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「合判模試」のススメ

 外部の方と無料学習相談をさせていただくときは、基本的にそれまでの成績をベースにお話しさせていただいています。しかし、相談を受けるたびに感じるのは、一社の模試だけで判断することの難しさです。特に難易度の高い模試を受けている子で成績の悪い子に関しては、その数値だけで判断してしまうことに危うさを感じます。さらに「その模試の難易度に対応できなくとも、合格できる」と感じる学校を志望されている方とお話をする場合、その一社の模試で話をすることには、なおさら不安を覚えます。ゆえに慎重に話を進めるのですが、そのときに基本的には「合判模試」の受験を勧めています。


  これまでの指導経験で、ある程度の学校の問題までは「合判模試」の対応力で判断するのが正確だと考えています。日能研の「合格力判定テスト」や四谷大塚の合判テストの問題の難易度に対応できなくとも合格する学校は、その偏差値50程度までに多いです。ゆえに、そういう学校を目指す子に関しては、セカンドオピニオンとして「合判模試」の受験をお勧めします。不必要に自信を失ってしまっては損をしてしまうことがあるので、「合判模試」を受けてみることには価値があると考えています。
 もし、日程的にお通いの学習塾のスケジュールと合わない場合でも、昨年度の過去問が発売されているので、それを購入して取り組むのでもかまわないと思います。同じ年度の子との相対関係は判明しませんが、ある程度の実力を測ることはできるはずです。

 「合判模試」を受験するメリットは、セカンドオピニオンとしての意味の他に、もう一つの意味があります。それは、自分の努力の成果を感じることができるというメリットです。
 偏差値というものは、母集団での立ち位置を表した数値です。そのため、母集団の実力が高ければ高いほど、実際に実力があっても低い数値になってしまうものです。ゆえに、しっかりとした努力をしていても、それに対して自信を持つことができないことがあります。ずっと低い数値を出し続けていれば、モチベーションを維持するのも難しいものです。それであれば、実際の実力を出し切ることなく中学受験を終わらせてしまう危険性もあります。そうならないためにも、母集団の異なる模試を受けることは大切になります。

 あくまで、これまでのデータを基にした数値でしかありませんが、SAPIXの偏差値であれば+25、日能研・四谷大塚の偏差値であれば+15はされた数値が出ると考えられます。偏差値表の中では、模試間による各学校の差は、それほど大きくありません。したがって、日能研や四谷大塚の偏差値50~55くらいまでの学校であれば、「合判模試」の対応力次第では合格の可能性が見えてくる学校が出てきます。ゆえに、私たちは「合判模試」の受験をお勧めしています。

 中学受験は、高校受験や大学受験と比べると、取り組んでいる人数が極端に少ないものです。それゆえに、母集団の差が偏差値に大きく反映されてしまいます。したがって、その数値の解釈を間違えると、無駄に可能性をスポイルしてしまいます。そうならないように、ぜひ慎重かつ前向きに模試を選択することをお勧めします。
 その使い方については、以前も記事にまとめたことがありますので、その記事を合わせてお読みください。


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