OPEN製作メモ
人の記憶は儚くしばらくすると驚くほど忘れてしまうので自分の記憶用として製作過程を残しておきます。
2015年に製作した拙作「麻雀拡張カード」というのがあります。
山札からカードを1枚めくり、そこに書いてあるルールに従ってプレイすることで通常の麻雀に変化を与えるというもので、けっこう面白いルールのカードがあると自負していますが、いかんせん麻雀を身体に染み込むほどやった人向きなので、多少たしなんだ程度の人、知らない人は楽しめません。また後から知ったのですが日本の麻雀はかなり日本固有にローカライズされてるらしく、その点で海外の人も楽しめません。そこで「もっと間口を広くできないだろうか?」と考えていたところに今年新設されたゲームマーケットチャレンジ枠「カード32枚に収まるゲーム」が頭の中で合体し、
・カード枚数が少ない大富豪を
・麻雀拡張カードで面白かったカードのひとつ「露出狂」でプレイ
というコンセプトが生まれました。
占い(予想)について
さて、やってみると(仮想4人ソロプレイ)全員の手札が2/3見えてるにもかかわらず、強そうだった手札のプレイヤーがそうでもなかったり、弱そうだったプレイヤーが1番に上がるといった意外性があることがわかりました。そこで、プレイヤーの意識・視線がその部分(手札と結果の意外性)へと向くよう、予想要素を入れました。
これは最初、現在は上級ルールとなっている「賭け金をいくらでも増やせるルール」を採用していました。このルールだと3金賭けて単独的中するとそれだけで12金にもなり、あっという間に終わることも起こり得ます。また外せば掛け金を失うデメリットもあるため、誰かが大きく賭けた時には「絶対外すわけにはいかない」「あえて外れにさせ大損させてやろう」といった濃厚な駆け引きが生まれます。これはなかなか面白かったのですが、予想を外すとどんどん点が下がっていくのでゲームが収束しないこともあり、標準ルールではマイナスにならない優しいルールにしました。標準ルールで「予想の配点が低い」と感じた人はぜひ上級ルールでやってみてください。
カード構成について
この手のゲームのカード構成を考える工程は、デッキ構築ゲームのようで一番楽しい部分です。「OPEN」では、天九牌を使ったルールのひとつ「打天九」を参考に、いくつかの要素を取り入れました。
スートは2種類(文牌と武牌 ➔ 黒と赤)
数に偏りがあるスート(文牌22牌、武牌10牌 ➔ 黒16枚、赤10枚)
ペアで出すこともできる
それらの要素を入れつつ、さらに
打天九はランクの強弱がとにかくわかりにくいのが欠点
➔ 単なる数字にしてわかりやすく低い数字は不利だけどペアを作りやすく
10はAに負ける、Aは10が出ないとただの1という軽めのジレンマ
といった要素を加えました。カード構成については、もっと悩ましくすることもできたのですが、例えば10を2枚にして9を3枚にすると、3枚のAのうち1枚はただの1として出さなくてはならくなるとか、場にAが出た時のみ2を12として出せる等とすると、より悩ましく、プレイングの幅が広がるのですが、プレイに依るところが大きくなればなるほど予想が立たなくなるかもしれない…と思い、極力シンプルにしました。
アートワークについて
アートワークは、長崎の障害福祉サービス生活介護事業所「すみれ舎」のデザインを担当されているQURAGEさんに依頼しました。障害福祉…と聞くと一見マジメでカタいところを連想しますが、ここでは定期的にイベントをおこなっていて、その宣伝用のチラシが摩訶不思議で驚くほどキレッキレのデザインだったので、いつかボードゲームの絵を依頼したいと思っていました。
今回、ノンテーマの地味なゲームにも関わらず事前にある程度の注目が得られたのも、QURAGEさんのイラストに依るところが大きかったと思います。
ちなみに、QURAGEさんとの初顔合わせはうちの近所の飲食店だったのですが、店に入るや常連客のおっちゃんがめちゃくちゃ話しかけてきて(それも出身小学校どこ?みたいな話w)、「初めまして」の挨拶がなかなかできず大変でした。
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