アルバムベスト

年間ベストアルバム 2019年

今更ですが、個人的な年間ベストアルバム2019年を書きます。去年書いてて、自分が何を好んで聞いていたかの振り返りにもなるし、何より書いてて楽しかったので、書きます。好きだったのをすべて書くと、書ききれないので10までに絞ります。

と書きましたが、どうしても選びきれず中途半端な12になりました。

12.Sudan Archives 『Athena』

正直、この曲だけで今年1のアルバムかなと思ってました。ストリングスと歌と電子音の絡みに加え、絶妙なポップセンスで今年一番の曲でした。めっちゃ好きです。前作までに比べて、さらに洗練されているなと感じました。持ち味の民族ぽいストリングスを入れたものに、トラックを入れていく感じはほんと好きです。Confessionsが良すぎたので、アルバム全体で聞くと少しだけ物足りなさを感じてしまった。しかしむっちゃくちゃカッコいい曲。


11.Mayra Andrade 『Manga』

ふらっと入ったディスクユニオンのラテン系とかで紹介されていてハマりました。自分のリズムを変えたいときによく聞いていて、スイッチが入ります。マイラさんの魅惑的な歌声もいいですが、ギターやパーカッションもすごく良い。電子音も多いけど、ラテンのリズムや音と融合していて新鮮です。全体通して軽く踊れる感じなのも聞きやすいです。


10.never young beach 『STORY』

正直なところ、今までのnever young beachは全然好きじゃなかったんですが、「いつも雨」を聞いてこのアルバムを好きになりました。名曲だと思います。いい意味で時代を読んでいないというか、はっぴいえんどの日本語ロックを俺らでアップデートしていくんだって感じがしてすごく良いです。しかもオマージュとかじゃなく、コーラスの使い方とか、アコギの入れ方とかも絶妙で、ロックもやっぱ良いよなーと思わせてくれる良いアルバムでした。


9.ROTH BART BARON『けものたちの名前』

「けもののなまえ」これも聞いた瞬間ドキッとした名曲です。すごい。名前は知ってるけど、今までしっかり聞いたことの無いバンドでした。全体通して宅録っぽい音で、アコギなどの生音多めの心地よい感じかと思いきや、歌詞のひとつひとつに手触りがあって、聞くたびに驚きがあって全然飽きないです。なんというか、映像が浮かんでくる曲が多い。曲のダイナミクスもよくて、一曲一曲に聞き応えもありつつ、アルバム全体のトーンも合ってて、凄くいい。深度の深いアルバムでした。


8.KIRINJI『cherish』

KIRINJIの進化というか変化が凄い。シティポップを昇華しつつも、ブラックなテイストも盛り込み、前作からの流れも組む、むっちゃ良いアルバムだと思います。YonYonさんや鎮座Dopenessさんとのコラボも両方の良さが滲み出てて良かったです。特に「Pizza vs Hamburger」と「killer tune kills me」が好きです。ただ、前作の方が好きでした。


7.Solange『When I Get Home』

「Stay Flo」が一番好きですが、全曲むっちゃカッコいいです。コーラスの重ね方とか、エレクトロとヒップホップがちょうどいい具合に混ざっててなおかつ聞きやすい。そしてSolangeさんダンスもすごい。このアルバム今年めっちゃ聞きました。もうジャンルレスでいろんなものが混ざりつつも、芯があり魅惑的な歌声がたまんないです。


6.Vagabon『Vagabon』

初めて知ったアーティストでしたが、このアルバム聞いてむっちゃ好きになりました。アルバムジャケットから勝手に力強いSSWかなと思っていましたが、歌声が繊細でほんとに素晴らしい!アルバム全体として瑞々しくて少し寂しさを感じるんですが、砂漠の夜のような曲たちがたまらなく好きです。元々カメルーン出身の方のようで、なんとなくアルバム全体に漂ってた不思議な空気が納得できました。アルバムの最初と最後の曲「Full Moon in Gemini」が特に好きです。


5.Helado Negro『This is How You Smile』

ドリーミンサイケポップというか、なんというか個人的にずっと好きな音が鳴ってます。ずっと聞いていても疲れない感じもいいんですが、この宅録感のある音が好きなんだと思います。ボーカルの語りと歌の間くらいの優しい歌声が良いです。Spotifyのおすすめ機能で知ったんですが、めちゃくちゃハマりました。ありがとうSpotify。ちなみに前作の『island Universe Story Four』もむっちゃ良いです。


4.石若駿『Song Book4』

僕はそれほど日本のバンドやジャズを知っていませんが、今まで見た中でもトップクラスで感動したドラマーが石若さんです。若手の中では間違いなく日本でも有数のドラマーだと思います。CRCK/LCKSのライブで見ましたがシャッフルも縦ノリもダイナミクスの上手さもすさまじく、何気ない8ビートでさえ良かったです。songbook4は角銅さんの歌がメインでもあり、シンプルな演奏と歌がたまらなく好きです。太くて透明な歌声と素朴な演奏なのに、芳醇で一音一音を楽しみたいと思える素晴らしい曲たちです。


3.Jacob Collier『Djesse Vol.2』

もう天才過ぎて、生きてる世界が違うなとしか思いませんが、ほんと最高でした。ずっと元気で作品作り続けて欲しいです。ほんとにジャンルレスで、ジャズ/ポップス/R&B/クラシック/ロック/民族音楽などなどいろんな音が交錯し続けますが、それらを見事に調和させつつJacobワールドを作り続けているなーという感心しかないです。

NPRのライブも2019年で1番感動したのはJacobでした。200回くらい聞いたかもしれない(笑)

余談ですが、Jacobはインターネットの申し子ともいえる音楽家でYoutubeによって有名になった人ですが、IHarmという企画でYotubeを使ってうまくファンと相互交流してて、インターネットの使い方がめちゃくちゃうまいです。2020年の3月には#Beatsketchという企画で、Jacobが作った1分くらいのビート/映像に世界中の人から歌やラップや語りやダンスなど何かしらの創作をつけてもらい、それらを使って3月15日にYoutubeライブで次作の曲を作ると言ってます。Youtubeでライブ映像の配信とかではなく、ビートを世界中で共有して、素人からプロまでのフィードバックをもらい作曲過程見せますという凄さ。


2.VIDEOTAPEMUSIC『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』

VIDEOさんほんとに大好きなんですが、今回は歌ものばかりで、一聴したときは、前作『ON THE AIR』の方がよかったなと思ってました。何度か聞くうちに段々よく聞こえてきてめちゃくちゃハマってました。折坂さんや髙城さんはもちろんですが、Kim Na Eunさんの「ilmol」mmmさんの「Summer We Know」は名曲だと思います。特に「Summer We Know」はアルバムが発売された夏にぴったりでずっと聞いてました。やっぱりVIDEOさんは熱帯夜に聞きたいアーティストNo1です。


1.Toro y Moi『Outer Peace』

悩みましたが、2019年のアルバムではToro y Moiを一番好んで聞いたと思います。今までよりシンプルで強くてポップでダンサブル。流し聞きもできるし、テンション上げたいときにも気持ちいいビートでたまんないです。シンプルだからこそ、曲の耐久性も高くて飽きずにずっと聞けそうです。特別ここが好きだって感じではないんですが、このアルバムはずっと聞けるなーという意味で一番良かったです。Toro y Moiはライフワークのように良いトラックを作り続けてますが、Youtube配信で見たフジロック2019でも素晴らしかったです。

以上が、2019年に発売された個人的なベストアルバムでした。もちろん他にもよかったのはいっぱいありますが、特に好きだったのは上記にあげたものです。世界的な潮流みたいなものがありますが、その中でもローカルさ、逆にシンプルみたいなものに惹かれている気がします。

音楽の流通の仕方も根本的に変わりつつあり、アルバムという形でアーティストが作品を発表するのが全てではなくて、1つの形式でしかないんだなーと今年は特に思いました。CDという形式はもうほとんど無くなりつつあり、アーティストが「良い曲できた」とシングルや2~3曲をサブスクなどに発表する機会がめちゃくちゃ増えました。もちろん10曲ぐらいの流れで聞けば作品としての良さも深まったりしますが、アルバムが段々と減ってしまい、ベストアルバムとか言えなくなるのかとふと思い至りました。

最後に、2019年発売では無いのですが、今年最も聞いたアルバムについて書きます。

別枠.中村佳穂『AINOU』

このアルバムは僕の中で事件でした。なんだこの人は。

2019年の1月頃にちゃんと聞きました。その一昨年くらい前に大学時代仲の良かった先輩から「凄い人いるよー」て教えてもらって一度聞いていたのですが、その時は、そこまでハマりませんでした。

しかし『AINOU』を聞いてぶっ飛びました。J-POPでなんだこの低音は、この歌/歌詞はなんだ、ヤバすぎる。という感じで中村佳穂さんにめちゃくちゃハマりました。早速、ライブのチケットを探して見に行ったのですが、ほんと久しぶりにライブを見て泣きました。ライブで泣いたのは、2010年くらいにクラムボンを見たとき以来ぐらいです。ほんと凄すぎてちょっと圧倒されました。『AINOU』全曲大好きですが、「AINOU」が一番好きです。2019年、一番聞いたし一番ライブにも行きました。

ブラックテイストを持ちながら、日本詞で貫きつつポップかつ佳穂ちゃんらしいものに昇華している。しかも言葉の一つ一つにいろんな引っ掛かりがあり、何度聞いてもこんな音/歌が鳴ってたんだっていう驚きと喜びがあります。もう最高という語彙しか持ち合わせてないのですが、ほんと同時代に生まれて良かったとしか言えません。ジャンルは違えど、矢野顕子さんや上原ひろみさんのようなアーティストになって欲しいと勝手に思っています。


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