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16の思いも天にのぼる②寿久(4)

それから一年後、寿久は大学受験の勉強をしながら、ホームページを作った。
 そのホームページでは、寿久の考えた詩や小説を載せている。
 初めは舌足らずを直すために小説を書き始めた。それから、どっぷりと小説の世界にはまってしまった。
 なるべく多くの人と話すことを心掛けているのだが、どうしても頭の中で話してから言葉を発してしまうので、会話の方は相変わらずの舌足らずのままだ。
 でも前よりは、ましになってきているので寿久は、満足している。
 それに文で自分の気持ちを書くとすらすら書けるようになった。
 今の楽しみは、自分のホームページに来てくれた人たちの感想を読むことだ。
 寿久も確実に前へと進んでいた。広が過ごせなかった分も一緒に、前へ進んでいた。
【友だち

友だちってなんだろう
 お互いに褒め合うやつ
 慣れ合うやつ
 分かったふりをし合うやつ
 それとも常に一緒にいるやつ
 俺はどれも違うと思う
 そりゃ十人十色考え方はみんな違う
 だからこの中にあるってやつもいるだろう
 俺は十六の時に本当の友だちを見つけた
 俺の欠点をさらりと指摘し
 自分の欠点もさらりと出してくる
 本当の気持ちをぶつけあえるやつ
 かけがえのない存在だと思わせてくるやつ
 いなくなって心に穴をあけるやつ
 全ての思い出が
 愛しいと思えるやつ
 俺の気持ちを丸裸にするやつ
 俺を無防備にするやつ
 たまに頭に来るけど
 大好きだって思えるやつ
 何年経っても頭から
 心からいなくならないやつ
 お前に会って本当にそう思えた
 だからありがとう
 おれの友だち            】
 
 ホームページの入り口にはこのような詩が載っている。
 寿久が最初に作った詩だから、決してうまいとは言えない詩。
 だけどそこで、今でも広は生きていて輝きを失っていなかった。

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