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窓を開けて、星空を見ながら寝る。

子供の頃は団地の3階に居たので、窓はいつも開け放していた。レースカーテンがなびく記憶が無いので、もしかしたらカーテンが無かったのかもしれない。

窓枠に切り取られた額のような夜空だった。
視点を下すと、遠くに高速道路の防音壁の向こう側を走る車のライトが高速で移動するのが見える。
暴走族が現れない限り静かな夜だった。

団地を引っ越してから暮らした家は、
カーテンを開けても、人の家が見えるだけで熱いような温いような風が入る。
引っ越しを繰り返したが、壁や屋根と変わりのない景色だった。

あの団地から37年経った今。また窓を開け放つ環境にいる。

この部屋で昼間は作業していて外を眺める時間はあまり無いが、
この夜の寝る前の時間は、必ずと言えるほど、あの窓を思い出す。

あの頃の方が星が多かったな。

今私は、あの団地の窓から見えた景色の中に住んでいる。
今もあの団地の窓からこちらを見ている人がいるのだろうか。

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眠れない夜に

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