若きサムライ、こうた君
僕にとっての2店舗目「豚と創作料理の店 こぼうず」。2016年のオープン以来、料理を中心に店を取り仕切る店長の渡邊厚太、通称「こうたくん」。北千住生まれの29才で、既婚(嫁さん美人)。もうすぐ2才になる息子のパパ。趣味はゲーム、特技はギター。学生時代はなかなかの水泳選手だったらしいが、現在体重は推定80kg。それもそのはず、彼は美味しいものが大好きだ。
彼との出会いは約5年前。とある求職サイトに自分の個人情報を登録していた。「今は在職中だが、次のステップのため転職を考えている。」「もっと自分の力を試したい。」そんなことを記載していた彼に興味を持ち連絡取った。
その頃僕はちょうど2店舗目(今のこぼうず)の物件を見つけ、好条件も重なり、契約の方向で話を進めていた。今まで数人のアルバイトさんと自分1人でやって来た僕が、初めて社員を採用しようとしていた頃だ。
「これから新しい店をやるんだけどメニューはまだ決まっていない。自分で全部考えてみないか?大変だけどやりがいはあるぞ。」この誘いに彼は乗った。
そもそも僕が「こぼうず」でやりたかったことは、「ぼうず」の料理や雰囲気に合わない利用シーンの受け皿を作ること。(大人数での利用や靴を脱ぐのが嫌など)
しかも店舗間が近くなら僕の目が届き易いし、人や食材なども共有できる。
また、ご来店がどちらかの店に偏った時に、「すぐ近くの姉妹店ならお席対応できます。料理内容は違いますが、美味しさは保証します!」ということも可能になる。(ちなみにぼうずは着席時最大20名。こぼうずは着席時最大28名。)
僕はその大事な「新店舗」の料理内容全てを、彼の腕と可能性に託した。
一番最初に彼が頑張って大きな結果を出した事といえば、やはりランチメニューの開発だろう。
元々ランチに対する僕のコンセプトの1つに「人はその店のおすすめメニューを食べる。だったらランチメニューはおすすめ1品だけで良い。」という考えがある。
そこで彼へ課した任務は、「ウチの店でしか食べられない自信のランチメニューを1品作ってほしい。ただしピーク時でも提供時間は10分以内」だった。
当時いた他のスタッフの中には、取り組む前からすぐあーじゃこうじゃ言うヤツもいたが、こうたは日々の営業をしながら「何が出来るか」の試行錯誤を続けた。
もちろん最初はうまくいかない事だらけだった。お待たせして迷惑をかけたお客さんにはみんなで謝った。時に投げ出しそうになる気持ちをこらえ、こうたは頑張り続けた。
すると、やる前には思いつかなかったアイデアや工夫が徐々に生まれ、今のトンテキランチの形ができていった。ランチを始めてから約2ヶ月後の事だった。
トンテキソースの試作の際も、当時は一般的に「トンテキ=ガーリックソース」のイメージが強かったが、「ニンニクは不使用で、ご飯にもお酒のつまみにも合うオリジナルソース」と言う僕のリクエストにも、根気強く試作を繰り返した。
(ちなみに完成品は、デミグラスソースとウスターソース、そして味噌などをベースにした和洋どっちのテイストも入った絶妙なオリジナルソースです。)
現在、ほぼ完成形と自負しているトンテキだが、つい最近も肉の火入れ方法や味・作業手順を微調整するなど、改良改善のアンテナは常に持っている。(コンビニなどによくある「さらに美味しくなりました」的なやつです。)
ちなみに、昔あーじゃこうじゃ言っていたヤツは、気が付けば店からいなくなっていた。
強いて言うならば、こうたは自己アピールが苦手だ。しかも「感情を乗せてチャーミングに」となるとなおさら。
彼がどういう思いで何を考えているのかを僕はある程度理解できるが、お客さんはそうはいかない。自分が思っている事は言葉や態度で表現しないと大抵の場合は伝わらない。
ほとんどの料理のレシピ情報がネットで簡単に手に入り、食品メーカーさんの既製品もどんどん美味しくなっている昨今、「料理が美味しい」という事だけでお客さんに支持され続ける事は難しい時代になって来た。
自分が作った料理にいろんなこだわりがあったとしても、それをアピールせずに「わかってくれる人だけわかってくれれば・・・」ではもったいないのだ。
通常料理は事前に仕込みをし、調理、そして盛り付けを経て1つのお皿の中で完成する。
それをお客さんに届けて終わりではなく、その作業の過程での自分の思いなどをもっと気さくにお客さんに伝えていって良いと思う。「秋なのでソースに栗が入ってます」とか「3名さまなので6等分にしてあります」とか。
確かにわかる人にはわかることかもしれないが、大抵の人はそう言われたら親切だなと感じるだろうし、少なくとも嫌な気持ちになる人はいないだろう。
こういう「コミュニケーションの卵」のようなものをお客さんのリアクションを見ながら少しずつ積み重ね、注文されたモノを美味しく調理・提供するだけの人から、「今日はこうたくんのおまかせで!」くらい言ってもらえるような関係性を1人でも多くの人と築き、どんどん「こうたくんファン」を増やしていってほしい。
少し補足をすると、現在こうたは既にその方向に動き出しています。
皆様におかれましてはこのnoteをきっかけに、少しだけ彼に興味を持って頂けると、僕は仲間としてとても嬉しく思います。
豚と創作料理の店 こぼうず 店長「渡邊 厚太」を、今後ともよろしくお願い致します。
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次回は「いぶし銀のルーキー、相澤さん」
最後までありがとうございました!