見出し画像

【PODCAST書き起こし】オフィスエムズの加藤浩さんに和田尚久さん、三浦知之さんが落語会と寄席などについて聴いてみた(全5回)その5

【PODCAST書き起こし】オフィスエムズの加藤浩さんに和田尚久さん、三浦知之さんが落語会と寄席などについて聴いてみた(全5回)その5

【和田】でもさ、加藤さんみたいに、主催であるし、回数的にもすごい落語の会やってるじゃないですか。そうすると逆に、音って残さなくなるでしょ。

【加藤】そうなんですよ。音も資料も何も昔はもう、自分がもうマニアの頃はもう。

【三浦】昔は録ってたんですか? 必ず。

【加藤】プログラムとか音源、最初の頃は録ったかな、でも。第1回目ぐらいから。全然。

【和田】そうなんですよ、だから……。

【加藤】自分の人生の中でそれを聞く時間もないわ、きっと。

【和田】ああ、そうね。

【加藤】(立川)談志師匠とこもいろいろ資料あるけど、あんなの1回も。目を通したり見たこと聞いたこともないって言ってましたもんね。

【和田】まあそうでしょうね。うん。だからそれがやっぱりあの、加藤さんとか他の方も、プロでやってる人って、何て言うのかな、そのライブに値打ちを置くから、そこを何か必死になって音録ってとかっていう感じにならないんですよね。

【加藤】そうですよね。

【三浦】ライブ版にはそんなに固執しないっていう、ライブ……やられてる時は良くて。

【和田】いや、そういう事ですね。やられて一回性のものだっていうね。

【加藤】そうです。

【和田】そういう事ですよね。

【加藤】そうです、本当に。……鈴本(演芸場)のあのトリの(柳家)小さん師匠よかったね、でもね。

【和田】まあ、そういう事ですね。

【加藤】小さん師匠なあ、『夏泥』でトリで。

【三浦】その時のやっぱり……その、会場の空気感とか、いろんなの全部総合してですもんね、よかったなっていうのは。客の、こう、いろんな人がいて、その音だけ録ってもっていう……。

【和田】演者さんも割とそうなんですよ。だから、そこが僕とかさっき言った草柳(俊一)さんっていうのは、割と何か残したいっていう人間なので、自分が関係した会とか、関係してなくても、これちょっと何かお願いして録りませんかとか言って、もちろん嫌だって言ったらやりませんけど、って言うんだけど、そこで何かね、こう意識の、こう溝をね、感じる時があって、何かそれでやってんじゃねえんだよっていう雰囲気を、ね。

【加藤】感じますよね。

【和田】感じる時もあって、でもまあ、究極的にはそうだよなって、複製物は複製物でしかないですからね。

【三浦】そうですよね。

【加藤】「加藤さんいい録音があったんだよ、これ差し上げるから」って。聞かないもんね、私。全然。

【和田】あの、桂吉朝さんが亡くなった時に、(国立)文楽劇場で最後独演会やって、二席予告してたんだけども体調が悪すぎてできなくて、トリに出て『弱法師(よろぼし)』って噺をされたの。『菜刀息子(ながたんむすこ)』です。

【加藤】はいはいはい。

【和田】『菜刀息子』。

【三浦】『弱法師』?

【和田】『弱法師』ですね。

【三浦】『弱法師』、あの能の『弱法師』。

【和田】で、落語では『菜刀息子』ってもう一個題がある、同じ噺なんですけど。

【加藤】(桂)小南師匠とかね。

【和田】で、それを……されたのね。で、僕、客席で観てて、これ、本当に素晴らしい高座だったんですよ。亡くなる11日前だったんで。

【加藤】わあ!

【和田】素晴らしかったと僕の記憶の中ではそう思ってるわけ。で、亡くなったあとに、それを文楽劇場のちゃんとした録音じゃなくて、小屋の録音機で録ってたわけです。それと『そってん芝居』っていうのも二席カップリングで東芝EMIから「桂吉朝忘れ形見」ってCDが出たんですよ。500部限定って出て、僕も早速買ったわけ。そしたらやっぱり聞いたら、生で聞いたのとここのCDの中の『弱法師』は、もう全く別のもの。うん。で、逆に言うと、これ聞いて、あの『弱法師』っていうふうに判断されたくないと思いましたもん。

【三浦】ああ、なるほど。

【和田】うん。だから僕みたいに、録音とか大好きだし、それ集めているような人間なんだけれども……。

【三浦】そういう人でもそう思うと。

【和田】矛盾したこと言うようだけど、そこに入ってるのは、同じ高座なんだけど、やっぱり全然別物だし、空気が入ってないし、もちろん小屋の機械で録ってるからいわゆるエアの、エアマイクがないんで、それもあるんだけど、って言うよりもやっぱり複製物の本質ですね。

【三浦】ああ、なるほど。

【和田】これ聞いて最後の高座っていうふうに、なんか思われたくねえ、っていうふうに思って、うん。なんかそれは、すごく感じましたね。

【加藤】いい話だね、それね。本当にいい話。

【和田】うん。

【加藤】生です。

【三浦】やっぱり寄席なり、会場に足運んで聞いた方がいいってことですよね。今、結構音源たくさん出ているじゃないですか。まあ、昔の亡くなった人のって当然もう音源で聞くしかないんですけど、今現役の人たちはやっぱり極力……足運んで。

【加藤】そこに足運んでですよね。私学生時代、女性が三人、もうきれい、かわいい子ですよ。もう、女子大生の。で、男二人ですよ。合コンするって……夏休みですかね。

【三浦】合コン。

【加藤】「加藤、お前もう一人足りないや、来い。お前知ってるやつだから」って三人。その時はがきが来ていてね、含笑長屋が。小南師匠が『菜刀息子』やるって。

【三浦】ああ。

【加藤】私はここがもう男の中の男だと思いましたね。難なく断って、合コン。

【三浦】あははは、そっちに?

【加藤】だってその前にやれるんですよ。そんな事どっちでもいい、『菜刀息子』なら。でも、その担当の人も「加藤君いいよ、もう、せっかく合コンだから。俺、録音録ってやるから。あとで聞けばいいじゃないか。」って。駄目。『菜刀息子』行きましたよ。

【三浦】行きました?

【加藤】こりゃ、男の中の男だ。そんな話があった。だからやっぱりライブなんですね。

【三浦】やっぱりライブ。

【和田】そういうのありますよね。

【加藤】一期一会だもんな。

【三浦】そうですよね。

【和田】あの、僕はね、さっきの話じゃないけど、たかが落語じゃないですか。だから落語にあんまり大金を払うのとか、あんまり通いつめるのとか、なんか矛盾するなあと思ってて、その延長線上で言うと、落語追っかけて、例えば新潟県まで行くとか、なんかそれ違うなって僕はね。

【三浦】ああ、それは何かそんな気がしますね。

【和田】ね。だけど、吉朝の『弱法師』の会のチラシ見た時に、これ行かなきゃなんないな、ってこれ思ったんですよ。

【三浦】その時、こう、チラシからこう発信する……。

【和田】あったんです。

【三浦】あったんですね。

【和田】それで自分としては、それ追っかけて、これ自分でも何かあれ何だ、不思議なんだけど、歌舞伎観に大阪行くのは有りなの。落語観に大阪行くっていうのは何か、何かちょっと抵抗あるんですよ、僕の感じからすると。でもそん時は、これ吉朝の、やっぱりこれは行かなきゃならんだろうっていう気がして、行ったんですよ。最後の高座になると思ってませんよ、もちろん。

【三浦】思ってないけど、具合が悪いことはご存じだったんですか?

【和田】いや、僕は何かあの胃がんされたんだけど、治ったと思っていたんですよ。

【三浦】ああ、そうですか。

【和田】で、独演会も、例えば他の会も出てましたしね。うん、だから、あ、もう治られたんだって思ってた。

【三浦】もう普通に落語会をやってるっていうことでこれは聞きたいなと……。

【和田】もちろん、そういうつもりで行ったんです。そしたらすごく悪かったんです。

【三浦】もうそれは高座を観てて、あ、体調悪そうだなっていうの分かる……。

【和田】いや、もう客席の全員はもう静寂っていうか……。

【三浦】大丈夫かと。

【和田】あまりにもこう、もう何ていうのかな、もうギリギリの人が出てきちゃったんで、もう何て言うのかな、金縛りみたいな感じがして……うん。で、噺に入って、まあ笑わせるところもちょっとはあるんで、だんだんほぐれて行きましたけど、まあ、何かすごい空気でしたよね。体調はものすごく悪そうでした。

【三浦】ああそうですか。

【加藤】どのくらいですか? それから、亡くなったのは。

【和田】11日後。

【加藤】ああ……。そういうとこにか……。

【三浦】その11日まで落語やれてるっていうのがすごいですよね。

【和田】そうですね。だから相当無理して出られたんでしょう。

【三浦】でも50代でしょうね。

【和田】52ぐらいでしょうね、吉朝さんね。

【三浦】ああそうか、そういう意味で言うとやっぱり常に落語やってる寄席っていうとこにも本当だったらふらっと行って、なんかちょっとそこに身を置いてっていうのは、やってること……やってみたいですよね。

【加藤】そうですよね、本当に。ふらっとね。そういう芸能だと思うし。私も、ミュージカルも宝塚もクラシック音楽も若いタレントのコンサートもオペラも行くんですよ、

【三浦】ああそうなんですか。

【加藤】あの、数年前まではね。で、結構行くと、終わったあとのお客さんの気持ちって考えると、もうすごい感激して帰るわけですよね。落語とちょっと違うんですよ。その感激と感動と。やっぱり音楽、やっぱり強いね。

【三浦】音楽、確かに。

【加藤】歌舞伎もやっぱり強いね。落語ってそんなにあれがないんだよね。

【三浦】そこはでも独特って言うか、絶妙なんじゃないですかね。

【和田】そこがまた、良さなんだけどね。

【三浦】あんまりこう、重い印象を残さないっていうのかな。

【和田】そうですね。日常の延長線上とか、範囲内にあるので。

【三浦】そうですね。

【加藤】そういう中で今の和田さんのようなそういう体験もするわけですよ。もう、一期一会でこれすげえ!ってのに当たるわけなんだよね。そのスリルも楽しいですよね。

【三浦】まあでも、どこででも結構日常的に遭遇できるっていうのは、結構ありがたい事ですよね。

【加藤】そうですね。

【三浦】まあ今ちょっとコロナっていうのもちろんあるんですけど……。

【和田】名古屋にいて大須演芸場の近くにいたら、大須基準で観たら東京のセットものすごいちゃんとして……。

【加藤】あははは。

【三浦】ちゃんとして。

【加藤】びっくりしましたよ。

【和田】大須びっくりしますよね、あそこね。

【三浦】大須って今でもそんな感じなんですか?

【和田】僕はだから、大須の本当にやばかった時代知らないんだけど、今でもだから名古屋にだけ留まっている芸人さんがいて、それは結構、あの、東京の寄席だとこういう人出ないよなあっていう感じの方とかもいますよね。

【三浦】あの、大須もやっぱり東京の寄席と一緒で色物さんとかもちゃんといるわけですか? 色物の人たちって、その……。

【加藤】名古屋の名芸互助会と言って、名古屋のそういう組合の色物さんいますね。

【三浦】(色物さん)がこう交代交代で来て……。

【加藤】東京から持って来なくてもね。

【三浦】ええ。やっぱり独特な感じですか? その大須の。

【加藤】昭和40年代の全盛期はもう……空前絶後の顔合わせですよね。東京から大阪から。

【三浦】ああそうですか。

【加藤】テレビチャンネルひねったら見えるようになるのがもう……。わんさかわんさか、

【三浦】なんかあの(古今亭)志ん朝師匠も結構大須のだけはもう、万年大事にして毎回こう欠かさず行ってたっていう。

【加藤】独演会やるんですけど、その200のお客の中で東京から来るのにも百何十(人)も追っかけで。それこそ和田さんが今言ったように、名古屋まで行こうという、落語聞きに。

【和田】そうですね。

【加藤】そういう何か、それ無粋って言うのかい。

【和田】志ん朝さんは、それは嫌がってたらしいです。

【加藤】それが嫌だったんだ。

【和田】それで、そうだよね、だから、そういうのが嫌だから大須でやってるのに、それをわざわざ……。

【三浦】なんで追っかけてくるんだよ。

【加藤】名古屋の人が50人くらいしか切符取れなくて、150どうして東京から来るんだっていう。

【和田】だからあの、志ん朝さんが嫌がってるっていう事を、またライターの方とかに知れて、伝わっていたらしくて、ある方が何かあの、某都市で開かれる志ん朝の会に3日行ったとかって、某都市って言ったって分かるだろうって。そのぼかし方なんなんだよって思ったんだけど。

【加藤】3日行ったって。

【和田】3日行ったっつって、泊まりがけでね。

【三浦】あ、なんか3日間連続でやるんでしたっけ?

【和田】そうです。で、志ん朝さんもあんまりお金も取んないで、そこの、大須のお金にしてください、みたいな感じでされてたらしいんですけども。

【加藤】そうやって東京からね、追っかけとか。

【三浦】その分、東京でみんなが行ってチケット取っちゃうのって、確かに無粋っちゃ無粋ですよね。

【加藤】今で言う、今よりももっと熱狂的なお客様が多くて。

【三浦】でしょうね。

【加藤】「私は研究会しか行かないよ」っていう客もいるし。

【和田】あとね、さっきの話で言うと、今の僕は若いお客さんは、それこそ(三遊亭)萬橘さんとか(神田)伯山さんとかの、あえて言うけど教育の効果があって、寄席って知らない人も含めて全部楽しんで、こういうのもいる、こういう人が出た、この人ネガティブだけど面白いとかっていうふうに楽しむようになったと思うの。だけど、志ん朝さんとかの追っかけは、他の人はね、なんか……。

【三浦】いらない。

【和田】聞いてない、いらないっていうか、そこずっと我慢して、志ん朝さんだけ待ってるみたいな雰囲気を感じましたね。

【加藤】寄席からね。

【和田】うん。

【加藤】感じるね。池袋(演芸場)でどうかってやっても。

【和田】あれは良くないと思うんだけど。うん。……で、なんか今だと寄席行くとなんか、あの、若手の芸人さんが(柳家)小三治の客、とかって言っていますけど、小三治さんのお客さんはそうなの。

【三浦】ふーん。

【和田】お目当てが例えば池袋最後に出るから、その途中に出るなんか若手みたいなのはもう、いるけど無視する、みたいな。

【三浦】ふーん。

【加藤】もう私はこの人しか、私は一流しか駄目……。名人しか私は観ない。

【三浦】そんな決めなくてもいいと思いますよね。

【加藤】でもこういう方が多かった。

【三浦】ああそうですか。

【加藤】私は研究会しか行かない。

【三浦】落語研究会?

【加藤】落語ファン、えせファンっていうのはもっとこう寛容かと思った。

【三浦】そうですよね。

【加藤】全然違うんだ。落語なんて本当にしゃれが通じない。

【三浦】あ、頑強なんですね、非常に頑強。

【加藤】ものすごくしゃれが通じないね。

【和田】それなんかもっと落語たくさん聞いてしゃれ通じるようになったほうがいいんじゃないかって。

【加藤】何をこの人落語学ぶ……聞いて学ぶってね。

【和田】いや、でもそういうのありますよね。ひとつの……。

【加藤】どうしてもあんたそんなに……。

【三浦】アートとして捉えるんですね。


【和田】だから、落語に、ものすごい、落語聞いて通ってる、ある人がいて、その人がなんか結婚詐欺みたいなのに遭ったの。それでね、俺に言わせりゃ気付くだろうって落語の中、ネタそんなばかじゃんっていう、そのだいたい気性もんでだまされるとかさ。心中しようって死ぬとかさ。

【加藤】そんな話ばっかですもんね。

【和田】そんな話ばっかでしょ。それを何かあれだけインプットしておいて自分がそこにはまるかねっていう。

【三浦】それ落語になるじゃないですか。

【和田】自分がね、自分が作中人物に、なっちゃってるみたいな感じなんですけど。

【加藤】そう言いながら「三代目のこれは、この『品川心中』この話はこうで、ああで」ってそれは詳しいんだよ。

【三浦】詳しいけど……。

【加藤】でも自分でやられちゃうって。

【三浦】自分でやってるって。

【和田】そうそうそうそう。そうね、その全体感が落語っぽいってやつ。

【加藤】そうそう。

【三浦】そこまで体験して……。

【加藤】これ本当に声を大にして言いたい。本当そうなんです。落語ファンって本当に厄介だ。マニアは本当に厄介。うん。『強情灸』なんてあれ聞きながら、「てめえの話してるのに」って言うような人が落語も何も……。

【三浦】まあ、その事自体は落語なのかもしれないですね、もはやね。

【加藤】ここ(頭)から下で聞かないんだね。

【三浦】ああ。

【加藤】だまされた人も。頭いいよ。

【三浦】だから、こう、なんかいろいろ、ここの記憶でいろいろ話したくなるんでしょうね。

【和田】なんか……こう、(オフィス)エムズどうですか? 今後は。

【加藤】あははは。いいよ、そんな心配してもらわなくても(笑)。

【和田】いやいやいや……。

【加藤】好きにやりますけども。

【和田】違う、違う、心配じゃなくて、心配じゃなくて、これからどういうご趣向したいとかさ。

【加藤】ご趣向、うん、あの(人形町)らくだ亭のあの意志を継いだ……。

【和田】いやいやいや(笑)。ありますから。あれはコロナでまだお客さん入れたくないっつってるから。

【加藤】「特選落語集」にぜひ来ていただこうと。

【和田】はい。

【加藤】落語の……まあ「落語ってこんな面白いもんだ、〇〇さんのこれじゃなくって、落語聞いて落語そのものは楽しめた、ああいいもんだなあ、また来てみよう」と思わせるような、そんな落語会を私はやっていきたいと。今、必死になって今それやってます。

【三浦】そういう落語会をすごく主催していただいてると思うんですけど、今でも。

【加藤】ああ、ありがとうございます。で、少しそこでお客さんが足を向けてくださるように今やっとなりつつあると……いうことだと思いますし、浅草の見番であろうが、「あそこは正座だから嫌だな」と感じていた方が、やっと、こう、内容でね、来てくれるようになったというのが事実だし。

【和田】なんかあの、僕今しゃべっていて思ったんですけど、私もお金を集めますから、日本橋劇場でなんか、ガチの鹿芝居ってやりません? 本当の『七段目』みたいなやつ。

【加藤】今、本当に(林家)正雀師匠とかいろいろね、一生懸命やってくださってるんだけども、本当にガチでやりたいと思ってたの。

【和田】ね、やりたい。

【三浦】鹿芝居。

【加藤】やったらどれくらいお金かかると思います? もうすごいですよ、これ。

【三浦】分かんないです。

【加藤】びっくりしました。ね。

【和田】あ、それ……。

【加藤】本寸法でしょ。

【和田】結局は本寸法。だからちゃんと道具屋さんを頼んで。

【加藤】三味線、義太夫で。

【和田】入れて、うん、それをなんかやりたいなあ。

【加藤】やりたいっていうか、もうやらないと駄目でしょ、やってないんだからずっと。

【和田】うんうん、

【三浦】昔は、やってたんですよね?

【和田】そうです、そうです。(三遊亭)円生師匠が由良之助やったりとか。

【三浦】面白そうですね。

【加藤】面白くやらないの。

【三浦】真面目にやる?

【加藤】真剣にやるの。

【三浦】そうか、ガチだからか。

【加藤】そこが面白いんだよね。ガチで。

【和田】だからそれが結果、面白いってことですよ。

【加藤】そうですね。……歌舞伎役者の片岡市蔵さんが指導に来て、「なんだお前ら、全然面白くねえじゃねえか」って。

【和田】【三浦】あはははは。

【加藤】って言ったぐらい。

【三浦】真面目にやってるって。

【和田】うん。

【加藤】まだ、おできになる人たくさんいるから今。間に合うしね。

【三浦】できる人いるんですね?

【和田】それだから、エムズが絶対、損しないようにしますから、それやりません?

【加藤】やりましょう!

【和田】やりましょう。やりましょう。うん。それやりたいなあ。僕が見た中で言うと、こじんまりやってる鹿芝居……こじんまりって言ったら失礼だな。正雀師匠の一座とかあるんだけど、本当にやっぱり華があって面白いなと思ったのは、大銀座落語祭で(林家)正蔵、(林家)三平、(桂)米団治で『勧進帳』をやったんです。(新橋)演舞場で。しかも演舞場でやって。

【三浦】あれ? そういう大銀座落語祭て、割と前ですよね?

【和田】10年ぐらい前に。

【三浦】あれってなんかすぐ終わっちゃいましたよね?

【和田】まあ何年かやってたんですけど、それの落語会じゃなくって、演舞場を夜借りきって、『勧進帳』をやって、後ろに長唄とかを本当にすごい人を並べたんです。宮田哲男さんとかあのへんを並べて、あれ(春風亭)小朝さんのプロデュースだったんだけども、あれはさすがに面白かったです。(長唄)東音(会)の人とか並べて、しかも省略じゃなくって、だから四人、四人ぐらいでちゃんといて、やって、それで今の(春風亭)一之輔さんなんかが番卒(ばんそつ)ね、シチテン(?)とかあれやったんだけど、あれなんか面白かったなあ。あれは。ああいうのは。ま、『勧進帳』は、あれはちょっとまた何て言うのかなあ、別物ですけど、僕が今言ってるのは『七段目』とかさ、ああいう芝居っぽいやつ。

【加藤】いいっすね。ぜひお願いします。

【和田】やりたいですね。はい。

【三浦】場所、どこ……?

【和田】日本橋劇場ですね。

【加藤】花道ありますから。

【三浦】ああ、日本橋劇場。

【和田】うん。

【加藤】喜ぶでしょう、お客さん。

【和田】ね。

【三浦】日本橋劇場って水天宮前の所でしたっけ?

【和田】そうです、そうです。

【三浦】あそこ花道……あそうか、ありますね。

【和田】出せるんです。

【加藤】ね、『勧進帳』と、『仮名手本忠臣蔵』。5,6、7ぐらいや。

【和田】ね。

【加藤】最後に私が『道成寺』踊って。

【三浦】あははは。

【加藤】いや、まじか、本当に。お願いします。じゃ、お金お願いします。

【三浦】あははは。

【山下】もう、いいお時間になりますけど。(笑)

【加藤】どうもありがとうございました。

【和田】ありがとうございました。


【加藤】おつかれさまでした。

【三浦】おつかれさまでした。

【山下】この番組は文字起こしをまたあとでさせていただいて、noteというものに文字起こした全文を載せておりますので、こちらも併せてご覧ください。ということで、加藤さん和田さん、三浦さん、ありがとうございました。

【三浦】ありがとうございました。

【加藤】ありがとうございました。

【和田】ありがとうございました。


 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)

担当:木村晴美
いつもご依頼いただきありがとうございます。
お話の中でとても気になった、桂吉朝さんの『弱法師』、最後の高座の音源のみがYouTubeにありましたので、聞かせていただきました。お客さんの反応に、どんな感じなのか動きや表情が見れなかったのは残念で、和田さんがおっしゃるように、その場の空気感は、音源だけでは伝わりにくいということが多少ではありますがわかりました。それでも、登場人物の様子を想像しながら、その場面が頭の中に広がるように、噺の流れに入っていました。吉朝さんの最後の高座というお話をされていたので、そこを踏まえて聞かせていただいていたら、うまく表現できませんが、ぐっとくるものがありました。
その後にすぐ、桂小南さんで『菜刀息子』も、こちらは映像と共にあり、観させていただきました。さっき聞いた噺を今度は表情や動きも交えて観ることができ、異なるお二人で題名違いの同じ噺、それぞれのお人柄が出ていて、2回その世界に引き込まれて行きました。時間経過、歩いていて出会うお店などの様子、くすりと笑いが起きるのがここの表現で、私もパソコンに向かって笑っていました。親子の関係性や、叱るというか、たくましく育ってほしい気持ち、心配する気持ちには、昔の良き家族を見たような気がしました。
皆さんが語るように、きちんと落語を理解しているとはいえない素人ですが、噺の世界観を楽しむことができました。今回も担当させていただくことができ、うれしく思いました。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?