大公開・4Dメガネの音声作品の制作スケジュール

 今まで特にお伝えしておりませんでしたが、おかげさまで4Dメガネは専業として活動させていただいております。
 これもひとえに、応援してくださるファンの皆様方のお力によるものです。
 この場を借りて深くお礼申し上げます。
 いつも応援ありがとうございます。

 さて、僕の運営する「防鯖潤滑剤/インゴヒゴ」は、月にそれぞれ一本ずつの販売を目標としています。
(つまり一月に計二本)

 なぜかというと、各サークルで月一販売を続けることによって、“防鯖・インゴという音声サークルがあるよ”というアピールをし続けたいからです。
 作品が数えきれないほど多くなった音声作品業界で、僕のサークルを忘れられたくないからですね。
 忘れられるのが怖いのです……。

 そんなモチベーションで作品作りをしているのですが、たまに、
「いつもどういうスケジュールで作ってるんですか?」
 と聞かれることがありました。

 サークルの皆様の何かの参考になればと思い、一作品ができあがるまで、僕がどのようなスケジュールを過ごしているか、文章にしてみることにしました。

 ちなみに、本記事は、夏コミで僕のサークルが発行する同人誌、「音声作品のつくりかた」の告知も兼ねています。
 本稿のような制作についてのコラムを、私を含めた五名のサークルの方々にご執筆いただいております。

 内容についてはXのこのツリーをご参照ください。
 よろしければぜひ。きっと参考になる!

* * *

 まず、新作の企画をつらつらと考えます。
 これが1日~∞日くらい。
(基本的に新規企画案はずっと考えて、思いつくたびにメモしているので、こういう表現になります)

 企画案、世界観設定を具体的に考え、このタイミングでイラストの指定を制作します。
 そしてイラストレーターさんに依頼します。

(昔は台本まで作りあげてからイラスト指定を作っていましたが……
 今はパッケージのロゴデザインまで依頼する都合上、先にイラスト依頼をしないとスケジュール的に間に合わなくなるので、台本より先にイラスト指定を作っています)

 これが半日くらい。
 ただ、一度に二作品分のイラスト指定を制作するので、諸々含めて1日くらいかかります。

 イラストレーターさんの納期は、もちろん人によってまちまちです。
 2か月~半年ほどでしょうか。
 できるだけ、コミケ近辺の納期を避けるとスムーズです。

 イラストレーターの皆様、お忙しいところ、いつも素敵なイラストをありがとうございます。

* * *

 続いて、実際に台本化する際のプロットを作っていきます。

 企画案では“ざっくりとした内容”しか考えないので、ここで、キャラ設定、世界観、そしてプレイ内容をしっかり詰めていきます。

(ただ、僕の場合は“誰かに見せること”を前提としていないので、プロットの書き方はめちゃくちゃ雑です)

 これが半日~1日くらい。

* * *

 ここまで来れば、いよいよ台本執筆に移ることができます。
 プロットの内容通りに台詞に起こしつつ……
 やっぱりこのプレイよりあっちのほうがいいな、とか、
 イラストのラフでもらった太もも、めっちゃよかったから太もも使ったなんかが欲しいな、とか。
 執筆時のノリでアドリブを交えつつ、なんとかかんとか書いていきます。

 台本作業が大体4日くらい。

 具体的な内訳は、2日で初稿を書き終え、残り2日で推敲・台本データ制作・声優さんに依頼、までこなす感じです。
 僕のサークルだと、一作の台本のテキストサイズは、大体60kb強(=30000字くらい)です。
 日割りすると15kbずつ書いていることになるでしょうか。

* * *

 台本が完成するころには、イラストレーターさんからジャケットイラストを納品していただいていることが多いです。
 台本完成=作品内容の全てが決まるタイミングでもあるので……
 このタイミングでパッケージ画像&紹介画像をお願いするために、依頼用のテキストを作ってデザイナーさんにお送りします。

(企画案のときは、ぼんやりと“事務的ナースさん”とか“事務的メイドさん”とか仮のタイトルをつけているので、正式なタイトルが決まるのは、実はこのタイミングです)

 これは半日かかりません。大体1/3日くらいでしょうか?

* * *

 声優さんにご依頼後、スケジュールをすり合わせてスタジオを予約し、収録日を待ちます。
 この間はひたすら待ち時間となるので、別の作品の制作作業をしています。

 いざ声優さんのスタジオ収録日。
 これが1日かかります。

 いつも1日で納めていただけるようにお仕事してくださり、声優さん、スタジオのエンジニアさん、本当にありがとうございます。

 収録した音声素材は、翌日~2日後くらいには送っていただけますが……
 同時に素材の整音もお願いするので、ここからまた一か月くらい待ちます。

(ここまでで大体わかるかと思いますが、一作品が完成するのに、企画開始時から結構な時間がかかります。物によっては七、八か月かかったりとか普通にある)

* * *

 一か月後、整音音声が来たら、実際の“音声作品”にするための編集を行います。

 あらかじめしてもらっている整音によって、だいぶ波形が整った状態にはなっていますが、僕のほうで仕上げとしてもう一巡、全体を聞き直します。
 整音時に取り切れなかったノイズや、気になる箇所をAdobe Auditionのスポット修復ブラシでちまちまと直していきます。

 音声素材の再整音が終了すると、ようやくSEを付け始めます。

 SEを付け終わると、全トラック、まずMP3に書き出しをします。
 改めて全編をチェックし……
 SEの音量が適切かどうか、ここまででも取り切れていないノイズがないかどうか、そもそも飛ばされている台詞はないか、等々……
 一通り確認します。

 これでようやく完成です。
 そのあと、諸々の画像素材を準備して、販売サイトに登録します。

(ただ、“諸々の素材”とひとくちに表現しましたが、作品の紹介文を書くのも地味に時間がかかります。いまだに苦手な部分だったりする……)

 以上の音声編集の工程が、大体4~5日くらい。
 内訳的に、再整音が2~3日、SE付けが1日、最終チェックから登録までが1日です。

 あとは予告と販売開始を待つだけです。
 お疲れ様でした。

* * *

 まとめると――
 一作品作るのに、大体、実作業時間を11~12日前後かけています。

(前述のとおり、音声収録日までの待ち時間、イラストの待ち時間などの前後があるので、“一作品に取り掛かっている”期間は割と飛び飛びなのですが……
 手を動かしている時間を合計すると11~12日前後ですね)

 それが×二本分なので、月に22~24日間は音声作品制作をしていることになります。

 一か月を30日と考えると、大体は月に7日くらい残るわけです。

 本当にお疲れ様でした。
 これが本当に、専業の最高に良いところでして。
 この余った日数分、好きなだけ――

 ――同人ゲーム制作ができます!!!

 というわけで、残りの7日間で……
 次に出すゲームの企画・シナリオ執筆・資料制作・声優さんの収録立ち合い、各所への確認事項確認事項確認事項、デバッグデバッグデバッグデバッグデバッグ……
 という、無限に積み重なっていく作業をこなします。

 とはいえ正確には、こんな綺麗に、「音声作品制作終了→ゲーム制作」、と移行しているわけではなく……
 音声作品作業中に優先しなければならないゲーム作業が生えてきたり、その逆も然りで……
 集中して一作品に取り掛かり続けられることは稀です。
 実際の作業スケジュールはパズルのように入り組んでいます。

 そして、ゲームの完成目処が立ってくると、すぐに次の作品の制作を始めてしまうので、この作業には終わりがありません。

 そう。
 終わりは――ありません!!!!!!

* * *

 ……というのが、僕の一か月の過ごし方です。

 こうやって改めて文章にすると、休みなく365日作業しているように見えますが……
 実際には、作業を早めに切り上げて映画館に映画を観に行ったり、友達に誘われて夜から飲みに行ったり……と、割と普通に遊んでいます。

 また、音声編集中は無理ですが、単純な台本制作&依頼テキスト制作作業であれば、PCを持ち込んでカフェで作業できるので……
“引きこもりすぎて気が詰まってきたな”と感じてきたら、出かけて作業することもままあります。

 ここ五年くらいこういう生活を続けていますが、今のところメンタルが病むようなことはなかったです。

* * *

 以上、僕の作業内容とスケジュールについてでした。
 読み物としてお楽しみいただけましたら幸いです。

 今後とも作品作りを頑張っていきますので、防鯖潤滑剤/インゴヒゴ、そしてゲームサークルであるボウサバGをよろしくお願いいたします!

 そして同人誌もよろしく!!

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