その80

・サクラノ詩を完走した。続編が11月末に発売されるということで急いでプレイしていたが、結局来年1月に延期して私はゆっくりプレイできた。その結果4ヶ月くらい完走までかかってしまった。

・本作品は美術をテーマに、『生と死』『天才とは』などを中心に描かれていた。最初は一般エロゲーと見せておきながら、シナリオが進むにつれそれまで提示されていた謎が解決されつつ新たな謎が増え、終盤になるにつれ全ての登場人物、事象が1つに繋がっていく物語の作り方は流石であると言わざるを得ない。『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』から通じるシナリオライター、すか自の上手いところであろう。

・あまり気になるというほどのものではないが、本作は『素晴らしき日々』に比べても、引用の多さが目につく。『春と修羅』『春日狂想』の引用は本作品のテーマとなるところなのであまりうるさく言っても意味は無いのだが(『素晴らしき日々』で『シラノ・ド・ベルジュラック』の引用が多いと文句をつけるように)、一方で特に草薙直哉と御桜稟による芸術論などでは、デカルトをはじめとして三島由紀夫までもを引用する。哲学的議論をする際に過去の同様の議論を引用しないことに新たな思索は意味を為さないということはもちろんだが、その度に引用と原典を提示することでテンポが悪くなるようなことがあったとしたら、それは本末転倒となってしまうだろう。

・本作品は2015年10月に発売された作品だが、続編となる『サクラノ刻』の発売は2023年1月となる。実に7年以上の歳月を経て発売される続編だが、本作品を発売当初から続編を待っている人々(言い忘れたが、本作品は明らかに続編を匂わせる終わり方をしているし、本作品だけではまったく完全とは言えない)はどのように感じただろうか。続編が発表されない、ということはリメイクや新作が発表されないことに比べて格段に苦しい。なぜなら、作品は既に完成しているわけでも、まだこの世に送り出されていないわけでもなく、作品の完全な姿を見ることができないからだ。同様のことは以前紹介した『殻ノ少女』シリーズについても言うことができるのだが、かの作品は私が始めた時には既に最終作が発表されていたため、第一作は2008年発売の10年ものの作品だったが、それを実感しにくかった。しかしながら、今でも発売延期により発売されていない『サクラノ刻』を待つ気持ちは、早くしろと思うと同時に、「本当に発売されるか?」という気持ちにさえなる。私は発売日時までわかっているため発売されないということはないだろう(これ以上延期したらクオリティに関してはかなり怪しくなるが)と考えられるが、4〜5年経っても音沙汰がなかったとしたらどう思うだろうか。いくら良い作品でも、完全でなければ完全な評価はできない。完全でないことを売りにするギャグ(サグラダファミリアなど)はあくまでギャグであって、興味深いという意味での面白さにはならない。特に文学作品など、物語を見せるものでは。

・好きな音楽の話
櫻ノ詩 (サクラノ詩)
サクラノ詩のOPテーマである。荘厳なピアノソロによるイントロから始まり、OPらしく、本作品の主要な要素がまとまった歌詞となっている。『瞬間を閉じ込めた永遠こそ私たちの意味そして意義だと君は知るだろう』という歌詞が非常に良い。音としては『心象をスケッチしよう』のところが好き。
サクラノ詩にしろ、素晴らしき日々にしろ、この世にサントラが出回っていないのに配信での発売もサブスクでの配信も無いのはなんとかしてくれ。コミケでサントラ売ってくれ〜

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