#122 誕生日の夢
「お誕生日、おめでとう!」
目の前にだされたケーキを見て私は頬を膨らます。
「これ、嫌い! チョコレートのがいいって言ったのに!」
腕を組んで足をばたつかせる。
「でもね、こっちの方が美味しいよ? チョコレートは…よっちゃんが食べれないし…それに、こっちの方が皆んなで食べれるのよ!」
「でも、私の誕生日でしょ? 私のケーキでしょ?」
困った顔の父と母。小さな妹のよっちゃんがケーキに手を伸ばして苺を取ろうとしている。
「ダメ! これは私の!」
よっちゃんの手を叩いてケーキを遠ざける。
よっちゃんはみるみるうちに目に涙を溜めて大きな声で泣き出した。
「何で泣くのよ。私の誕生日なのに」
私はもう誕生日なんて来なければいいのに、といつまでも唇を尖らせていました。
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風の子・マロンは誕生日ケーキの夢のカケラ(egg)を腕に戻ってきました。
ドミノとシイナはとても悲しい気持ちになりました。
「も、もっと幸せな誕生日会だったらよかったのにね」
「きっと、いつか迎えられますよ、素敵な誕生日を」
BOX SPACE:夢現
風の子と契約を結んでいるコントラの「ドミノ」と「シイナ」。
ドミノ達は、夢の向こう側(現実)から迷い込んだ迷人(まよいびと)の夢に入り「夢のカケラ」を集める役目がある。 かつて世界を守っていた8人の王達の墓には、眠人(ねむりびと)が『墓の鍵』を眠りながら守っている。眠人(ねむりびと)の眠りを安定させる為に夢のカケラは必要なのであった。
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