溶けてゆく

今日の 昼下がり 久しぶりに愛犬を連れて 山を登る。 愛犬たちも慣れた山である。
自由に 久しぶりに 自然を堪能している姿が微笑ましい。近頃は 体の調子も年齢と共に衰えていくことを実感する 事が多くなった 。

犬たちはそんな私を 時折 振り返り 気をかけながら 遊んでいるようだ。 いろいろ 変わった 樹木を 見つけたり 毎年同じ 場所 に また しっかり芽吹いている 草花を見ては 逞しい と思ってみたり そして 何も考えずに 歩く 私であった 。本当に 無である。

こんな気持ちになったのは 初めてなのかもしれない。

帰り道には ゆっくりと 木漏れ日を 浴びながら 子供の頃 歌った 童謡 などを 口ずさんで居る。

 亡き母が 昔私が子供の頃 よく歌っていた 「通りゃんせ通りゃんせ 」「 海」とか うる覚えているところを歌いながら何も考えずに 山を下っていく。 帰宅した時は 少々 疲れたのか 夕食にはまだ早いので 横になった 。

その時である。

何も考えず 横たわり 目をつぶっていると 自分の肉体が 氷が溶けていくように 透明人間になっていく様な そんな感覚に襲われる。

それがまた何とも心地よく 生と死の狭間を 浮遊しているかのような 不思議な気持ちである。
眠っているわけではない。
呼吸はできているようだ。 生きてても死んでてもどうでもいい。 この心地よい 体が溶けていくようだ 透明になっていくような この感覚をこのまま 味わっていたい と思いながら しばらく横になっていた。

不思議な感覚だ。 瞑想をした時でも こんな感覚になったことは なかった。 体が重いのか 軽いのか ここに今あるのか それすら 不思議に思うような 感覚であった。

周りも静かで 多分 犬たちも 体を休めているのであろうことは 想像できた。

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