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天窓の感嘆詞を抱えんとする伏目鱗


背骨を火照らせている黴臭い窓辺に
屑みたいに転がって 
つやつやと光を浴び
冗談すら言えない目つきをした工場の煙を崇高した
影法師と遊んでいるときに聞こえてくる声は翅みたいで
晴れながら雨ながら
性別のなかった声で反射している
さっきの小雨にぬれ 
眠ったり笑ったり 鏡にうつしだした指に湯気が溺れている


静けさのある身体とてのひらをわたす
海の砂漠で拾った石ころに
小指の影を照らす涙は消えることを厭わない光だった
道すがらの瑞々しい
抜け道に
確かに迷っている
ぎこちなくわずかな重力で
降りていく足先が触れ、られたらと
しっぽをくゆらせ
庭底に飛び交う
縁側にうつ伏せになる雲の風
幾度、無言を呟いたのかわかりきっている


・遮光の縁・




・・・・*・・・・*・・・・*・・・

こんにちは、お久しぶりです。
半月の体感でひと月が経過していました。最近は鮮やかな花々と青い芽吹きの勢いに面食らっています。10日ほど前、昨年と同じ場所で写真を撮っていたのですが、花びらは地面を覆うほどには散っておらず、隙間から新芽が生えていました。呼び名は変わらないのに、やはり同じ季節は二度とみられないようです。おそらくそこにあった三角石は向きは変わっていましたが変わらずそこにありました。扉の写真はそれとは異なりますが、そのとき撮った中の一枚です。八重咲きの桜が落花しており、風が強かったため、花吹雪にあたる散歩者たちはとても幻想的でした。

そして変わらずに本を読みました。
今月は続きものとされる多和田作品を読んでいます。『地球にちりばめられて』はすでに読了し、現在は『星に仄めかされて』を読んでいます。主に7人+αの登場人物たちの語りで物語は進んでいきます。ノルウェー、デンマーク、ドイツ、フランスなどを横断しており、車や列車に乗るシーンはこれまでの作品と重なる描写や雰囲気があって面白いです。
本だと日本語でしか描かれていないのに、吹き替えというよりも字幕的で、たえず言語や土地は越境に溢れているのだと感じます。

ほかにも、とても楽しみにしていた『大崎清夏詩集』、エッセイがまた読みたいなと思って借りた『秘密のおこない』、ウニマキZINEで購入した『路上の抵抗誌』を読んでいます。


ではでは、この辺で。
5月下旬にまたこちらでお会いしましょ〜

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