斜陽の初恋について

小説が好きな私は、勿論、太宰氏が好きである。言葉の選び方や紡ぎ方は、新藤晴一氏が好きだ。この話もいずれしたい。

保育園で(無意識かつ無自覚に)好きだった相手、Aと再会した私は小学4年後半〜高校2年までの7年をAと共に過ごすことになる。
Aは特別目立たず、たまに思い出したようにいじられる学校カースト制度5段階中、3や4クラスをウロウロする普通の男子だった。ちなみに私は最下層にいた。
そんな2人が、家が隣同士で毎日登下校を共にしていると知ったクラスメイトの冷やかし対象にならないはずがなかった。
私たちは部活動を理由に共に登下校をしなくなり、学校内では曖昧な距離を取りながら過ごすことになる。

学校で冷やかされるたびに意識していた。お互いに気まずいような雰囲気があった。しかし、中学生になって暫くした頃、私が通っていた小さな個人経営の学習塾にAが通うようになり、その行き帰りを共にするようになる。
暑い日も、寒い日も、自転車で横に並んで風を切った。クラスメイトがいなかったので隣同士の席で勉強した。想いを静かに育てるのに十分な時間だった。

そんな私たちに変化が訪れるのは、中学最後の3月だった。春から高校生。やっと、念願の携帯電話を買って貰った私は迷わずAと連絡先を交換した。
メールでは、なんてことない事をたくさん話した。学習塾の行き帰りは相変わらず一緒だった。少しずつ、お互いの心を探るRe;が増えていく。

記念日は、もう覚えていない。
確か高校1年の冬の期末テストの勉強で夜更かししてた時だ。お互いに、どちらが言いだすのが早いかというタイミングの問題のようなメールをしていた。どちらが告白したのかも、もうなにも覚えていない。
ただ、この時、初恋って実るものなのだな、と感慨深い気持ちになったことは覚えている。

お互い別々の高校生活に身を置いていてもメールがあればいつでも話せた。
付き合い出してもしばらくはメールしかしてなかった。Aの部屋に遊びに行った時、なんだか変に緊張したものだった。詳しくは書かないが、何回か遊びに行った末に、身体を求められた事をきっかけに私はAと距離を置くようになる。

今振り返れば、私はまだ恋愛に少女漫画のようなキラキラしたものを求めていたのだと思う。メールで始まった恋は、メールでそっと終わりを告げたのだった。


まだまだ続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?