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【POD CAST書き起こし】三鷹の森元さんに演劇プロデュースのことを聴いてみた:全5回(その3)三鷹に招聘する劇団・作家さんをお呼びするポイントは?

【山下】森元さんが演劇を観る時の
基準としてはまず脚本、本の力、それから演出力、あとは何が。

【森元】オリジナリティとか総合力、役者さんも含めて。

【山下】俳優さん・役者さんも含めて。

【森元】まあ、演出力に入っているかもしれませんけど。

【山下】なるほど。そのへんは、そういうふうに一応分けてはいるけど、もう直感なわけですか。

【森元】それは何を観ても一緒ですよね。映画とか観ても、これ、すげえ面白いとか思っても、友人に話すと「あれ、俺は全然ハマんなかったな」とか、いろいろな部分あるわけですから、ものっていうのは。

【山下】ありますよね、それは、何でも。

【森元】だから、あくまでも僕の中で、セリフすっげえ面白いな。……簡単なセリフじゃないなというのはけっこう好きですよね。
伏線の張り方とかにしても僕はクロースアップ・マジックだと思ってるんですよ。手品師が、目の前でレモンの中にトランプが入ってて。

【山下】ありますよね。

【森元】この辺に人がいるんだけど気づかないみたいな。絶対タネはあるんですよ。

【山下】あるある、それ見たことある。

【森元】「ここに名前書いてください」って言って、そしたらその名前書いたものがレモンの中から出てくるとか。みんな分からないんだけど。

【山下】ビックリしますよね。

【森元】ビックリするでしょ。だから脚本の伏線って、観てるほうが、張られてるんだけど気づかずに、種明かししたときに、わっ! と思うのが伏線だと。いま、やりましたよねっていうのは、それは伏線じゃないんですよと。それぐらい技術は、クロースアップ・マジックでも大人が、わあっ! というくらいの伏線張るなら張ってほしいというのと、でも逆に、縦縞のハンカチが横縞にみたいな、ありますよね、マギー司郎さんのやってる。あれをマジックと呼ぶかどうか。

【山下】あれはしゃべり芸かもしれませんね。あれはあれで、面白いですけどね。

【森元】それならそれでいいと思うんですよ。ほんと、ばかばかしいものを作ってくださるなら。

【山下】笑いですからね。

【森元】だからほんと、みんなが「おい、分かってるよ」みたいな、そういうものもあるし、逆にそれは作りにくい。

【谷】それも、あるパターンですよね。

【森元】あるし、逆にそれは作りにくいと思いますよ。いろんな作風がある中で、KERAさんとか、ときどきそういうのを作りたがったりとかされてると思うんですよね。ただ、KERAさんだったらクロースアップ・マジックも作れれば、ほんとにみんながへらへら笑っちゃうようなものをときどき作りたいみたいな。

【山下】できますよね。いろんなパターンがありますね。

【森元】だからそれも一つの技術。で、逆にどっちが難しいかっていうと、難しくやったらできるものよりも、実はマギー司郎さんみたいに何度も同じことやっても笑えるってものを作る方が難しいかもしれない。

【山下】それはそれで、すごいですよね。

【森元】と、思うんで、どっちにしても技術は絶対いると思うんで、そういう脚本も力があるな、と。あとは、あるシーンで3人いて、脚本家が2人きりにしたい。2人でしゃべるシーン作りたいから、「ちょっとトイレ行ってくるわ」って言うと、僕の中ではちょっと簡単なんですよね。

【山下】予定調和じゃないか、それは。その欠けさせ方は。

【森元】ここをお客さんになんとか予定調和じゃなく、いま、1人すっと自然にいなくなったっていうふうに本を考えてほしいなって。

【山下】説明的なセリフではなくと。そういうことですね。分かります。

【森元】「僕って何々じゃないですか」っていう説明的なセリフじゃなくて会話の中に人間関係が溶け込むように。

【山下】分かります。でも敢えて説明的なセリフをギャグとして演出すればOKなんですね。

【森元】そうです。それはOKなんです。

【山下】ってことですよね。分かる、分かる。だから、森元さん、やっぱりオリジナリティなんです。オリジナリティがちゃんと強く、本が立ってるところを面白いと思ってる。それは僕も似てると思います。

【森元】ああ、そうですか、かなあ。例えばAさん、ここで「好き」って言って愛を告白するっていえば、そうなんですよ。普通の人は「好きです」って言うんだろうけど。

【山下】まあ、分かりやすいですね。

【森元】そこを好きっていう言葉を使わずに、愛してるっていう言葉を使わずに、なんか持っていけないかなっていうことを。で、お客さんが見てて、え? あ? この人この人のこと好きなの実は? みたいなことを書いてもらえたら嬉しいなと。
私のすごく好きなMONOの土田さんの『その鉄塔に男たちはいるという』が去年かな再演されてまして。

【山下】してましたね。吉祥寺でしたね。

【森元】僕、中野でプロデュース公演でやったとき、もう何年前かな。

【山下】中野、僕行きました。15年くらい前かな。

【森元】『鉄塔の下』? ものすごい面白かったでしょ。

【山下】面白かったですね。

【森元】その中で3人男がいてしゃべってるんですけど、3人が仲良くしゃべってんのかなと思ってたら、実はこことここがあんまり仲良くなくて。

【山下】そうなんですよね。

【森元】こことここしか途中から会話してなくて、途中から「何々って言っとけ」とか。

【山下】いがみ合ってるんですね。

【森元】そうなんです。その会話の中から人間関係が浮かび上がっていくって、うまいなあっていう。

【山下】いいですね。うまいですね。

【森元】だから、ときどきいろんな若手の劇団の方とかに「DVD出てますから、僕、あのシーン好きなんで、こういうふうに、すーっと人間関係が浮かび上がっていくっていうふうに書けたら、ほんとに大人もすんなりと楽しませてもらえるから、ちょっと一度観てみてください」ってよく言ってましたね。

【山下】なるほど。ある意味、教育的プロデュースじゃないですか。

【森元】そんな、言われたときですよ。

【山下】さすがです。

【森元】私のいいなと思う脚本はこんな感じ、これとこれですねっていう。

【山下】なるほどね。

【森元】だから山内ケンジさんがね、山内さんは「やあ、僕、そんなことあったかな」って言われるかも分かんないけど、「1回、もうストーリーは全部できてるんだけど、このシーンでこの役者さんがこの場からいなくなる、そこをどうするかだけ1週間考えてた」っておっしゃってたんですよ。で、「それだけで死にそうになっちゃった。自分の住んでいる町をぐるぐるぐるぐる散歩してた」って。で、どうやったらここが不必然じゃないし、後々この人が帰ってくるのを活かせるかとか。
山内さんなんか逆にさっきのハンカチ縦縞横縞もできる人なんですよ。

【山下】ああ、できる、できる。全然できちゃいますよね。

【森元】もうマジックをいくらでも放り込めるし、だったらそこも、それでいけるんだけど。

【山下】それだけでもいけそうですよね。

【森元】いけます、いけます。

【山下】僕、山内さんのそういうの観てみたいな、また。

【谷】でも、大切にするんでしょうね。やっぱりそこの作りをね。

【森元】そういうところを、自分がお客さんだったら安易だなと思うところを払拭していく。
山内さん特にCMとか映画とかを作ったりとか。CMとかね、第一人者ですから。

【山下】いま、出演もされてますよね。

【谷】ビックリしましたよ、名前が出てたんで。

【森元】だからそれで、自分が作ったときには、これだったら嫌だというのをたくさん観ておられるんだろうから。そこで人の映画を観に行ったときに、もっと刈り込めばいいのにとか、このセリフ陳腐だなとか思うんだけど、自分の劇団だとなかなかできない。

【山下】それはなんとなく分かります。

【森元】それが、山内さんとか、できる人なんだと思うんですよね。セリフに角度をつけたり刈り込んだりが。
だから、なかなかね、ある劇作家さんも他の人の芝居を観に行ったら、もうちょっと短くすりゃいいのになと思うんだけど。

【山下】こうしたらいいのになと客観的に思うんですけどね。

【森元】自分の芝居を俯瞰して観たときに、それができない。それができる人はやっぱ強いと思いますよ。

【山下】そうですね。それはでも芸人さんもおっしゃいますよね。立川談志師匠も「これ、俺が演じてるだろ。でもね、もう1人の俺がここから観てるんだよ」って、まさにそれですよね。ほんと、そう思いますよ。
それでですね、もう1個お聞きしたかったのは、こうやってたくさん観てて、ここに呼ぼうとするときに、どういうふうにしてお声がけをされるんですか? 劇団の方に。

【森元】それは、いいなと思うところがあったりとか、ほぼほぼの場合ですけど、私の場合は観に行ったら制作さんとお名刺を交換するんですよ。

【山下】なるほど、なるほど。

【森元】仕事として行ってますね。だから今日も偶然ですがスーツです。お芝居を観に行くときはほぼほぼスーツ。プライベートで観に行くって発想がもうない、芝居に関しては。だからお芝居は絶対スーツで行くので、仕事半分で観に行ってます。どんなにちっちゃい学生劇団の旗揚げでもスーツで行きます。

【山下】で、必ず「三鷹の森元です」って。

【森元】制作さんの方と。よく「制作さんが役者として出ているんで、いま、いません」とか言われても「じゃ、名刺だけおいていきます」とかやるんで。

【山下】向こうからもらえないときもある。

【森元】ありますけど、そういうときは劇団のお問い合わせ先とかたいていホームページに出てますからそこに「先日拝見いたしました三鷹の森元と申します」って言って「ちょっとご相談させていただきたいことがございます」って連絡をするって感じですね、電話かメールで。

【山下】なるほど。で、一応お話を聞いて、「いいですよ」とかって言うと。

【森元】ありがたいです。

【山下】で、詰めたりして。

【森元】そうです、そうです。で、条件を全部出させていただいて。決して良い話ばかりはできないです。
やっぱり、三鷹駅は新宿からも遠い。そこからさらにバス。歩いたら15分。立地はよくない。だから下北沢とか新宿とかでやったときと比べたら集客は落ちるかもしれない。ただ、一緒にね、この公演を成功させようという熱意はあるので。
あと、決して僕、すごい良い条件出してるとは思えてないんですよ、ほんと、この程度しか。損はしないようにとは出しますよ。でもそんな「わっ、三鷹でやったらウハウハで」みたいな、三鷹市はそんなにお金もないし、そんなことできないんで。
で、条件を全部出して、これはこっちが持ちますとか、これもうちが持ちますとか、これは劇団のほうで持っていただいてとかいうのを全部やって。

【山下】そこはだから正直に書き出すと。

【森元】書いてですね、弱いところも。幸いなことに、三鷹でやってお客さんが急に増えることもある。
市が20何年やっててくれたから、“Next”Selectionだから観に行こうっていう方も少しはいてくださるかもしれないけど、そんなもう「三鷹で“Next”Selectionやったら絶対千人来ます」なんてことはないから、いつも通りっていうふうにしていただかなきゃいけないし、いつも通りの情報宣伝していただかなきゃいけない。でも三鷹も“Next”Selectionを熱意を持って頑張る。
“Next”Selection以外の枠でもね、ここにお呼びする以上は全部一緒なので「熱意を持って頑張らしていただくので、ぜひご一緒しませんか」って言って。

【山下】で、いろんな劇団さんと話がうまくいって、やりましょうとなったときに、森元さんから条件以外の「あれをやりましょうよ」とかですね、「こういう話を」とか、そういう話はするんですか。

【森元】「再演でもいいし新作でもいいですよ」って言います。

【山下】なんでもいいってことですか。

【森元】ただ、新しい出会いなんで新作でやるっていうことであれば歓迎するけれども、この話をもっとたくさんの人に観てもらいたかったとか、小さな小屋でやったからできなかったことがあった、こういうセット作りたかったとかね。だから大きい小屋でいつかこれの完成版をやりたいねっていうチャレンジ。自分の中でチャレンジングな再演だったら全然かまわないですよっていうところですね。それは言います。
だから絶対新作でとは言いません。実際んとこ、今年ご一緒する劇団も一つは再演。それはすごく良い作品だったんで、「僕はあの作品好きでしたよ」って言って。

【山下】じゃあ、逆に嬉しいかも。

【森元】そうですね。「選ばれました。どっちでもいいから考えてください。その作品の再演でもいいし新作でもいいし」って言ったら劇団のほうで最終的に再演を選びたい、みんな大きなところで。それを初演されたのは空洞、池袋の小さな。

【山下】空洞って行ったことない。

【森元】あ、そうですか。空に洞、ちっちゃい、ここよりもうちょっと大きいくらいかな、ところでやられていて、すごい良い芝居だったんですよ。僕は大好きで。それを観てお声かけしたんですけど、その前からずっと観てたんですけどね。この芝居を作れる力量が、備わっていらっしゃるならもうぜひご一緒したいなと思ってお声かけたのが劇団普通っていう劇団さんなんですけども、今回、再演ものでチャレンジしていただく。だからそこは、こだわってないですね。
僕が強いて言うのは、どうしても公立ホールという性格と屋内なので「火は放たないでね」というのと、これは言うと語弊があるのかもしれませんけど「脱がないでね」。

【山下】公序良俗ですか。

【森元】そうですね。「全裸にはならないでね」っていうのは言ったりはしますね。
あとは、いろいろ相談の上ですけど、いろいろ面白いことありましたよ。動物出していいか? とか。あと車を2台出して衝突さしてもいいかとか。
だから、それはいろいろご相談の上ですよ。
車のときはガソリンを入れないんならいいって。ガソリンのにおいがたまると大変なことになっちゃうから。

【山下】車をそういう舞台の上にのっけられるんですか。

【森元】まあね、セットだと思えば。いや、面白い芝居は好きですから、セットだと思えばいいんですよ。だから車をここでドンとぶつけて大破させて、また元に戻せてプリセットできるならいいと思うんですけど。ただ、エンジンかけたらガソリンのにおいがこもっちゃうから、それはできないなと。

【谷】それはそうですよね。そっちの方が大変ですよね。

【森元】あと、動物は、東京都衛生局かな、電話して確かめたら、猛獣は不可だって言われたんですよね。

【山下】猛獣はどういう規定で。

【森元】だけど猛獣の規定って、ないんですって。
で、「虎は?」ったら、「虎はNGです」っていうし。それはそうだろうと。

【山下】虎は猛獣だと思うけど、どこまでが猛獣なのか。

【森元】分かんないんですよ。だからケースバイケースらしいんですよ。
だから、最終的には僕は「毎日連れて帰ってもらえるならいい」って言ったんですよ。

【山下】ああ、そうか。そこに置かれんのはちょっとね。

【森元】夜中じゅう鳴かれても困るんで。そういうご相談はしますけど。
公序風俗のことと、全裸になったりとか、あとは火を放つ? これはちょっと無理ね、ぐらいは言って。

【谷】火はね、消防法もあるから。

【森元】あとは好きなプロット作ってくださいって。

【山下】自由にしてと。

【森元】だから逆に稽古の最中とか、台本とか送ってくださったりしたら読むんですけど、もう読まない。こっちから求めない、本は。

【山下】分かります。

【森元】「観に来てください」って言ったら行くんだけど、行かないし。

【山下】それはもう、劇団にもうお任せですね。

【森元】お任せです。だから「森元さん、ちょっと今日、通しをやるんですけど、これは観てもらえますか」とか。

【山下】稽古場は、でも、別のところでやってるんですよね。

【森元】いえ、三鷹にあります。

【山下】あるんですか。

【森元】あるんです。

【谷】あの場所じゃなくて別の場所ですか。

【森元】別の場所に。

【山下】劇団的には稽古場も貸してくれるのはありがたいですよね。

【森元】稽古場はずうっとほしくて。それで、うちも稽古場のような音楽練習室ってのがあるんです、130平米で10mかける13mの。

【山下】けっこうでかいんですね。

【森元】でかいんですよ。そこを1カ月、劇団に貸し出せればいいんですけども、三鷹市役所としても、そんなに演劇頑張ると思ってなくて、「勘弁して」って言われてるんですよ。

【山下】他でも使いたいですもんね。

【森元】実際、よく箱もの行政って言って全然借り手がいないっていう。うちとか、ものすごい100パーセントなんですよ、1年前で。

【山下】すごいですね。

【森元】で、音楽練習室は6カ月前からなんですけど、すぐダーッと埋まるんです。

【山下】音楽やる人多いんですね。

【森元】音楽とか演劇もそうですけど、いわゆる習い事をする人が多いんです。

【谷】趣味の世界ですね。

【山下】文化的な街なんですね。

【森元】そうなんです。だからうちが1カ月押さえると、そこがね、はじき出されちゃうから。

【山下】はいはい。それと公平性が担保されないからですから。

【森元】だからそれを考えて、ずうーっとずうーっと市役所に稽古場って。オープンからずうっと、稽古場がとにかく劇団には必要。
うちの後できたパブリックシアターさんとかもあるし。

【山下】地下にありますよね、稽古場。

【森元】吉祥寺シアターさんとかね。

【山下】も、あるんですね。

【谷】あります、あります。

【森元】あるんですよ、稽古場が。
あとでシアターとして作られたところは、稽古場が必要だっていうのが分かってちゃんと作られて。

【山下】なるほど、なるほど。

【森元】僕とかはもうホールが、三鷹市芸術文ができ上がりつつあるところで企画担当として入ったから稽古場がなかったんです。

【山下】設計仕様変更できないですもんね、そうなると。

【森元】ずうーっと、稽古場がほしい、稽古場がほしいって、市の偉い方とかに「稽古場が必要なんです」って言ってて。

【山下】そしたら?

【森元】で、教育委員会に年に2回くらい、教育委員会って何かっていったら学校を管理しているんですよ、幼稚園も含め小学校とか。そこに年2回電話して「小学校、つぶれません?」って言うから、「いや、森元さん、三鷹市はベッドタウンで生徒は増えてますから」って。

【山下】増えてるものなんですよね、三鷹は。

【森元】そうなんです。増えてるんです。
僕が何を狙ってるかっていうと、花伝舎とか、にしすがも創造舎とか水天宮とかみたいな、学校がつぶれて、稽古場になったところがあるんですよ、都心には。

【山下】ありましたね。

【森元】それを狙ってたら教育委員会のほうで「死の商人」って言われてて。学校がつぶれることをとにかく願ってる人みたいな。

【山下】そうじゃなかったのにね。

【森元】で、それももう諦めて。学校つぶれないかと思って。

【山下】いえいえいえ。

【森元】そしたらあるとき、それ以前にもちょっと別の場所もあったんですけど、今ある場所をね、三鷹市の偉い方が、偉い方なりの情報網で、ここのスペースが空くようだと。で、「市のほうで有効利用できないかみたいなことをちょっと言われてるんだけどどうだ」みたいなことも言ってくださったりして。
「稽古場ぜひお願いします」って言って、三鷹にお呼びする劇団のほうに使ってもらってみたいな。

【山下】それは、三鷹市の中のある場所にあるんですね。

【森元】そうです、そうです。

【山下】それはいつから稽古場が使えるようになったんですか。

【森元】そこ自体の前もあったんですよ、実は。稽古場は2、3回移動するんですけれども。いろいろな、そこを貸していただいてた方のご都合もありますから。

【谷】事情が変わりますよね。

【森元】で、また別のところで「こういうずっと空いてるスペースがあるんだけど、ここでどうだ」とか言われて。私自身もいろいろ不動産屋にお声かけしたりとかしたけれど、なかなかやっぱり不動産屋さんからはちょっと挙がってこなかったりして。
それで、おそらくは2009年とか8年とか、そのあたりだったと思うんですよ。

【山下】でも、10数年前から。

【森元】そうですね、稽古場のほうが。だって今もう使っていただいてというような感じですよね。

【山下】そこで稽古はできて、劇場に入って建て込みが始るわけですよね。

【森元】そうですね。

【山下】だいたい公演の何日ぐらい前から実際の劇場に入るんですか。

【森元】うちは月曜が休みなんで火曜に入って金曜初日のことが多いですよね。

【山下】じゃ、火・水・木と準備して金曜初日ですね。

【森元】そうですね。そこが多いですけど劇団によっては土曜初日とか木曜初日とか。それは劇団のほうで。

【山下】ゲネは前日にやるんですか。

【森元】多いですよね。前日にゲネをやって、そこで初めて観ることが多い。だけどまあ、ぜひいろんな方のお声を聞きたいっていう作・演出家さんだとか劇団さんもあるから。
観に行って感想を求められたらしっかり言います。
ただ変な話、お呼びしてるんで、良い公演を作ってもらいたいと思って、すごく願ってますけど、なんとなく、よく言うんですけど、画家と画商みたいなイメージもあって、あまり画商のほうが「いま、こういうタッチが流行ってる」とか。

【山下】口を出すと。

【森元】「ここ、ちょっと違うね」とか「もっと描かなきゃダメだよ」とかいうんじゃなくて、もうほんとに実力があれば「完成するまで放っといてくれ」って画家は思うんじゃないかなと、僕は思ったりもして。途中で何か言うのは、僕からはやめようと。

【山下】もう何も言わずと。

【森元】そうです、そうです。で、ゲネですごく楽しみに観るっていう。

【山下】ゲネは必ずご覧になられるんですか。

【森元】観ますね。よほどのことがない限りは。

【山下】スケジュール表に、ここにゲネがあることをチェックつけて。

【森元】もう最初からだいたいゲネはここって分かる。まあ、ゲネ動きますけどね。当然いろいろ押したりとかで動きますけど、ゲネがここにあるっていうのはだいたい分かってるんで、そこはなんとか空けて。

【山下】そこは空けていらっしゃる。なるほど、なるほど。

【森元】よっぽど……、今までゲネを観られなかったことはないんじゃないかな。
そこで判断します。だからゲネ的に観ますよね。

【山下】どういうところをゲネ的に。

【森元】本番とは違う……。

【山下】もちろん、もちろん。

【森元】スタッフさんしゃべってますし、写真撮ってますよ。だいたい写真撮られてます、ステージ写真。

【山下】あれはインターネットか何かで配信する用に撮ってるんですか?

【森元】いや、あれも記録用ですよね。
あとは「初日が開けました」って言って、いろんなマスコミに送ったりして。

【山下】パブリシティ用でもあるんですね。

【森元】パブリシティ用と記録用とあるので、ちゃんとカメラマンの方が来て撮るから、前の方ずっとカメラマンさん動いておられるので。そことかの込みとか、あとは照明がまだあとで手直すと。

【山下】明るくなったり暗くなったりとかね。

【谷】合わせですね。

【森元】場当たりとかは一応終わってますけど、そういうとこは引いて、まだまだと。
だから、ゲネの段階ですごく面白かったら相当ですね。
その筆頭でもないですけど、ほんとに面白いなと思ったのは『わが星』。

【山下】はい。

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)

文字起こしの担当者:高橋倫花
コメント:このたびは、ご依頼いただきまして誠にありがとうございました。
お話を聞いて、思いついたらやってみる行動力が大事なのだと学びました。そして、地道に続けていると良い結果につながるのかもしれません。
演劇を作っていく過程にも興味がわきました。
それでは、またのご依頼をお待ちしております。

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