スマホを家に忘れただけなのに

 数日前、ひとつの人間関係が切れた。
 ネットで数年来接触のあった方である。半年前に推し事の一環で移住(ちなみに、関東とか関西ではなく、いっぱしの地方である。地方なのに?!)してきたことがわかったので、いよいよ会いましょうとご飯の約束をとりつけたのだが。
 人間関係とは、かくも簡単にふいになるものなのだなと、しみじみ思う今日この頃である。
 私がスマホを忘れて家を出てしまい、仕事終わりに会う約束が実らなかったというのがいきさつであるが、どうも腑に落ちず色々と考えるところがあり、ノートにしたためることにした。

時系列

 相手は、遠方から推し事の一環で半年前に現地へ越してきた。待ち合わせは何時でもいいとのこと。
 私は仕事があるので、待ち合わせ時刻は仕事上がりの18時に設定した。
 設定した駅は、基幹でも改札口がひとつしかなく、しかも改札から出た目前にコンビニエンスストアがある。
 待ち合わせ場所として最適である。

私の行動

朝〜 スマホを家に忘れ、スマホを持たずに過ごす。(バスの中で忘れたことに気がついたが、取りに帰る時間はない)

17時45分〜18時45分
 仕事を終え、待ち合わせ場所に到着。
 待ち合わせ場所のエリアで、立ち止まってスマホを見ているような、誰かを待っているふうの人に片端から声をかけた。寒空の下、この行動を上記の1時間行う。
 予約のお店は近辺だが、移動は難しかった。スマホの地図が使えないからだ。

相手の行動(仮にAとする)

 積極的に、帰宅後に確認したLINEのスクショを晒していく。

17時半ごろ
 先に到着したAから、駅併設のショッピングモールをうろついていると連絡が入っている。

これはまあ、あるある行動か。

18時すぎ
 その後、私からの返信がないことにしびれを切らしたようだ。
 待ち合わせ場所には足を運ばず、独断で、予約したお店の方に行ってしまう。(?)

?? 「一応入りましたが」……とは?

19時半ごろ
 その後。

??????

20時ごろ
 こちらが帰宅。スマホを忘れ、待ち合わせ時刻前後1時間は駅の待ち合わせ場所で待っている人に片端から声をかけていたことを伝えるも、以下の長文LINEメッセージを収受する。

????!????

 おわかりだろうか。
 いや、わかる人がいるのか?
 すまん。私には意味がわからない。

整理

○こちらが思っていたこと
 スマホを忘れたことは申し訳ない。本当に申し訳ない。おそらく連絡をたくさん入れてくれているはずだから、会ったら謝ろう。
 それにしても、待ち合わせ場所に来るはずなのに、どうして来ないのか? Aに何かあったのだろうか。心配だな。

 ー 私の考える待ち合わせの原則 ー
   ・間違えようのない場所が決まっている
   ・日時が決まっている
   ・必ず定刻に、その場所に行くので会える

○相手が思っていたであろうこと
※書き出してみると、想像力が欠如しまくっているさまが伺えた。

  • なぜLINEに返信がないのか? さては残業だな? 残業でも一言言ってくれたらいいのに。
    ⇒連絡が入らない理由に、残業以外の選択肢がない。
    ⇒スマホは、誰しもが四六時中持っていて当然だと思っている。

  • 私はショッピングモールからLINEで連絡を入れ、最短距離で移動して予約の店にきた。お店にどうして来ないのか? 来るべきだ。
    ⇒"待ち合わせ場所"の概念分かってますか?

 なお、この一連の会話により、根こそぎぐったりさせられたあと、私は、発達障害者が回答を大外しする「サリーとアン課題」や「チーズケーキ課題」を思い出していた。

●サリーとアン課題

●チーズケーキ課題

 最後にきた長文LINEスクショのとおり、Aはひたすら私を責めたのだが、Aにも過失があるということには150%お気づきでない。
 当たり屋に当たられたようなものである。
 指摘するか迷うも、とにかくめんどくさいので平謝りに平謝りを重ね、手切れ金がてらスタバのLINEギフト(最安値500円)を送り、静かにAとのLINEトークを削除した。
 まさに、縁がなかった。
 平身低頭謝罪して、LINEギフトまで贈ってと一見聖人対応だが、本心はどす黒く、心からいつか同じ目に遭えと思っている。

 まあ、そんな気持ちもこの記事を書いて消化した。

 しかし、Aに限った話ではないだろう。
 現代人は、スマホで万能感を得ていないか。想像力を失っていないか。
 Aの言動は、なんだか我が身ごとにも思えた。
 スマホは電池が切れることもある。今回のように、どちらかが家に忘れてくることもある。手に持っていても、なんなら交通事故や病気で応答できないこともある。
 人間、所詮は人間。おごってはならない。

 ちなみにぴったり1時間、寒空の下、知らない人間に声をかけまくるフェーズをしている最中、私の脳内には、野口五郎さんの名曲『私鉄沿線』が大音量で流れていた。

私鉄沿線
作詞:山上路夫 氏 作曲:佐藤寛 氏

〜2番目 あたま4小節〜
伝言板に君のこと 僕は書いて帰ります

https://lyricjp.com/ats/a0020a8/l003cbe.amp

 最後に、これは言ってはならないことだが、ちょっと思ってしまった。約半年前に移住してきたのに、現在、未だにAは無職だ。
 心の余裕は、お金の余裕なのかもしれない。

後日談

 既読もつかないし、どうしたものか……と思っていたら、1月1日に突然こんなLINEが来た。

 やっぱり意味がわからない。
 私の気持ちを聞かず、非常に一方的である。自分がこう! と思ったら、こう! な、変な人だということは分かった。
 毒親育ち……?
 正月にこんなLINEが送られてくるほうの身にもなれと言いたいが、変な人なのだから仕方がない。
 つくづく縁がなくてよかった。

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