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英語民間試験延期の問題は、試験よりも日本の英語教育の問題である

 荒川防火水槽研究会と申します。大学の #英語民間試験 延期の報道を見るにつけ、これは試験の問題というより、日本の #英語教育 の問題だ、との思いを改めて感じました。

 英語民間試験の導入の背景には、従来の「読む・聞く」だけでは足りないので「書く・話す」も試験に加えようとの発想があり、一見もっともらしい議論ですが、この議論には「言語を学ぶ自然の順番を無視している」という欠陥があります。


 私が毎日、超苦労してだましだましやってる「英語の #コミュニケーション 」も、小学校の2年半をアメリカで過ごしたうちの子供にはいとも簡単です。ここにヒントがあります。


 英語は、音の種類が日本語よりもはるかに多いです。私が数えただけでも250種類(英語では音は文字と1:1で対応していません)。この多数の音を50音だけの日本語で何とかしようというのは無理がある。つまり、「英語特有の音を聞き取る」という最初のハードルをどう乗り越えるかが最大のポイントなのです。だから「聞く」が最初に来るべき。

 子供は、50音にとらわれずに音を認識するので、250種類を聞き分けられるようになります。でも、大人は日本語の50音に毒されているので、英語にカナを振ることで、200もの音を聞き漏らしています。それでは会話が成立するはずがない。だから、一旦脳を"アンインストール"する必要があります。

 また、聞き取れる音は、練習すれば発音できます。口や舌の形がわかるから。従って、まず「聞く」があって、次に「話す」が来るわけです。

 この日本人にとっての「音のハードル」という存在を、日本の英語教育界は意識していません。手紙で海外とやり取りをしていた時代のまま「読む」偏重の教育を続けており音を全く教えない。結果として、日本の英語教育こそが、「根性」による学習と、英会話スクールという"情弱ビジネス"の存在を許しています。


 次に、「音を高速で聞く」ことが必要です。話し言葉のスピードを日本語に #逐語訳 していては、日常会話のスピードについていくのはまず無理。

 スピードに追いつくには、一度日本語に訳すのではなく、英語の概念のまま理解することが求められます。例えばorganicは直訳すれば有機ですが、この言葉は「植物が自然にわさわさ成長する様子」を表す言葉です。日本語に1:1で対応しているわけではない。

 早い音を聞き分けられれば、早く読むことができるようになります。だから「聞く」と「読む」はスピードという点で関連しています(なお、読むスピードより聞くスピードの方が早いので、「聞ける」ことは「読める」よりも多くの情報を得ることができます。その意味でも聞けることは大事)。


 冒頭、英語民間試験導入の目的として、「読む・聞く」だけでなく「書く・話す」能力を測ることがあると指摘しましたが、上記よりこの議論がいかに"雑"なのか、少しお分りいただけたと思います。英語民間試験に反対の立場の方も、有効な反論を出せてないことから、どっちもどっちという印象。

 ただ会社の若い方たちはみんな英語がお上手で、日本のダメな英語教育のハンデを自発的にやすやすと乗り越えているみたいなので、あまり心配しなくてもいいのかも。



 

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