「君も睡魔には勝てない」小心者育児日誌~新生児編④~

 夜中にゴキちゃんが出たらしく、妻はたいそうくたびれた様子だった。私はと言うと、爆睡していた(と、妻は言うが、私は覚えていない。覚えていないということは爆睡していたということだ)。ゴキちゃんまで出生を祝いに来たと言うならいらぬ迷惑だ。

 六時少し前に、起床。妻いわく、大将のうんちの音で起きたらしいのだが、今となってはまったく覚えていない。
 とにかく今日も暑いので、とっとと家事を済ます。扇風機の羽とガードは雑巾で拭くより水で流したほうが手っ取り早いんじゃないかと思い、シャワーで流し落とす。まあまあ上手くいった。
 ゴキがでたとのことなので、ゴキキャップを散布。今の所、歩いて落ちているものを口に入れる心配はいらないので、大丈夫だろう。あとで撤去し忘れないように注意したい。

 7時には朝食をとって、8時に朝ドラが始まったときには、すでに一日の過半が終わったような気さえした(錯覚だ)。

 夜中まで授乳をがんばってくれた妻が午前中は寝てもらって、私が家事とミルクを済ませる、というリズムが出てきた。
 私はミルクをあげるときに、YouTubeの講談をバックミュージックにかけていたのだが、教育上どうなんだ。生後2週間にして、任侠ものの講談を聴かされる大将の気分は、彼のみぞ知る。

 昨日、午前中寝ていた妻がおっぱいがはってしょうがないと言っていて、そろそろ余った母乳を冷蔵保管しておこうか、という話をする。ドラッグストアへ行ったら、母乳搾り器が数千円で売っていた。通算百回以上通っているドラッグストアに陳列されている商品で、知っている商品というのはごく一部だ。いろんな生活があり、いろんな商品が並べられている。

 大将がミルクを飲む量は、そのときになってみないとわからない。母乳がだいぶ出るようになったが、実際、需要と供給がどれくらい一致しているかは、大将の泣き声でしかわからないからだ。
 昨晩は、60mlつくったが、ほとんど口をつけなかった。
 今日の昼は、母乳をたっぷり飲み→ひゃっくりして目が覚める→もう一度母乳を飲ませる→私が寝かしつけそうとしたらまた泣き出すという感じだったので、40mlだけ用意したのだが、よっぽどお腹が空いていたのだろう、ものすごい勢いで飲みだした。
 で、あっという間に完飲。うひょおと感服すると同時に、これでまたミルクを作るのか、あるいは妻に母乳を飲ませてもらうしかないのか、とそわそわする。どうにかここで寝てくれってんで、抱っこしてゆらゆらするのだが、昨日までゆらゆらするとすんなり寝ていたのに、もうそんな子供だましは食わないらしい。寝てくれない。

 ついに、また爆発的に泣き出した。

 ああ、どうしようと思って、妻にヘルプを求めようと周囲を見回し、もう一度大将を見ると、もう泣いていない。というか寝ている。その間、わずか3秒。

 私は君には勝てないが、君も睡魔には勝てないのか。