デッキ構築脳を鍛える!「テンプレ構築を使って入賞できる人、出来ない人」
プロローグ
どうもデッキ構築ってものがよく分からない、あるいは最近よく分からなくなってしまった…。
持っているデッキを並べてレシピを見ても、何だかパッとしないし、大会で勝てそうな気もしない…。
選んでいるデッキタイプが悪いのだろうか…もうちょっと「有名なカード」を採用する時期なのだろうか…などと考えてみる。
そんな時にふとインターネットを眺めてみると
「テンプレ構築で入賞出来る!」
「(様々なデッキレシピと比較して)むしろテンプレが良いよ?」
などと出てくる。
選んでいるデッキタイプが悪いのかな?もっと「良いカード」を採用するべきなのかな?
などと思っていたところで、「テンプレが良いよ?」と言われると「えっ!?」となってしまうでしょう。
さて、ここでちょっと立ち止まって考えてみましょう。
世の中の流行りのノウハウというのは共通して「意外性がある」というのが、1つのポイントになっています。
モテるための恋愛ノウハウ、お金儲けのための副業ノウハウ、そしてカードゲームのためのデッキ構築ノウハウなども当然これに含まれます。
このことは、世の中の人は「自分の人生において不満に思っている『何か』を改善したい」と思った時に
「一発逆転の魔法のようなノウハウ」
を求めがちである、とも言えるでしょう。
今までの借金を一気に返済できる、「桃鉄」における「徳政令カード」のようなノウハウです。
そして「テンプレで入賞出来るよ?」「むしろテンプレのが良いよ」というのはこの意外性を持ったノウハウと言えるでしょう。
なぜなら一昔前まで、「パクり」の代名詞だったテンプレ構築でCS入賞出来るっていうんですから。
さらに「すぐに結果のあるレシピが探せて効率がいい」となると、意外性は足し算どころか掛け算になっていきます。
これが一概に間違っているとは言いません。
昔、構築に膨大な時間を費やしてきた身からすると、本当に悔しい?ことなのですが、テンプレ構築で入賞出来る人というのはやはりいます。
一方で、テンプレ構築では入賞出来ない人もまた存在します。
意外性に溢れたノウハウでも「上手くいった人」と「上手く行かなかった人」に別れます。
こうしたノウハウが広められるとき、取り上げられるのはえてして「上手くいった人」ばかりです。
一方で「上手く行かなかった人」達の話ばかり聞くと「あのノウハウは偽物だ!インチキだ!」となってしまって、これまた極論に過ぎることになってしまいます。
そのノウハウを正しく評価するためにも、何故上手くいく、いかないが別れてしまうのかを分析していくことが大切です。
「テンプレ構築で入賞出来なかった」という方や、「たくさんテンプレを作ったけど、それらのほとんどはすぐ崩した…」という方に是非読んで頂きたい内容になっています。
また読み物として、デッキに対する理解もさらに深まるような内容にもなっています。
有料デッキ記事のような、急いで読まないと価値が減るといったことは無いので、是非じっくり読んでいただければと思います。
デッキ構築脳を鍛える!「テンプレで入賞できる人、出来ない人」
目次
1 デッキがもつ要素、「コンセプト」「情報」「イメージ」
2 カードには「柔」と「剛」がある!?何故赤単速攻は誰でもそこそこ勝てるのか?
3 コンセプトを自分で調整する?
4 「柔」のカードが、必ずしも悪いわけではない。「デザイナーズカードと汎用カードのバランス」とは実は「柔と剛のバランス」だった?
5 コンセプトを自分で作れない人がテンプレで選んではダメなモノ…ドギラゴンバスターは全然作りやすくない⁉
6「コンセプトを自分で作れない人」は、カードにコンセプトを作ってもらえ!
7 知識量で、「コンセプトを自分で作れる人」に近づく!
8 過度なバリエーション志向を止めよう、テンプレで作るべきデッキはそんなに多くない
9 「囲い込み」されるな!必ず競合先、選択肢を持とう
10 筆者側から見る「note」のメリット
11「テンプレで良いじゃん?」
本編
さて、掲題にあるとおり、今回はテンプレで入賞できる人、出来ない人を掘り下げていきましょう。
まずは結論から言いましょう。
テンプレで入賞できる人、それはズバリ「コンセプトを自分で作ることが出来る人」です。
一体何を言っているのか?
これから詳しく説明させて頂きます。
1 デッキを形作る要素、「コンセプト」「情報」「イメージ」
まず、デッキを形作っている要素というのは大きく「コンセプト」と「情報量」に分けられます。
「コンセプト」とは、様々な概念が入り混じった言葉ではありますが、ここでは「『○○』テーマ」や「『○○』シリーズ」のことだと思っていただいて差し支えありません。
そしてこのコンセプトに、様々な「情報量」が載ってきます。
カード採用枚数のこだわりとか、目を引くメタカードとかもありますが、大会で優勝したレシピとして需要がある、なんかも「情報」です。
コンセプトが定まっていても、この情報量が不足していればなんだかとても弱く見えてしまうものです。
デッキを構成する要素はこのコンセプトと情報量のどちらかに、あるいは両方に作用します。
例えば10種40枚というカード配分はデッキのコンセプトを「明確に見せる」という作用があると同時に、洗練されていて使いやすそうという情報をもたらします。もちろん同じ10種でも、採用しているカードによって人に与える印象は全く異なるものになってきます。
もっとも、情報量があれば良いというわけではありません。
同じ「大会で優勝した」という表現でも、その質はかなり異なったものになることがあります。
地方の非公認大会で優勝したレシピよりも、古くからある大型CSで、控えめながら誰が見ても強さを感じるCS入賞常連者のレシピ方が、より良い印象を見る人に与えます。
メタカードにしてもそうですね。
40枚オール赤単速攻の切札勝舞君よりも、《スパイラルゲート》を採用している「速攻の三国」のほうが情報量を与えられます。
じゃあ思い切って《デーモンハンド》も積んでみるとか、《クリムゾンワイバーン》を入れれば情報量が確保出来て良いのか?と言うと、そうはならないはずです。(アニメ的にはしっかり「いい見せ場」がありました)
基本的にはコンセプトがしっかり決まっていて、質の良い情報量に富んでいるデッキが「良いデッキ」と言えるでしょう。
そして、デッキには「イメージ」があることも忘れてはいけません。
デッキは単体で、またはカードの組み合わせによって、特定の「イメージ」を持ちます。
例えば、光文明主体のデッキに大型ブロッカーを合わせれば「天門デッキ」のような、どこか「守備的」なイメージが生まれます。
5色デッキにしてしまうと、どこかまとまりのない雰囲気を醸し出します。
あるいは「ネタデッキっぽい」見え方をしてしまうカードや組み合わせというものもあります。
これらのイメージは、上手く利用することも出来ますが、たいていデッキビルディングの足を引っ張るものになる可能性が高いです。
もしそのイメージがマイナスのイメージであった場合、これを払拭するには、それを上回る何らかのプラスの要素が必要となるでしょう。
それは時に構築力であり、「個性」と呼ばれるものかもしれません。
(最も有効な手段はそのような強烈な負のイメージを持ったデッキを避けることですが。)
デッキは 「コンセプト」、「情報量」、「イメージ」で出来ている!
コンセプト→デッキが形作るテーマやシリーズのこと。
情報量→カードの採用枚数やメタカードなど。入賞歴がある、などもこれに含まれる。
イメージ→○○的、○○ネタみたいなどデッキや構築力が与える特定の、強烈な印象のこと。払拭するにはこれを上回る要素が必要。
2 カードには「柔」と「剛」がある!?何故赤単(轟轟轟ブランド)は誰でもそこそこ勝てるのか?
ではテンプレには「コンセプトをしっかり決めてくれて、質の良い情報量に富んでいる」、つまり「良いデッキ」は無いのでしょうか?
答えは、「あるけれど、それは非常に見つけづらい」です。
ここではコンセプトのお話をもう少し詳しくさせてもらいます。
デッキのコンセプトというのは、主に「パターン」、デッキを作るコンボが大きく作用してきます。
しかしそれだけではありません。
同じパターン、コンボで作られていても、カードによって出力される、つまり実際のデッキが作り出すコンセプトは違ってきます。
テキストが多く、効果を発動する際に条件が必要な固いカードは、デッキのコンセプトを明確に見せてくれるし、パターン、コンボでのコンセプトを再現しやすくしてくれます。
逆にどんなデッキにも入りやすそうな、汎用性の高い柔らかいカードは、コンセプトが再現されにくいのです。
これを「柔」のカード、「剛」のカードと呼ぶことにしましょう。
そして「剛」のカードというのは、使う人の性格からの影響を受けづらく、デッキそのもののカテゴリを再現しようとします。
例えば赤単ブランドデッキは、低コストを中心とした攻めのコンセプトであることに加え、攻撃色の火文明で、効果を発動する際に制限があるカードである《轟轟轟ブランド》をフィニッシャーとして用いているので、ある程度誰でもサマになりやすいのです。
逆に、縛りの緩いカードのシールドトリガー、あるいは《解体人形ジェニー》のような、汎用性の高い妨害札と呼ばれるカードなどは、使う人の性格にもろに影響を受けます。
これが「柔」のカードです。
冒頭の「カテゴリを自分で作れる人」、とはCS上位常連プレイヤー(以下強者)のような理想的な思考や性格を持っている人を指します。
この人たちは、「柔」のカードをそのまま使ってもサマになります。
(これは長年の経験だけでは決まりません。経験が浅くても、豊富であっても、思考や性格によってコンセプトがしっかり作れる人、作れない人が出てきます。)
ところが、そのような思考を持っていない人が「柔」のカードを使うと、たちまちコンセプトが崩壊し、なんだか全体的に「ぐちゃぐちゃ」っとした、まとまってない構築になってしまうのです。
普段私達プレイヤーは、「柔のカード」では強くなれる人が限定されてること、そもそも「柔のカード」そのものをなかなか意識させてもらえません。
何故ならほとんど全てのデッキは「コンセプトを自分で作れる人」の代表である強者が使うことによって宣伝されているからです。
強者のレシピを見ると、《解体人形ジェニー》の採用枚数なんかでもとても論理的で、他の強カードと同じコンセプトで使いこなしています。
「コンセプトを自分で作れる人」にかかれば、ジェニーのようなカードですら「あれ?ちょっといいかも」なんて見せ方も出来てしまうのです。
ところがこれを、「コンセプトを自分で作れる」思考を持っていない、いわば普通の人が普通に作ると、弱そうな、ちょっとまとまりのない構築になってしまうというわけなのです。
近頃のいわゆる「デザイナーズカード」は、たとえ汎用性の高い、つまり「柔」のカードであっても、コンセプトをしっかり決めてくれるようパターンとルールに徹底的にこだわっています。
「デザイナーズカード」を使うべきプレイヤーは、何もCS入賞常連者のような人たちばかりではありません。
むしろ性格的にはあくまで普通の人である場合が多いのです。
そういう人が使っても「コンセプトがスッキリとまとまっている!」と分かるから、ある程度プレイングがついていかなくても勝てるわけです。
ここらへんが、デザイナーズ性の低いカードと高いカードによる、使っているデッキを強く見せるための「難易度の違い」に繋がってきているのです。
念の為言っておきたいのですが、私は「だからデザイナーズデッキを作るべきだ」と言いたいわけではありません。
ただ、カードにはこのような「柔」と「剛」があり、また自分でコンセプトを作れる人とそうではない人がいる、というのは知っておいたほうが良いでしょう。
それを知ることで、真の意味でコンセプトをしっかりと決めてくれるカードはどんなものなのか?も見えてきます。
それが結果的に無駄なお金を使わないということにも繋がるのです。
このことに気付かず、「柔のカード」ばかりを買って持っているデッキ全てを構築していったら…
「自分でコンセプトを作れない人」であった場合、いつまでもしっくりこない構築を続けることになり、「コンセプトを大量に作り続ける」というある意味矛盾した、悪循環のようになってしまうかもしれません。
カードには「柔のカード」と「剛のカード」がある!
「剛のカード」→使う人の性格からの影響を受けづらく、デッキそのもののコンセプトを再現しようとする。
「柔のカード」→使う人の思考をより反映し、使う人の性格から影響を受けやすい。
いわゆる「デザイナーズカード」は「柔のカード」であっても、コンセプトをしっかりと決めるためにパターンやルールにこだわっているのが強み。
3 コンセプトを自分で調整する?
「コンセプトを自分で作ることが出来る人」、強者のような理想的な思考や性格を持っている人以外にも、テンプレで強くなれる人はいます。
それが 「コンセプトを自分で調節してしまう人」です。
要するに、そのカードを自分のデッキに合わせた時に、ハッキリと思考が言えるような、本当の意味での適正枚数を自分で見つけ出す事のできる人です。
例えば、本来制作者側の想定では《解体人形ジェニー》を3枚が適正枚数として扱うべきなのだけれど、4枚の方がコンセプト、思考をハッキリと言えるのでそちらを選ぶ、ということが出来る人です。
テンプレでこれが出来る人、というのはコンセプトにこだわったデザイナーズカードも買っていて、適正コストの機微を敏感に感じ取れている人に多いですね。
テンプレを使っている人の中には、「○○は4枚確定」みたいな人がいると思います。
それは本当に必要なカードだからというときもありますが、その方が思考やコンセプトがしっかりと分かるから、という意味合いのときもあります。
またこのコンセプトや思考はトレンド、時代によって正解が異なります。
数年前などはデッキパワーが低く、上位デッキの種類も限られていたので、枠を作ることがトレンドでした。
かなりシンプルに作られていたので「テンプレはメタカードの為に枠を空ける」という風潮がありました。
今は逆の現象が起こっているということですね。
これは別にその時代の風潮が間違っていたわけではなく、ゲームスピードやメタの風向きが変わったということなのです。
どちらにしても「テンプレを普通に使って強い」ということは、どんな時代でも難しいことなのです。
4「柔」のカードが必ずしも悪いわけではない。「デザイナーズカードと汎用カードのバランス」とは実は「柔と剛のバランス」?
「人間観察」なるものが悪趣味なのは百も承知で、ショップに行った時に「カジュアルプレイヤー」のデッキをよく観察してみてください。
そうすると、多くの方のデッキのコンセプトがどうにも「ごちゃごちゃっ」としてしまっていることに気付くと思います。
そうした人は皆、使いやすさを優先して、ことごとく「柔」のカードを選んでしまっていることが多いはずです。
コンセプトもマナカーブも、なんだかごちゃごちゃっとしている。
入れなくていいメタカードもたくさん入れてしまっている。
これではどれだけそれが回し慣れているデッキであっても、「デッキがキレイ」とは言われません。
(「キレイなデッキ」というのは、一般的に思われているよりずっと難しいものなのです)
ここまで読むと、「柔」のカードは使うべきじゃないんだな、と思われるかもしれません。
ただ、一概に「柔」のカードが悪いというわけではないのです。
例えば《フェアリーライフ》を代表とするマナ加速カードがあります。
「マナを1マナ増やす」というシンプルなテキストながら、次の動きを推奨してくれる「剛」寄りのカードです。フェアリーライフはその中でも最も柔に近いタイプです。
マナブーストを基盤にしてしまうと、よほどフィニッシャーに強い「剛」の性質がないと、基盤に負けてフィニッシャーのカテゴリをごちゃごちゃっとさせてしまいます。
基盤がフィニッシャーに響いてしまうのですね。(例:ビッグマナ)
それだけでなく、基盤にした剛のカードもフィニッシャーの剛の性質と喧嘩をして、テンポの悪い構築を生んでしまうことがあります。
何より「剛」のカードで構築を固めた場合、どこか余裕がないように見えてしまうものです。
フィニッシャーは「剛」のカードでしっかりとしたコンセプトを決め、基盤は「剛」寄りの「柔」のカードで流れを意識する。
そんなバランスを心がけると良いでしょう。
少し前に、「強いカードは4(枚)」という構築指南が流行しました。
「弱いカードは0(枚)」とか、ちょっと言い方を変えた指南も出てきましたね。
適度にメタカードも取り入れつつ、そういった強カードと呼ばれるものをメインにしてくことで、カジュアルっぽいと言われがちなプレイヤーの構築をガチっぽくしていくことが出来る、というものです。
これも結局は「CS予選で負けがちなプレイヤー」がラクさを優先して「柔のカード」だったり「コンセプトが全然決まってないデッキ」をメインに選びがちであることから、それを改善させようというところに本質があった、そんな方法論ではなかったかと思っています。
コンセプトがしっかりと決まっているデッキ、というのは使い心地的にはラクではないことが多いのです(最近はそうではないデッキも増えてますが)。
調整にもやたら気を使うものが多かったり。
サバキZなんてまさにそんな感じですよね。
ただその分だけ、そういうものを今まで対戦で使ってこなかった人ほど効果の出やすい方法でもあったのです。
一時期この指南(強いカードは4枚)をそのまま真似する構築が量産されましたが、結局この本質からは外れ、ごちゃごちゃっとした弱そうな「柔のカード」を流行らせるだけのものでした。
たとえ殿堂必至な強カードに分類されるものであっても、同時に「柔のカード」的な要素を持ってしまっていることも多々あります。
一方で、カジュアル層向けカードであってもしっかりとコンセプトを再現してくれるものであれば、何も強カードばかりをメインに使う必要はありません。
特にこの指南と同時にセットで推された《フェアリーギフト》や《スクランブルチェンジ》は、かなり使用者の性格に依存する「柔のカード」です。
もちろん選ぶデッキによりますが、中には「ただのトップ腐り札」のようになってしまうデッキさえあります。
特にCSプレイヤーにはマナカーブに悩みを抱える人が多く、マナカーブのみ「コンセプトを自分で作ることが出来ない人」になっている人もいます。
こうした方が、マナコスト軽減カードに固執するのはオススメ出来ないのです。
「強カード」にも「柔のカード」的な要素を持つものがあることに注意する必要がある
5 「コンセプトを自分で作れない人」がテンプレで選んではダメなモノ…バスターは全然作りやすくない!?
「コンセプトを自分で決めれる人」、デッキにジャストフィットさせたカードを入れるだけでなんとなくサマになってしまう人以外の人、
すなわち「コンセプトを自分で決めれない人」がアーキタイプで選んではいけないものがあります。
その代表例が「ドギラゴンバスター系」です。
《ドギラゴンバスター》は、一見多色で色が決まっており、効果も制限のあるように見えるものの、実は「デッキスペースを圧縮」させ、自由に使えるスペースをたくさん取るというコンセプトで作られているものになります。
あまりデザイナーズ的なカードは使いたくない、でもこれは自由度高そうだし「ちゃんと構築して見える」とあって、こういった「壊れカード」の需要はいつの時代も一定程度あります。(遊戯王の征竜なども)
そして高度なプレイングも要求されないとあって、多くのプレイヤーに引っ張りだこのカードです。
ところがこれ、強カードの形をした「柔のカード」ですから、「コンセプトを自分で作れない人」が使うと、「一応バスターデッキなんだけど、どこかサマになっていない」なんてことになりがち。
残りのスペースに一貫性がなければ、辛うじて醸し出されていた「ちゃんとしたデッキ」イメージも吹き飛んでしまいます。
環境中期などには、バスターを使用した、「ラクしながらちゃんと勝てる」赤黒バスターやデアリバスターも出てきましたが、やはりまだまだ出始めにそうしたテンプレを入手するのは難しいと言えるでしょう。
6「コンセプトを自分で作れない人」は、カードにコンセプトを作ってもらえ!
ここからは、「コンセプトを自分で作れない人」がデッキチューナーになる為のヒントを書いていこうと思います。
まず推奨したいのが「基盤をマナブーストにしてみる」ことです。
4の項で少し述べましたが、プレイヤーには特に基盤に悩みを抱える人が多く、基盤のみ「コンセプトを自分で作ることが出来ない人」になっている人がいます。
そうした人が、ただただ強い動きをしたいからと、《エナジーライト》でドロー重視の構築にしてしまうと、フィニッシャーに必要のないドローまでしてしまったり、ただただ、大富豪のようになってしまったり、形はそれぞれですが、悲惨なことになってしまいます。
ドローカードは、基盤を疎かにしがち
「基盤なんてテンプレと同じで良いでしょ?」と言う人、結構いると思うんです。
そしてそれは必ずしも間違いではありません(実際テンプレの基盤が正義なのもわかっています)。
でも、そういう人は基盤が比較的綺麗な「コンセプトを自分で作れる人」であることが多いのです。
カードの良し悪しは、使う人によって変わってきます。
だから果たしてそれが自分にも適用されるのか?慎重にならなければなりません。
ただただ使いやすいカードを集めただけの基盤を「コンセプトが決まっている」と評する人もいますし、実際にそういった基盤を強者が使っているのを見るとたしかに一見コンセプトがしっかりとしているのです。
強者の思考をストレートに出してくれますから。
ところがそれを「コンセプトを自分で作れない人」が使うと、やはりコンセプトが綺麗に再現されないのです。
ではどんなおすすめ基盤を使えば良いのか?というと、まずはマナブーストカードに挑戦してみてください。
よく計算されたマナブーストカードは、テンポに沿ってコンセプトを形成してくれます。
だから良いマナブーストカードを採用した時、カードがコンセプトを作ってくれる、という感覚がわかると思います。
これがドローソースや除去札だったり、《オニカマス》をメインとするメタカードの場合、どれだけパターンにこだわっていても、どうしても能力的に綺麗なテンポが形成されにくい、あるいは再現されにくいのです。
私が構築に興味を持ち出した高校生の頃は、ハンデス超次元ブームで「まずはドロー」と指南されたものです。
そしてプレイヤーの基盤のバリエーションといえば、ドローの次が除去でした。
昔はカジュアルシーンでマナブースト、それもテンポにそったものを使うなんてあまり見られなかったのですが、超次元カードの「複数枚積める強カードの登場」がより激しいテンポゲームを作り出しました。
マナブーストによってしっかりとしたコンセプトを作れる時代だったのです。
マナブーストはカードのシンプルさが比較的コンセプトの良し悪しに反映されやすく、オチャッピィより青銅の鎧、青銅の鎧よりフェアリーライフのほうが、よりコンセプトをしっかりと作ってくれます。
マナブーストの場合、シンプルになるとより綺麗なコンセプトを再現出来る、より良いカードが使えるようになるというのも大きいですね。
コンセプトを自分で作れない人は、まずはマナブーストを採用してみることをオススメします。
「コンセプトを自分では作れない人」は、まずは基盤をマナブーストにしてみるのがオススメ。
コンセプトがよく計算されたマナブーストはテンポに沿ってコンセプトを形成してくれるので、基盤作りに苦手意識がある人にも向く。
7 知識量で、「コンセプトを自分で作れる人」に近づく!
カード知識量で「コンセプトを自分で作れる人」に近付く、という方法もあります。
もちろんカードのお勉強だけでは、限度はあります(基盤、特に枚数調整まで分かるようになるというのは勉強だけでは難しいでしょう)が、コンボの発見ではガシッとした、デッキコンセプトが決まりやすいコンボを発見することが可能です。
「見栄えの良いコンボ」というと、数枚のカードからなるループが一番始めに思いつきます。
だからカード検索でループばかりを探している人が結構いるんですが、コンボを知るにはズバリ「カードの裏側」も見る必要があります。
具体的には「能力によって何が変わるか」ということですね。
このことはまた別記事で掘り下げていきますので、気になった方はそちらで宜しくお願いします。
8 過度なバリエーション志向を止めよう、テンプレで作るべきデッキはそんなに多くない
「色々なデッキが使いたい!」「色々な構築をしてみたい!」
これは構築大好き人間でなくとも考えることでしょう。
また「あの人っていつもおんなじデッキ使ってるよね」と言われることに対する劣等感のようなものを抱いている人も多いものです。
しかし毎環境大型大会を控えたプレイヤーがそうした思いで大量にデッキを作り、そしてほどなくしてそれらのほとんどを使わなくなってしまうのです。
CSプレイヤーで言うなら、ガチデッキからファンデッキまで全て違う、そこそこのデッキを持って…みたいな過度なバリエーション志向は捨てましょう。
CSプレイヤーでもこれから大会に参加される方でも、まずは「環境ごとに3デッキ」、自分が自信を持って回せるデッキを揃えられること、これを目指してください。
自信を持って回せる、というのは、大会で動画を取られても恥ずかしくない、くらいに考えておけばいいでしょう。
カードゲームの考え方と言いますか、カードゲームの環境がバランスのよい状態でいるためには、速攻デッキ・中速デッキ・コントロールデッキが三すくみのかたちで存在することがベストです。
勿論、時には1強環境になってしまい、他のデッキに魅力を感じない時もあると思いますが、公式側は必ずこのバランスに戻してくるはずです。
話を戻しますが、色々不安になって、あれもこれもと買う必要はありません。
特にコンセプトを生む上で種類が多く重要なパーツとなるデザイナーズカードやコンボカードはそんなに多く持つ必要はありません。
あとのカードは、「メタカード」です。
毎回毎回お気に入りを回せるほど、自信を持てるデッキを持っていない場合、あとは「メタカード」で耐えるわけです。
しかしこの「メタカード」を山ほど持っている人、それ全部使っていますか?
毎環境テンプレを見てはこの「メタカード」を大量買いしてしまう、なんとなく使い勝手が良さそうだし…というのは考えものです。
1枚1枚余裕を持って見れる、また必要ないものはスッパリ見送れる選球眼さえ付いてくれば、テンプレでも本当に自分にとって必要なカードがわかってくるようになります。
例えば「コンセプトが自分で作れない人」であっても、4枚確定の初動札はある程度揃えても構わないでしょう。
それらを「繋ぎ」にして、今度はどこかで勝負を掛けてフィニッシャーを買い足すなどしていけば、あなたはどんどん強者になっていきます。
あとはしっかり選球眼を持って精査していきましょう。
9 「囲い込み」されるな!必ず競合先、選択肢を持とう
前項の話に繋がりますが、例えばあなたがメタカードを買おう、と思ったとします。
500円以上するような「有料記事の最新メタカード」なんかもありますが、「繋ぎ」のメタカードであればTwitterのCS優勝レシピのものでも十分です。
十分なのですが…。
その場合Twitterだけでなく、Vaultの大会結果も見るようにしましょう。
別にVaultでなくても良いのですが、とにかく競合先を持ちましょう。
Twitterにだけふらっと行って、なんとなーくレシピを見る。
これが、良くない。
選球眼はどんどん鈍るし、コンセプトや情報というカードに対する評価基準も出来てきません。
ストレージにどうでもいいカードがどんどん増えていきます。
お金もなくなるし、何よりそういった買い物をしていると、どんどん構築に対しての意欲すら削られ、消耗していきます。
全てのサービスは利益を最大化するために、プレイヤーであるあなたを囲い込もうとします。
YouTubeは「新弾毎に新しいコンボデッキを紹介する」「見たこともないカードでデッキを組む」等々どんどん魅力的なサービスを開発して、あなたに「カードをYouTubeだけで揃える」というライフスタイルを定着させようとします。
でも実はYouTubeの外に魅力的な媒体がたくさんあったりする。
ただ人は「囲い込み」にとても弱いんです。
選択肢があるっていうことは、疲れるから。
そういう人間よりも、手間を惜しまず選択肢を持っている人間の方が最終的には強い。
カードも星のようにサイト、レシピがありますし、その大海原で迷子になれとは言いません。
でも必ず選択肢、競合先を持って、「自分で選ぶ」ということを大切にしましょう。
Twitterやnoteにだけふらっと行って、なんとなーくレシピを漁る。
そんな人と必ず差が開いてくるはずです。
そのサービスは、あなたを中上級者にしようとするものか?それとも、初心者のままにしておきたいものか?といった視点も大事になってきます。
「囲い込み」の中でぬくぬくと養殖され、無駄に太っていってはいけません。
いつだって囲い込みの外には魅力的な選択肢があるのです。
10 筆者側から見る「note」のメリット
筆者側から見ると、「note」というのは大変魅力的なコンテンツです。
何より色んな意味で計算が立つんですよね。
やっぱりどこの誰かが作った信頼出来ないデッキよりは、信頼出来る人のデッキのほうが多くの方に見てもらいやすい。
「フェアプロ」など有名プレイヤーとのコラボレーションの記事なんかは、必ず多くの人に見てもらえます。
その分アクセス、再生数が多くて、守秘的価値のような、継続的な情報価値が見込めるコンテンツではない、という側面もあります。
良くも悪くも消費されやすいのです。
ただ瞬間的でもアクセスが欲しいとするなら大変魅力的なコンテンツで、だからnoteだけをずっと扱う人も出てくるわけです。
(コンテンツに困ったらnoteかYouTube、なんて人もいますよね。)
あなたがこれから構築関連で何らかのインフルエンサーになりたい場合、noteやYouTubeを一部でも取り入れるのが成功の近道になるのは間違いありません。
そういったインフルエンサー側、コンテンツ提供者側の都合というものも知っておくと良いでしょう。
ただ、はっきり言いますが、そういったサイトよりはるかに劣悪なサイトも多いです。
構築初心者を馬鹿にしたような、「自分でコンセプトが作れる人」である強者が使っても明らかにどうにも出来ない、コンセプトも情報も圧倒的に足りない「ただただ見栄えするだけのデッキ」を供給する媒体は多い。
だからそういう意味でも有料記事は「ある程度の計算が立つ」んです。
しかし本音を言わせてもらえば…元から趣味でカードを見ていて、カードブログを始めてからは死ぬほどカードを見ている身からすると
「noteでカードゲームがカンタンになる」…って、そんなわけないですからね。
「noteだけで大会に出る!」などという難しいことに挑戦されようという方は、ちょっと立ち止まってみてください。
繰り返しますが今のDMのnoteは、「小遣い稼ぎ」をコンセプトに掲げる媒体です。幅広い需要に応える必要がある媒体です。
「思考を磨きたい」とか「強くなりたい」とか、そういう需要にのみコミットした媒体では無い以上、noteの有料記事だけで全ての人をCS入賞者に出来るわけではありません。
インフルエンサーになりたいわけではないなら、目的と手段を取り違えて、「noteの使い方」を間違えてはいけません。
11「テンプレで良いじゃん?」
「新しい構築」には需要がある一方で、自分が新しいデッキを作るって結構「恥ずかしいことである」っていう風潮は根強くあります。
すぐ「テンプレで良いじゃん?」みたいなこと言われません?
同調圧力ってほどでもないとは思うんですが、プレイヤーにとってちょっとした呪いみたいになっている部分はあると思います。
そうでなくても、自分でデッキを作るなんて最初は誰だって怖いはずですよ。
でもテンプレだけでは強くなれない人は確実にいるし、そういう人の方が多いとすら思うので、そういう言葉に流されないで欲しいですね。
もしあなたがテンプレのデッキで心底満足している、とまでは行かなくても、特に不満でもないのに
「テンプレしか使えないなんて可哀想…」
「もっと楽しいデッキ使ったほうが良いよ?」
なんて言われたら、そんなデッキをシャカパチの道具としてしか使えない連中の言うことなんて全く気にしなくて良いのです。
ただ、テンプレで満足出来ないなら「テンプレで良いじゃん?」というその言葉に選択肢を奪われていないか、もう一度考える必要があるでしょう。
テンプレで入賞出来ない。
これってなんか悔しい。
テンプレで入賞出来る人に比べて損をしているみたいだ。
そう感じる人もいるでしょう。
でもテンプレで入賞出来ないくらいどうってことはありません。
世の中は選択肢で溢れています。
変なプライドだったり、「めんどくさい」というだけでその選択肢を見ようとしていなかったり、見えていないだけかもしれません。
最終的に自分が納得出来る、自信を持てるっていうことこそが大切です。
そこがゴールのはずです。
長々と失礼いたしました。
これから少しずつ自論を公開していく予定です。
まぁこれもどこぞのテンプレ記事なんですがね。
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