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ちょっと昔の鉄道旅行

このところ、一連の騒動によって、何となく遠出がしにくい状況となっています。

東京では桜も咲きましたし、菜の花が見ごろとなっているところもあるでしょうし、春の風景を探しに行きたいのですが、なかなか難しい日々が続いております。

撮影に出かけられない時は過去の撮影紀行を振り返るわけですが、ふと古いフォルダを見ていましたら、私が本格的に鉄道写真を撮り始めるその前に、青春18きっぷを使って旅をした時の写真が出てきました。2004年の夏ですから、今から16年前。これを「昔」というのかどうかわかりませんが、「十年一昔」ともいいますから、ちょっと昔であることは事実でしょう。

今回はその時の行程を振り返って、ちょっと旅した気分を味わってみたいと思います。

1日目:徳島⇒高知

当時、社会人一年目の私が漠然と思っていたのが「四国へ行きたい」でした。なぜ四国なのかわかりません。別に地縁があるわけでも、お遍路に興味があるわけでもないのですが、なぜだか小さな頃から四国が好きでした。

というわけで、四国をぐるりと回る行程を企画し、ついでですから、青春18きっぷの残りの日程を使って北陸方面を海沿いに伝っていこうと考えました。青春18きっぷは皆さんもご存知でしょうが、年齢制限はなく、1日JRの普通列車や快速列車が乗り放題で、5日間有効です。3日+2日等と分けて使ってもよいのですが、私の場合は5日間連続の行程を考えました。

旅の起点は徳島です。人生初の夜行バスに乗って徳島へ向かいます。繁忙期の増発便だったので4列シートでリクライニングもほとんどしないバス。エンジン音のうるささや腰が痛いやらでほとんど眠れなかったことを覚えていますが、ともあれ、旅の始発地、徳島に到着しました。

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徳島から青春18きっぷの旅をスタート。まずは徳島線に乗って阿波池田へと移動。そこから四国交通の路線バスで日本三大秘境のひとつ祖谷のかずら橋へ。かずら橋そのものも楽しかったのですが、何よりその川のきれいな色に心が癒されました。

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ところが、昼食を取っていると突然雷がゴロゴロ、あっという間に土砂降りの雨になりました。ずぶ濡れになりながら大歩危駅行のバスに飛び乗りました。大歩危駅では2時間ほどの列車待ちがあり、その間に雨も小やみに。この日の宿泊地である高知駅へと移動しました。高知では、ちょうど翌日から始まるよさこい祭りの前夜祭をやっていて、熱気あふれる音楽と踊りに感動しました。

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2日目:高知⇒松山

この日は朝から高知市内を観光。市街にそびえ立つ高知城の凛とした美しさは感動モノでした。

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高知城を眺めた後は、よさこい祭りのパレードを見ながら高知駅へと移動。土讃線に乗って窪川へと向かいます。この日のメインイベントは予土線を走るトロッコ列車。貨物車特有のガタゴトとした揺れ、四万十川ならではの沈下橋の風景など、ゆったりと歩を進めながらの列車旅、心行くまで楽しみました。

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宇和島からは特急車両を改造した普通列車に乗って松山へ。道後温泉の近くに宿泊しました。

3日目:松山⇒福知山

今日は早くも四国を離れる日です。

まずは朝方、道後温泉で汗を流し、松山城へ。四国には現存天守が4つも存在していますが、ここ松山城は天守こそ小ぶりながらも大きな城郭でがっつりと楽しむことができました。

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ここからは予讃線に乗車して一路、東へ。予讃線で時折海を見ながら進みます。持ってきた文庫本は早々に読みつくし、松山で補充。車窓を見ては本を読み、本を読んではうつらうつらと眠りこけ、のんびりと進みます。

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四国で行ってみたかったかずら橋、予土線のトロッコ列車、道後温泉は満喫しましたので、大満足で四国を離れ、初めての瀬戸大橋を渡り本州へ。瀬戸内海の多島美を楽しみました。移動中には凛としてそびえ立つ姫路城も遠望することができました。

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この日は姫路から播但線・山陰線と乗り継いで福知山で一泊です。

4日目:福知山⇒富山

実かこのあたりから、旅に飽きを感じています。友達ときているわけではないひとり旅ですから、何せ話し相手がいません。1日~2日ほどであればどういうことはないのですが、さすがに3日も経つと寂しさを感じるようになります。

この日は舞鶴線、小浜線、北陸本線と日本海沿いをひたすら進みます。そこかしこに海も見れてきれいでした。

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この日の最大の目的は金沢の兼六園だったのですが、17時で閉まることをまったく調べておらず、タッチの差で入ることができませんでした。仕方がないので急きょ行程を変更。北陸鉄道浅野川線に乗って終着の内灘へ。内灘海岸からの夕陽を眺めることにしました。これが大当たり。きれいな夕陽に心が癒されました。

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再び金沢に戻り、最後の宿泊地、富山へと向かいました。

5日目:富山⇒東京

旅も最終日。かなりの疲れが出ています。最初の3日間はけっこう写真も撮っていたのですが、この日撮った写真はかなり少なくなっています。

北陸本線を日本海側へ進みます。寝台特急583系を改造したゲテモノ、通称食パン電車にも乗ることができました。

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直江津からはJRを離れ、北越急行に乗り込みます。その理由はゆめぞら号。長大トンネルが多い北越急行の特色を活かして、天井に動画を投影するイベント車両です。現在のプロジェクションマッピングと比べると当時のプロジェクター投影はどうしても見劣りしますが、それでもなかなか楽しむことができました。

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越後湯沢からは本数が少ない上越線の水上行に乗車。清水トンネルを抜けて高崎を経由し、高崎線経由で東京へと戻りました。東京は暑いなぁと思いながら帰路についた旅でした。

列車旅もいいものです

こうして昔の写真を振り返ると、その時の思い出が不思議とよみがえってきます。高知城でお財布を落として青ざめたこと(その後すぐに見つかって事なきを得ました)、道後温泉の芋洗い場みたいな浴室、兼六園に入れなかった時の悔しさというか茫然自失感、内灘駅から海岸までの思いもよらない遠さなど、15年以上も経っているのに、どうでもいいことまでちゃんと覚えているのですから不思議です。

今でこそ、いわゆる撮り鉄をメインとしているので、列車は乗るよりも撮ることに重点を置いてしまっていますが、時にはただローカル列車に乗り続ける旅も悪くないなと思います。

でも、限度は2泊3日かな。それ以上だと腰も痛くなるし、疲れますしねぇ。

(掲載写真はすべて筆者撮影。2004年8月)

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