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読書記録『戦争と人類』

戦争の歴史を描いた本書。

戦争はこわいし嫌だ。
修学旅行でヒロシマに行ったときの衝撃は今でも忘れない。
子どもが戦場に行って戦って…なんて想像するのも嫌だ。けれど、現に世界では戦争が起きている。
だから、戦争ってナンダ?
それを、知ってみようと思いました。

本書によると、人間は、戦争を受け継いだ。
チンパンジーが戦争をしていたのだという。
有史以前からそして、有史以降も人間は戦争をしてきた。

そして、世界の歴史の中で、何十万、何百万人もの人が戦争で死亡し、都市が滅亡した。18世紀にはヨーロッパのほとんどの国で正規軍を創設していたのだという。
学生の頃に世界史で習った人物や都市の名前がたびたび登場したが、それは戦争の歴史に他ならないのだと感じた。

第一次世界大戦、第二次世界大戦後は大国間の戦争はこれまでにないほど長らく起こっていない。また、戦争を大問題だと捉えるようになった。
そこは、筆者と同じく、少し安堵した。

しかし、核の出現。核抑止力という考えに基づき、核保有国が増えた。もし大規模な核戦争が起こると「核の冬」という事態が予測される。

半年のあいだ、世界中が寒く、暗くなり、大量の放射線を浴びてすでに弱っている動物と植物が絶滅…
暗闇が晴れたのちには、紫外線、飢餓、病気によってさらに多くの者が犠牲となる。

本書より

軍人の話や、戦時の生々しい体験が本書の中で何度も出てくるが、戦争の有様はやはり読んでいるだけで精神的にきつい。少しホッとしたのは、軍人の多くが人を殺すことに嫌悪感を持っていることだった。
が、ドローンに始まり、今後兵器ロボットが出現するかもしれない未来には恐怖しかない。
また、気候変動が今後戦争を引き起こす可能性についても触れられているが、起こりうる未来だなと恐ろしくなった。

ただ、筆者はそれでも未来への希望を捨ててはいない。国際体系の中で、小さなステップをゆっくりと進め、互いの権利を尊重することを説く。

あとがきに書かれた、一文。

人類の文化が戦争ほど深く根付いた慣行でさえも、利益をもはや供しないのであれば、放棄するという希望

本書より

有史以前から戦争をし続けた人類だけれど、それでも一縷の希望が見え、そこを信じるしかないのだなと思った。

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