オルレアン プロモタイルレビュー 第1回:新たな場所No.1
こんにちは。オルレアンが大好きすぎてアイコンもオルレアンになってしまった者です。
この記事では、2021/12/9にengamesから日本語版が発売される、「オルレアン プロモタイルセット」に収録されている全24種のプロモタイルについて、3枚ずつ取り上げ、計8回に分けてレビューしていこうと思います。(僕も日本語版の製作スタッフとして、校正・校閲を担当させていただきました。ぜひともよろしくお願いします。)
なお、この記事はあくまでレビューですので、各タイルの効果については記載していません。レビューを見ればおおよそ見当はつくかと思いますが、正確なルールについては「オルレアン プロモタイルセット」に付属の日本語ルールを参照ください。
プロモタイルについて
そもそもですが、プロモタイルというのは名前の通り「プロモーション」、つまり販売促進を目的に作られたものです。おそらくですが、通常の拡張セットほどバランス調整を意図して作られているものではありません。
実際のところ、このプロモセットの中には強すぎるタイルが収録されています。しかも何枚も。どれくらい強いかというと、例えば1人だけ空を飛べるやつが混じっていたり、念能力の使い手が混じっていたりするレベルで強いです。
使い倒して勝てれば楽しいですが、負けた人は(オルレアンてずいぶん大味なゲームなんだな...)と感じてしまうこともあるかもしれません。
なので、プロモタイルは必須拡張というより、オルレアンを何度も遊んだ好きな人がさらなるプレイの幅を求めて導入するためのものだと思います。
初プレイの人と一緒に遊ぶときは、プロモタイル抜きで遊ぶことを個人的には推奨したいです。
もしくは、ランダムにプロモタイルを(初プレイの人数+1)枚ずつ選び、インストの一番最後に各タイルの効果を説明し、初プレイの人だけに1枚ずつキープしてもらうのでもいいかもしれません。ここでのキープとは、建物タイルを獲得できるときに自分専用の選択肢が増えるという意味です。最初から獲得済とはみなしません。誰がどのタイルを選ぶかについては、一斉に指差ししてもらって被ったらじゃんけんで決めればよいでしょう。1ラウンド目の手番と逆順でもOKです。
評価基準など
各タイルは5段階で評価しています。
★:そのタイル単体だけでも取りに行きたい度
☆:コンボパーツ、特定条件下(現実的な)としての評価上乗せ度
この評価には個人の好みが多分に含まれています。★の少ない建物タイルは僕が強さに気付けていないだけの可能性もあります。
また、この評価は以下の環境で遊んでいるときを想定しています。
・4人プレイ
・拡張「交易と陰謀」の「新たなイベント」を使用
・拡張「交易と陰謀」の「新たな公益事業ボード」を使用
・場所タイルはⅠ、Ⅱとも、全拡張(このプロモタイルセットを含む)
からランダムに13枚ずつ選び、26枚とも公開した状態でプレイ
・拡張のその他追加要素(注文カード、「侵略」の大工etc)は無し
拡張「交易と陰謀」を入れない場合、公益事業ボードに随行者を送ったときに期待できる効果が少し弱くなります。もし「交易と陰謀」を未所持の方はは、ぜひご一緒にお求めください。毎ラウンドの砂時計タイルの内容がランダムになったり、ゲーム展開が基本セットの10倍くらい起伏に富んだ面白いオルレアンになります!
第1回:新たな場所 No.1
パン屋(Ⅱ)
(茶)
★★★★★
1枚目からいきなりだが、プロモタイル最強の一角。麦3枚+2コイン(5点相当)を、職人1つで15~18点にするポテンシャルがある。発展トラックを上げる以外の方法で10点以上の得点を稼げるタイルは強い。さらにこれを繰り返し打てるのだからとても強い。
麦は「麦畑(基本)」から素直に手に入れると3ターンおきにしか発動できないため、金の力で麦を買える「屋台(侵略)」などのタイルと組み合わせて打つ頻度を高めることが理想。「貯蔵室(基本)」で4コインを稼ぎ、2コインを「屋台」で麦2枚に変換し、「麦畑」で麦1枚を得て、貯蔵室の余りの2コインをパン屋の起動コストに回せば、毎ラウンドパン屋をたたき続けることもできる。ここまで完全な構築をするころには、麦がストックから枯れていそうではあるが。
発展トラックのレートを上げ忘れると効果は十分に得られないことに注意が必要。レートを底上げする「大聖堂(プロモ)」があったらぜひセットで取りたい。
パン屋の価値が相対的に下がるのは以下のような場合。このときに無理に取りに行くかどうかは要検討。
・プレイ人数が3人以下で、人数に応じてランダムに抜いた商品に麦が多く含まれている
・セットアップ時に、麦が陸路・水路上に多めに置かれ、ストックにあまり残らなかった
金細工師(Ⅱ)
(灰)
★★★★☆
2枚続けてこんなことを書くのも憚られるが、プロモタイル最強の一角。
最大ポテンシャルは麦1枚(1勝利点)で発展トラックが10マス進みうる。錬金術なのに等価交換の法則を無視しすぎと言いたくなるレベルで強い。そもそも発展トラックのレベルは交易所(と市民タイル)の得点を高めるのに、その度合いが交易所の数で決まるんだから噛み合いが良すぎる。
発展トラックは30マスなので、仮に交易所を10個置ききっていれば、3回打つだけで発展トラックをカンストさせることも理論上は可能。普通に使っても、交易所4,5軒の段階から使い始め、並行して交易所も建て続ければ、他に発展トラックを進める行動が不要になる。そのぶん建築に特化した構築に注力してよい。
「街道(プロモ)」があると序盤から交易所数を稼げ、学者を集めるプレイヤーより早く市民タイルを拾いうる。強い。
隠れ家(Ⅱ)
(黄)
★★★☆
商品1枚で、技術タイルや建物タイル(ストックにさえあれば)、発展トラックを得られる汎用性の高さ。カンストさせたトラックや、随行者がストックにないトラックであってもボーナスを得られるのは強い。序盤~中盤で取れたら技術タイルや建物タイルの獲得に使い(両方とも2マス以上進んだ状態が理想)、あとから発展トラックの底上げに使うのがよさそう。
最終的には金策に使ってもよいが、起動時に商品タイルを使い(最低でも1勝利点を失う)船長トラックから5コインを得たと仮定しても、技術タイルを乗せた「貯蔵室(基本)」と同程度の稼ぎにしかならない。他にすることがないときの得点底上げには役に立つかもしれない程度。
修道士でないと打てないのでやや評価を下げたが、腐ることは少ないので十分強いと思う。ただしこれ1枚で勝負を決め切るほどの爆発力はない。
コスト用の商品を「麦畑(基本)」などで簡単に用意できるようにしておくと気兼ねなく使い倒せて楽しい。
以上、第1回:新たな場所No.1 のレビューでした。
次回は第2回:新たな場所No.2で「兵舎」「裁判所」「劇場」の3枚のタイルをレビューしていきます。どうぞお楽しみに。
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