つむじ

　薬用発毛促進剤。つまりは養毛剤。頭の毛の薄くなったところへぶっかけて、モミモミしたり叩いたりするやつである。
　これを母から貰い、最近は朝夕つけている。洗面台をリフォームして3面鏡にしたので、己の後頭部が見えるようになったからである。
　薄くなっている。ギリのところが。ギリって方言かな。要するにつむじのことである。肌がもともと白く、つむじのところは、だいたい白く見えやすい箇所ではあるかもしれない。ましてや本人は確認できていないが、どうやら僕はつむじが２つあるらしい。それだけで、髪の毛が薄く見えやすいのも確かだ。髪全体のボリュームが減って、それがあからさまにになったこともあるのだろう。これは他人事ではなくなった。
　だがまだオールバックにすることにより、隠れているようには見える。そこまで気にするほどではないのかもしれない。
　帽子をいつも被るからであろうか。それで蒸せて毛の発育がうまくいかなかったのだろうか。否、帽子を被ることによって紫外線から守っているから、それは正解のはずだ。家の中まで帽子を被っている訳ではない。
　いよいよアデランスとかアートネイチャーのお世話にならねばならないのか。それともウイッグか。
　いやいやカネが高いから、そんなことにカネを使うくらいならば、ツルツルにしてしまおうか。でも坊主はともかく、ツルツルは毛が伸びておかしくなるから、日頃の世話が大変だな。
　そんなことを考える暇があるというのも隠居生活を満喫しているからであろうか。どうせ年取れば禿げるか白髪だ。既に白髪多いし、いまさらという感も無きにしも非ずである。
　カネはなるだけ新NISAと旅行にあてるつもりだから、髪に毛にまで出すカネはねえ。
　そういえば、育毛剤をつけてから、何となく加齢臭がするような気がしてきた。匂い自体は、柑橘類のいい匂いであるはずなのだが、己の体臭と化学反応を起こして加齢臭っぽくなっているのかもわからない。
　折角もらったのだから使っているが、逆に年寄り臭く思われたら嫌なので、使用を考えようか。思案のところである。