見出し画像

優先すること、諦めること

 ちょっとしたことではあるものの、自分を見つめ直すきっかけになった出来事をひとつ。

約束


 研修のために1週間ほど、普段働いている地方を離れて、中心街にある研修施設に行くことになったので、中心街に住んでいる仲のいい人と二人でお酒を飲む約束をした。
 でも、それからすぐ後に、もう何年も会っていない職場の同期達から、同じ日にちで飲み会に誘われた。
 その同期達は、新人研修生時代に同じ班員で、仲のいい人もいれば、正直そこまででもない人もいる。
 それでも一緒に研修をして、交流を持ったからこそ、会える時には会っておきたいと思ったし、この機会を逃したら、また次の機会はなかなか巡ってこないなと思って、日程調整に頭を悩ませた。
 結局、同期会の話を仲のいい人に話したら、わかってはいたけれど、「同期は大事です、私たちの方がいつでも会えると思うから」と日程を譲ってくれた。
 『わかってはいたけれど』というところがポイント。
 仲がいいからこそ、その人が譲ってくれるとわかっていて、同期会の話をした。
 最初は、同期会の話をするのは躊躇ったし、同期会はその人との飲み会が終わってから顔を出そうかなとか、その人の予定が大丈夫なら平日の研修後に行けないかなとか、でもその人とは時間が許す限り話したいなと思ったりして、ぐるぐるぐるぐるどうするか悩んで、話をすることに至るわけである。
 『わかっていた』だけに、その人は、平日の提案も、研修を終えて帰る日のランチも提案してくれた。
 平日の提案は、すごく助かる提案だったけど、翌日も仕事や研修があるから、ある程度早めに戻らなきゃいけないと思ったら、そっちに気が散っちゃうよな、その人の話もしっかり聞きたいよなとか考えて、平日はやめて、帰る日のランチをすることを約束したわけである。
 それでも、研修から地方に戻るのにそんなに遅くなるわけにはいかないから、午後2時の電車で地方に帰るという話をした。
 その人が「時間がないなら無理しないで」と言ってくれたので、相手を振り回しちゃったなと思って、「話が二転三転してすいません」と私が伝えて話は終わった。


研修中、立て続けに飲み会となる


 研修所では、いろんな種類の研修が行われているわけなので、大学時代の同期とか職場の同期とか後輩とか過去にお世話になった上司とか、思ったよりもたくさんの知り合いが同じタイミングで研修をしていた。
 そうなるともちろん、飲み会の話は降って湧いてくるわけで、平日の研修後、転勤前にお世話になった上司とたまたまいた同期と飲み会することになったわけである。
 時間がどうだとか気にしてたくせに、平日に別の人と飲みに行くことになっていることにモヤモヤすることになる。
 もちろん、お世話になった上司とは、「飲みに行こう」と話していても、過去一度も実現しなかったこともあり、初めてちゃんと飲み会をして、話ができて嬉しかった気持ちはある。
 たまたまいた同期とも久しぶりに話せたり、新人研修時代に実は悩んでいたことの話を聞いたりして、私自身もっと人を見ていろいろ気づかなければならなかったなと思ったりして、有意義だった。
 

違和感


 研修中、その仲のいい人は、研修所で働いているため、研修所内でも会えたりするわけだが、それでも新人研修中の人の目もあるし、その人も仕事中なのであんまり雑談はできない。
 そんな中、その人から「旅行のお土産を渡したい」と言われ、私は心の中で「ランチする日でいいのにな」とか思っていたが、その人のタイミングがあるのだろうと思って、言わないでいた。
 これが今回の失敗の一つだった。
 違和感を感じても、相手がいいならいいかと放置するところが私にはあると思った。
 違和感を解消することは体力を使う上に、失敗すると相手との関係が悪くなることもあると、無意識に感じているからだろう。
 それなら、自分がその違和感を見なかったことにすればいいと、思ってしまっている気がする。


問題発生


 研修後、同期会を終えて、少し酔っ払った状態で、翌日のランチの時間調整のために、相手と連絡を取った。
 すると相手から、「早く帰るからランチはできなくなったと思って、予定を入れてしまった」と返事が来た。
 私は、そんな誤解を生むような言い方をしただろうかと、自分のメッセージを読み返したら、
   相手              私
  「無理しないでくださいね」 ⇒ 「二転三転してごめんなさい」 
というやりとりになっていた。
 私は、短い時間になって申し訳ないし、予定がコロコロ変わってしまって申し訳ないという気持ちで送っていたが、この流れじゃそんなことは伝わらない。
 あれこれ悩んでたくせに、予定自体がなくなってしまった。


優先したいこと、諦めること


 私は、現実味を帯びてきた人との予定を自分から諦めることができない。
 時間的に、日程的に、どれかを諦めないと一人ではうまく回せないのに。
 優先したいものはどれか、そのために諦めなければいけないものはどれかを判断することが極めて苦手なんだろう。
 以前、占いをしてもらったときに言われたことがある。
 「あなたの喜びは、自分がしたことで人が喜んでくれることであって、自分が何をしたいのかわかっていない、もっと自分のしたいことを明確にしたほうがいい」
 これは本当にそうだなと思ったし、今回、それをちゃんと明確にしなかったから、何かうまくいかなかったんだろう。


仲がいい人にこそ言葉を尽くせ


 人との交流で、距離を置きたい人ほど、丁寧に対応して刺激しないようにする。
 逆に、人との交流をもって、相手のことを知って、慣れてきて、一緒にいるのが楽になって、大切だと思う反面、無意識に楽が前に出てしまうときがある。
 仲がいい人だからこそ、長くなっても話を聞いてくれるし、違和感を伝えられるはずなんだから、ごちゃごちゃ頭だけで考えないで、言葉を尽くすべきだよな。