行けなかった。

【綿貫】戯曲のストックが結構いろいろあって、いっぱいあるんですよ。

【山下】ストックが。さすがですね。

【綿貫】ネタも含めて、こういうのをやりたいというのはたくさんあって。

【山下】あるんですね。すでに持っていらっしゃる。

【綿貫】ふだん、時間があるときに図書館に行って(今は行けないんですけど)戯曲を読んだり探したりとかしてて、世界にはね、ちょっと頭のおかしい劇作家がいっぱいいるなと思う。だいたいそういう方は早く亡くなられている方が多いんですけど。本当に世界はこんなに広いなって。

【山下】本当ですか。サルトルとか長生きしてる。

【綿貫】サルトルはやっぱりちょっと上のほうの方なので、あれなんですけど。
で、たくさんあるんですけど、基本的にいつも思ってるのは、何の作品やるんでもいいんですけど、作品紹介に終わらせたくないという。「こんな作品、ありますよ」ということではなくて、こういう作品を今、私たちがやるということは、やっぱり血肉がついて、それなりの息遣いがやっぱり感じられないとダメだし、その作家がどんな思いでこれを書いたかということはやっぱり最低限届けられたらなと思うので、それをいつも考えているということと。

【山下】そこはプロデューサーとしても心の根っこのところをおさえて。

【綿貫】あと、もう一つ考えてるのは、なるべく他のプロデューサーが嫌うような作品をやりたいなって思ってますね。

【山下】面白いですね。

【綿貫】「絶対やらないだろう、これは。コスト的に」とか、「無理だろう」と。

【山下】公共劇場のプロデューサーみたいですね、もう。

【綿貫】そうですか。それはいつも考えていて。

【山下】逆にそれはオンリーワンになるな。オフィスコットーネのブランドのオンリーワンになる。

【綿貫】そうですかね。

【山下】そんなの他はやらないよな。

【綿貫】他の人がやるものは、他の人がやるべきもので、例えば本当に資金がとてもあって、すごくセットを大きく作れるとか。

【山下】そういうパターンね。

【綿貫】そういうパターンはうちにはそれは無理なので、そうじゃない、やっぱりそこではないところで、さっき言ったみたいにすごくたくさん出て大変とか。
往々にして、まず社会的な、要するに問題をテーマに扱っていることも多いんですけど、そういうものをセレクトしてしまいますよね。
で、サルトルの『墓場なき死者』もほとんど日本で上演されてないんですよね。

【山下】ですよね。「こんなのがあるんだ」って。この戯曲があること自体知らなかった。

【綿貫】でもかなり古い翻訳はあって、何年か前、たぶん6、7年前からあって、いろんな演出家に「これ、やりませんか」って言うんですけど「No」とか言って。

【山下】これ、『墓場なき死者』の演出、誰がやったの?

【綿貫】稲葉賀恵さんという文学座の。

【山下】稲葉さん、文学座の。すごく今、最近、売れてますよね、稲葉さん。

【綿貫】そうそう。それで、いろんな方にいつも「この戯曲はどうですか」とか言うんですけど、お断りをされたりとか。

【山下】でもそういうロビー活動はずっと続けていらっしゃる。

【綿貫】してます、してます、普段。その演出家に会うとか。

【山下】そこはプロデューサー冥利に尽きるじゃないですか。「この人が、これやるといいだろうな」ってやってらっしゃるわけですね。

【綿貫】そうですね。ただ、その演出家の方が興味を持たれないと始まらないので。
で、稲葉さんは、私がそれを提案したときに「面白いと思う」って言ってくれたんですよ、初めて。今までずっと……。

【山下】反応がなかったけど、稲葉さんだけ、いい反応があったと。

【綿貫】私も、そのときはそんなに深くはサルトルの勉強していなかったし、そこから深く、1年ぐらいかけて掘り下げたんですけど。

【山下】それがすごいな。プロデューサーの鏡だな、これは。

【綿貫】いやでも、それじゃないと、できないですよね。

【山下】すごいと思います。

【綿貫】そうですか。

【山下】いや、もうCMプロデューサーの底の浅さが思い知らされるようなお話でございます。

【綿貫】だからそこからちょうどコロナ禍だったということもあって、1年ぐらいかけて勉強させてもらったんですけど、本当にサルトルは奥が深くて、いや、もう面白いんですけど、やっぱりもう全然勉強が足らなかったかもしれないんですけど、でも私としてはすごく満足のいったもののようにできたと今でも思ってます。

【谷】すごく良かったですよ、あれは。

【綿貫】あの中で、やれてよかったと思ってます、あのコロナ禍の中で。

【山下】ですよね。本当に、2月だから緊急事態が出てるときで。

【綿貫】そうなんです。

【谷】流れちゃうかなと思いつつ、僕も行きましたんで。

【綿貫】いや、もう「流したくない。流さない」って、言い張ってましたけどね。それぞれ現場って話し合ったりとか、反対意見とかもありましたけど、もう頑として「やれ。やりたい。協力してほしい」ということを言いましたら、皆さん結構快諾していただいて、やれたことは本当によかった。

【山下】検査とかね、ちゃんとしてやればね。

【綿貫】で、偶然かもしれないんですけど、その次の吉祥寺シアターまで小屋取りというか、あれが決まってたもんで。
ちょうどサルトルのあとに何をするかというので、また続けて稲葉さんにはお願いしていたので「ちょっと、じゃあ」って言ったときに、稲葉さんのほうから「カレル・チャペックをやりたいんだ」という提案があって、それはやっぱり1年ぐらい前に1回提案があったんですけど、そのときはまだコロナのことがこんなふうになる前だったので「いや、これはちょっとどうかな」というので、そこで1回流れた企画だったんですね。
ただ、もう一度改めて読み直したときに、サルトルの『墓場なき死者』に続いて戦争と人間のエゴみたいなものをすごく描いてるなということと、最後の終わり方の感じ、ラスト。

【谷】増子さんのね、最後のモノローグがずっと続くんですよね。

【山下】母のモノローグ。

【綿貫】やっぱり今の状況、世界中で今も繰り返されている、戦争が終わらない、復讐の連鎖が続いているということがすごく、あの本を読んだときにすごく胸に刺さったんですね。それで「もう、じゃあ、すぐこれをやろう」ということで上演することになったんですけど。
こちらは同じ戦争と人間のエゴということなんですけど、こちらは一つの家族の話で、家庭の中がいわゆる世界の縮図みたいな捉え方で作ったんですね。

【山下】面白いね。

【綿貫】サルトルとは全然違うんですけど、チェコの作家だし、そんなに有名な作家ではないんですけど。ただ、やっぱりすごく戦争に対しての憤りといいますか、チャペックはやっぱり、すごくそれを感じたので「ぜひ、やりましょう」ということで。
もうこのときも緊急事態宣言がやっぱり発令されていて延長されてしまったので、できないかもしれないという状況、また2度目、なりましたけど。

【山下】大変ですね。

【綿貫】これもなんとか強引にやれて、すごくよかったですね。
大竹野さんもそうですけど、作家について、やっぱり作品をやるときに作品紹介にならないためには、どういうことでこの作家が何に影響を受けて、やっぱりその時代背景とか家族のこととか本当に分からないと。

【山下】全部理解して。

【綿貫】合ってるかどうかとか、それが正しいかどうかとかは別にして。聞けないですから、もう亡くなってて。でも、それをすごく深く考えないと、やっぱり作れないですよね。失礼というか、やっぱり作家に敬意を払うという意味では、もちろん日本の作家もそうなんですけど、日本だったら、もうちょっと近いところで同じ国民というか日本人だから分かるんですけど、文化が同じなので。宗教とか文化が違う海外、ましてや時代を経てると本当に分からないので。

【山下】ちゃんと理解して、本質を見つけて描こうということですね。

【綿貫】そうですね。完全に理解し切れてるかどうかは分からないんですけど。

【山下】そこは時間いっぱいで頑張る。

【綿貫】そうですね。そこはやっぱり一番こだわっているところですし、俳優にはやっぱりそういう話を共有したいですよね、作っていくときに。
で、その作家に興味が持てるときは本当に面白いなって思うときですよね。

【山下】でも最近そういう興味の持てる作家さんと大竹野さんについてなどを続けておられて、それがオフィスコットーネのブランドになっていったということは、とても誇らしいと思います、本当に。

【綿貫】あと、創作劇もやりたいんですけど、新作、今の作家とかの。

【山下】面白そう。オフィスコットーネの新作。

【綿貫】現代作家と何か新しい現代のことをやりたいとは思ってるんですけど、なかなか今の環境が難しいのと、お話ししたとおりに、本があってそこから時間をおいていろんなことを考えたいので、なかなか制約があるんですよ。さっき言った劇団だと可能なのかもしれないんですけど。

【山下】逆に綿貫さんとかだと、本がいくつかあって、醸成する期間があって、「じゃあ、2年後に、新作だけどやる」というようなのがあると、日本の新作も「それは、コットーネプロデュースでじゃないかな」って気がしますよね。

【綿貫】そうですね。その方法も今、探っていますね。新作を取って出しではなくて、ちょっと熟成させてやろうかなということも考えては。

【山下】それ、いいですね。締め切りに追われて時間がないから「じゃあ、これでいきます」というのもね。

【綿貫】あと、稽古初日に半分しかないとか。

【山下】ありますよね。もう本当に喜劇の舞台でもそういうのがありますけど。

【綿貫】そうなんですね。なるべくそれは、同じ集団で共通言語があれば可能かもしれないですけど。

【山下】劇団員だったらできるかもしれないけど。

【綿貫】なかなか難しいと思うんですね、一過性のカンパニーでやるとなると。

【山下】分かります。いや、今日ちょっとあれなので、いろいろと綿貫さんに聞きたいことがあるんですけど半分ぐらいしか聞けなかったので、また機会があったらいらしていただいて、じゃあ、1回ここで休憩です。ありがとうございました。

【綿貫】はい。

テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)

文字起こしの担当者:高橋倫花
コメント:このたびは、ご依頼いただき誠にありがとうございました。
ブランドについてのお話を特に興味深く聞かせていただきました。
またのご依頼をお待ちしております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?