間。

「間とは魔である」とは誰の言葉だったか。

映画パルプフィクションに出てくるユマサーマンが挑発的なまなざしでこう言う。「この会話の間、どう思う?」

男の返答がどういうものだったかは忘れた。「嫌いじゃない」だったか。初対面の人との会話、気まずい沈黙というものがある。それが好きだ、という人はなかなかいないかもしれない。

色々な人のライブを見ると、なんとまぁ滑らかなMCを滑り込ませる人がいる。すごいなぁ、と思う。僕なんかは口下手だから、どうしても「間」ができてしまう。気まずい沈黙・・。

これを打破しようとあたふたすると実に不格好である。なので、ある日僕は打破しようとするのをやめてしまった。「間」は「間」のままでいい。

楽譜の中に「全休符」という記号がある。それは楽譜の中に組み込まれている。全くの沈黙。それも含めて「曲」なのだ。「曲」の途中で拍手をする人がたまにいるが、これはいただけない。

最近僕がライブをするときのお客さんは「間」を大事にしてくれている、と感じる。お客さんが大事にしてくれると僕も大事にできる。すると同じ方向を向くことができる(少なくとも僕はそう思っている)。

しかし困るのは、その分だけ次の曲への重圧がかかるということだ。受けて立とうじゃないか。人生をこれ以上ないほど切り取って作った歌だ。狡猾に作った時間をフル活用して練習した曲だ。

それでも、失敗する。でも次は最高のライブを見せる。

もちろん、「間」付きの。いや「魔」付きの。

次は木曜、下北沢の「アーチスト」で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?