人生いたるところに青山在り

　住んでいるマンションは全部で4棟ある。結構な所帯が住んでいる。メンテナンスは充実しており、管理組合もしっかりしている。先日は段差があるところを工事して、バリアフリーにしたし、今、これを書いている僕のマンションの部屋の真下では、伸びすぎたアベリアの樹木の選定作業を行っている。
　かといって管理費が高い訳でもない。住んでいる人が多いので、うまく賄っているのだろう。既にローンは払い終えた。安い管理費だけなので、随分助かっている。
　既にこのマンションも建ってから30年近く経とうとしている。それが未だに資産価値があまり下がっていないのは、行き届いた管理にあるといえよう。もっとも立地が良く、バス停は近くにあり、文教地区であり、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、TSUTAYA等も近くにあり充実しているせいであるかもしれない。加えて小倉の中心地へも歩いて行くことができる。30分以上はかかるが、運動すると思えば苦にならない。
　おかげで郵便受けには「マンションを売って下さい」という不動産のチラシがいつもいっぱいだ。人気の物件なのであろう。いったい幾らになるのかは知らないが。それで実際に引っ越した人も多く、今では知らない人の方が多い。新築から住み始めた者もだいぶ減った。
　僕はこのマンションで一生を終えるつもりでいる。実家は広島で家もあるが、流石に筑50年では、後を引き継ぐつもりはない。高齢の母親が亡くなれば処分するつもりだ。それから後のことは子供たちで決めればいい。
　人生いたるところに青山在り。気が付けば、何の縁もない小倉の地で人生を終えようとしている。