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【PODCAST書き起こし】オフィスコットーネの綿貫 凜さんへ演劇人生について聞いてみた(全7回)その1 初めての演劇体験

【PODCAST書き起こし】オフィスコットーネの綿貫 凜さんへ演劇人生について聞いてみた(全7回)その1 初めての演劇体験

【山下】こんにちは。東北新社のTFCラボプレゼンツBRAIN DRAIN、「みんなで語る小劇場演劇」のお時間でございます。今回はですね、なんとオフィスコットーネのプロデューサーの綿貫さんに来ていただきました。綿貫さん、よろしくお願いします。

【綿貫】あ、よろしくお願いいたします。

【谷】よろしくお願いします。

【山下】で、MCを務めるのは東北新社の山下と。

【谷】谷です。よろしくお願いします。

【山下】一番下手に座っているのが、うちの谷です。感染対策をしておりまして、私と谷はマスクをしてトークをしたいと思います。じゃあ、綿貫さんよろしくお願いします。

【綿貫】よろしくお願いいたします。

【山下】なんか公演前でお忙しいところ、すいません。

【綿貫】あ、そうですね、今がちょっと一番。

【山下】えへへ。

【綿貫】今、一番こう苦しい時期。

【山下】ですよね。綿貫さんに来てもらおうと、タイミングの間の悪い男で申し訳ございません。来てもらおうと思ったのは、この数年ですね、実は最初に綿貫さんのお芝居を観させていただいたのがspace早稲田で、『山の声』というですね、まあ山岳演劇と言ったらいいのでしょうか。二人芝居で。

【綿貫】山登りの、加藤文太郎さん。

【山下】あ、加藤文太郎って有名ですよね。

【綿貫】はい。をモデルにしてるんですけど。

【山下】単独行といえば、加藤文太郎と。

【綿貫】そうですね、はい。

【山下】で、なんで僕はそういうのを知ってるかというと、実は高校のとき山岳部だったんですよ。

【綿貫】あ、そうですか。

【山下】そうなんです。それで植村直己さんの本とか、あと新田次郎の山岳小説をたくさん読んでいて。で、加藤文太郎の名前も知ってたんで。で、大学もワンゲルにいたんですが、ちょっと家の仕事を手伝わないといけなくて、泣く泣く辞めることになって。で、それで久しぶりに早稲田でそれを観たら、実は谷さんと一緒に観たんですけど、すごくよくてですね。で、どんな人なんだろうと。で、その後、何本か実は拝見してるんですけど、それでとても興味を持って。で、その『山の声』は演出もされたんですよね?

【綿貫】そうですね。2018年から演出をやっているんですけど、やっぱりちょっといろいろそこまでに行きつくまでに理由というか、なぜまあ自分が自らやろうかなというふうに行きついたっていうところまでは、まあゆっくりお話ししたいとは思うんですけども。

【山下】分かりました。それまた後ほどお伺いしたいと思います。

【綿貫】はい。

【山下】で、まあそのあと僕は2018年にたぶん観てるんですよね。

【綿貫】はい。それが一番最初ですね、演出したのが。

【山下】ですよね。で、18、19、20、21と4年経つんですけど、もうあといくつかですね、まあ谷さんにも誘われて綿貫プロデュース、オフィスコットーネプロデュースのですね、作品をいくつか観てて、どれもおもしろいものがあったので。

【綿貫】ありがとうございます。

【山下】ぜひ、同じ私もプロデューサーという肩書きを持っておりますので、興味を持って来ていただけて、ほんとにありがとうございます。

【綿貫】ああ、いえいえ。なんか、こんないつも演劇界でも異端児である私が。

【山下】あ、そうなんですか?

【綿貫】そうですね、ええ。それに、マニアックとか普通に言われるので、そうやって声をかけて興味を持っていただけるのは、ほんとにありがたいです。はい。

【山下】我々がマニアックなのかしら。

【綿貫】あははは。

【谷】私がマニアックなのかもしれないです。

【山下】東北新社の社員はマニアックな人ばっかりだったりして。
ていうことで、ちょっといろいろと質問していきたいんですが、まず綿貫さんが演劇を観て、たぶん演劇が好きになって今、仕事をされてると推測するのですが。

【綿貫】そうですね。はい。

【山下】なんか最初のその演劇体験? みたいなことは、どんなときにどういう感じでご覧になった?

【綿貫】えっと、あの……なんですかね。いろんなことにまあ興味が。だから10代のころとかはまあアートとか、あと外タレのコンサートとか、まあそういういろんな要するにお友だちが「これ行かない?」って言ったら、「ああ、行く行く」って言って、何でも断らないで。

【山下】好奇心旺盛なんだ。

【綿貫】好奇心……観たい、それ観たいとかっていう感じで。ていうのはあるんですよ。で、確か10歳ぐらいのときに『ベルばら』がはやったと思うんですね、漫画で。

【山下】宝塚。あ、漫画のほう。

【綿貫】漫画で。

【山下】山岸涼子さんの?

【綿貫】そうですね。あ、池田理代子さん。

【山下】あ、池田理代子さん。ごめんなさい。

【綿貫】で、それを観てすごくはまって、みんなあのころ全体的に女子ははまってたと思うんですけど。それで宝塚でちょうど『ベルばら』やってて、もう父親に頼んでチケット全然取れないのに、もう父親が徹夜で並んでくれて。

【山下】えー! すごいですね、お父さん。

【綿貫】もう、すごいあと1枚とか、もう2枚とかっていうのを押さえてくれて、「もう、どうしてもそれだけは観たい」って言って頼み込んで、それで観たのが最初ですね。だから、やっぱりそれはまあ話の内容も分かってたし、もちろん好きだったんですけど、やっぱりなんかそういう温泉場とかで家族旅行で踊り子さんたちが踊ってるっていうのは見たことありましたけど、現実的にお芝居を目の前で10歳で観たときは、やっぱりかなり衝撃ですよね。

【山下】そうですよね、10歳でお芝居は。僕なんか子ども演劇ぐらいのあるじゃないですか。子どもショーとか? 着ぐるみのやつとかしか観たことない。

【谷】僕は木馬座かなんかですよ、たぶん。

【綿貫】ああ。

【山下】坂本九さんとかが来てて、舞台に立ったことがありますけど、呼ばれて。「何年生?」とかって。1年生とか2年のときだと思いますけど。

【綿貫】なんか地方ですか?

【山下】ええ。鳥取の倉吉。

【綿貫】あ、そうですね。地方はこう回ってますからね。演劇がこう。で、だいたいこまつ座さんとか、まあ青年座さんとかっていうのがこう回ってて、それを観たのが最初っていう方が。

【山下】そうですね、ほんとに僕、最初はそれでしたね。

【綿貫】すごく多いんですけど。まあ私は千葉なので。

【山下】じゃあ、東京宝塚劇場? に行ったんですか。

【綿貫】そうですね。ほんとにチケットが取れなかったんですけど、頑張ってくれて。

【山下】じゃあ、お父さんは宝塚劇場に並ばれたんですか?

【綿貫】並んだんですよ。

【山下】じゃあ、あれですか。2枚取れたときはお父さんと一緒に行ったんですか?

【綿貫】いや、2枚取れたときはお友だちと行って、そして1枚のときはお母さんと入口まで行って、で。

【山下】あ、じゃあ待ってるよと。

【綿貫】そうです。

【山下】終わるころに来る。

【綿貫】1人で行って1人で座って観て。

【山下】小学生で1人で観たんですか?

【綿貫】そうですね。

【山下】すごいですね。

【綿貫】そうですね。どうしても観たかったんでしょうね、『ベルばら』が好きだったんで。

【山下】どうでした? そのときの印象は。

【綿貫】いや、もうほんとに「すごい、こんな世界があるのか」っていうか。その演じている、踊っている方と目が合ったりなんかすると、もうドキドキしちゃって。

【山下】ああ、そうですよね。目が合うと緊張しますもんね。分かります。

【綿貫】そうですね。あと、なんか衣装とか、すごいきらびやかな感じで、なんかそれにもう圧倒されたっていう感じですね。でもそれはやっぱり作品が好きだったから、その演劇を観たいというよりは、その作品に触れたいっていうか。

【山下】じゃあ、その作品の登場人物が目の前でリアルな人間としてきれいな衣装を着て、しゃべったり歌ったりしてると。

【綿貫】あと確かね、グッズとかも売ってたんですよ。

【山下】ああ、物販。

【綿貫】下敷きとか。

【山下】それ自慢になりますよね。そこでしか売ってないから。

【綿貫】そうですね。なんかいろんなものをそのときも買い込んだような記憶がありますね、なんか。うん。まあ、それがたぶんだから一番最初に観た具体的な演劇作品だったと思うんですよね。

【山下】そのあとはあれですか? またコンスタントにご覧になっていらっしゃった?

【綿貫】いえ、そのあとは全然観てないですね。

【山下】じゃあ、外国のミュージシャンが来たらコンサート行ったりとか。

【綿貫】コンサートとか日本のタレントのコンサートとか。なんですかね、昔デパートの屋上でサイン会とか。

【山下】ああ、ありましたよね。

【綿貫】ありましたよね?

【山下】ありましたね。

【綿貫】ああいうのに行くのが好きで。

【山下】イベントに。

【綿貫】日曜日とか。そういうのには行ってましたけど、演劇というものはそこからしばらく離れて。で、まあ普通に大学行って、それでそのまま普通に就職をしました。

【綿貫】あの時代は、もうパーッといろんなことがにぎやかで、すごく華やかで、いろんなものがパーッと。だから、ちょうどその時代にサブカルチャー的に夢の遊眠社とかがこうパーッと出てきた時代でも。

【山下】日本青年館とかでやったりしましたね。

【綿貫】あったんですね。で、そこでまたなんか演劇に興味を持ったというか、まあまたそれもお友だちの影響で、お友だちが「ちょっと夢の遊眠社っておもしろいところがあるから観に行かないか」とか言われて。で、誘われて、それで本多劇場とか。で、その当時あと劇団3○○(さんじゅうまる)とか。

【山下】渡辺えり子さん。渡辺えりさんですね、今はね。

【綿貫】ええ。スーパー・エキセントリック・シアターとか。もうそういう、東京乾電池とかもそうですけど、なんかすごく演劇がすごくサブカルチャーで、すごい時代の先端を走ってるみたいな、なんか時代と、そのなんかこう世の中がものすごく動いてたっていう、演劇って新しいみたいな、なんかすごくキラキラしたすてきな感じのイメージ。

【山下】分かります。まるかぶりです、私。

【綿貫】ああ、そう。

【山下】だから、それとプラス、ラジカル・ガジベリビンバ・システム。宮沢章夫さんの。

【綿貫】あ、そうですね。あと、ツール・ド・モダンシアターとかあった時代なんですよ。

【山下】あ、それ僕知らないです。

【綿貫】あの、ツール・ド・モダンシアターっていうのがあって、なんか小劇場の東京乾電池とかそういうところが地方公演にお金を出してグルグル回れるっていう、すごくなんかシャレてる感じのチラシで。ほんとに時代の最先端に自分が触れてる、なんかこう新しいものに触れている自分みたいなことになんか。

【山下】サブカルね、ほんとまさにサブカルのいちジャンルでしたよね、あのころって。

【綿貫】そうですね、そうですね。だから美術館とかにもよく行ってましたし、とにかくなんかまあ働いてましたから、で会社もすごく忙しかったので、ほんとに日曜日かろうじて休みがあると、そういう。

【山下】土曜日だいたい出てましたよね、あのころ。

【綿貫】そうですね。土曜日は出社してたんで、日曜日に必ずそういう演劇とかチケット取って、何かを必ず観てましたね、そのころね。やっぱり最初はだから夢の遊眠社とか、まあ劇団3○○を観てて、それから劇団四季のミュージカルに誘われて。なんか友人いわく、「これが王道だからこっちのほうもまず観たほうがいいよ」って、「サブカルチャーはそれをアレンジしてるから、そういう基本みたいなものもいいんじゃない」って言ったんで、それでしばらく劇団四季も観てましたね。だから、あの当時の劇団四季ってかなり攻めてた演目をやっていて、すごく難しかったんですよね。まあミュージカルはだから定番のものやってたんですけど、それ以外の小さい劇場でやるストレートプレイなんかはものすごく攻めた、今パンフレット残ってますけど、ものすごく貴重だし。ただ、全く難しくて、よく覚えてないです。

【山下】今なんかやると、またおもしろいかもしれないですね。

【綿貫】そうですね。やっぱ難しかったですね。

【山下】あれですか? 浅利慶太さんがお書きになったやつ。

【綿貫】そうです。『アンティゴネ』とか、『この生命、誰のもの』とか、すごくやっぱりこう社会……その小さい劇場でやるのはすごく社会派をやってて。で、まあ20代そこそこってそんな真剣に物事とか考えてない、どっちかっていうと。

【山下】特にね、バブルのころでもあったし。

【綿貫】そうですね。なんかやっぱり夢の遊眠社とか、こうワーッとなんか分からないけれども、なんかこうすごく新しいことをやってるみたいなほうに惹かれてったんで、ちゃんと観てましたけど全く記憶がないですね。『エクウス』とかも観てましたね。

【山下】『エクウス』ね。

【綿貫】市村さんで観てましたね。

【山下】市村さんがまだいらっしゃったころですかね。

【綿貫】そうですね、はい。あれもなんかだから全く分からなかったですけど、ちょっと衝撃的でしたね。暗い中でこう。

【山下】なるほど。

【綿貫】うん。だから、そういうことになんかすごくこう……影響はすごくそのときは受けてたとは思います。

【山下】だから、まあ毎週末そういうサブカル的なものに触れてらっしゃったっていうのがあったと。

【山下】それであれですか? そのあと、綿貫さんは演劇のね、世界に足を踏み込む理由になったのは何かあるんですか?


【綿貫】そうなんです。いったん会社を辞めたんですよ。4年で。それで1年ぐらいぶらぶらしながらいろんな仕事をやって。で、次に就職するときは完全にもう長くやり続けることで何か見つけられないかなと思って。で、そのときに、今は専門学校とか大学とか、いろいろ演劇に携われる方法みたいなのがあるんですけど、私たちのころっていうのはお芝居を観にいくっていう、お客さんと作ってるとこの現場っていうのは、なかなか敷居が高くて。

【山下】そうですね。分かれてた感じですね。

【綿貫】分かれてましたし、芝居をやるっていうことがやっぱり劇団に入る以外に方法がないんですよね。

【山下】思いつかないですね。

【綿貫】思いつかないんですよね。で、もちろんその演劇とかずっと見続けてましたし、ただそれを仕事にしようとは全然思ってなくて、ほんとに趣味で。やっぱり、そういうアートとかデザインとかが好きだったんで、やっぱりデザイナーになりたいとか、なんかそういう願望もあって。あと、コピーライターっていう職業がちょうど出てきた時代だったので。コピーライターになろうかなとか。なんかこう、で、編集部でバイトしてみたりとか。旅行雑誌、旅行もすごいにぎやかだったんで、その旅行雑誌の編集部でバイトさせてもらって、そこでコピー書かせてもらったりとか、なんかそういうちょっと営業とは違う、その……。

【山下】作るほうですね。

【綿貫】作るほうに少し足をこう踏み入れたりとかして。でも、まだ何をしたいかっていうことがよく分からないからずっとバイトしてた。あと、銀座の広告代理店なんかでもバイトしてましたね。楽しかったですね、もう。

【山下】じゃあ、すれ違ったかもしれない。私たちは広告代理店がお客様でございますから。

【綿貫】もうなんか毎週末飲みに行って。

【山下】あのころのね、広告業界のみなさんは。

【綿貫】楽しかったですね、ほんとに。それで。

テキスト起こし@ブラインドライターズ
(http://blindwriters.co.jp/)


担当:田中 あや
いつもご依頼いただきありがとうございます。
バブル当時のお話だったり、劇団名がたくさん出てきて演劇界の盛り上がりを感じたりと起こしていてとても楽しかったです。特に、昔の劇団四季は小さな劇場で社会派の演目をやっていたというお話はとても貴重だと感じました。当時の社会派といわれる演目、ぜひ観劇してみたいです。
また担当できる日を楽しみにしております。

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