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ゼロクーポン債と、債券投資先について

ゼロクーポン債、というのが存在します。
これは、債券のクーポン部分が存在しない債券のことです。
では、どこで利益を得るのか・・・?
本体価格にすべて反映されます。
例えば、利回り4%で償還まで20年、償還時100ドルのゼロクーポン債があったとします。
その債券の現在価格は、45.64ドルとなります。
45.64ドルに、1.04の20乗を掛け算すると、そうなるということです。
つまり、「20年後の100ドルを、今いくらで買うか?」ということになります。
その基準となる利回りは、現在の長期債だと4%程度になっております。

普通に20年間保有して、100ドル受け取ってもいいですが、20年だと株の方がいいと思います。
しかし、株式のような事業リスクなどを負わないとするなら、それほど悪くないリターンだと感じます。
とはいえ、僕が狙っているのは、こういうのではありません。
利下げがあるのではないか、ということです。
たぶん、数年もあれば利下げというのは十分起こりうると思っております。
リーマンショックみたいに、株価が暴落してしまえば、当然利下げして、緊急の金融緩和をせざるをえなくなります。
(ただ、FRBがいじっている金利は短期金利なので、長期金利はそれとは少し違う動きをする、というのはありえます)
コロナショックの時は、長期国債もゼロ近くまで下がりました。
そこまで極端ではなくとも、長期国債で2%程度というのは、十分あり得る話です。
ここで、2年間は4%で推移し(ここで残存期間18年)、その後2%まで利下げした場合、どうなるかを計算してみると・・・

4%で二年間経過→49.36ドル

そこで2%に利下げ→70.02ドル

つまり、2年後に2%に低下したとすると、45.64ドルで購入したゼロクーポン債が、70ドルになります。
おおよそ、2年で50%のリターンです。
これだけのリターンがあれば、インデックス投資のリターンをぶっちぎっています。
別に長期債で2%というのは、そこまであり得ない低利回りではなく、やや低い利回りという程度です。
金融緩和するときは、もっと下がることもあります。
先の例で1.5%だと、76.49ドルまで上昇します。
2.5%でも、64.12ドル程度になり、全然悪くないと思います。
つまり、金利×残存年数の複利リターンが、今の価格にダイレクトに反映される感じです。

仮に、利下げがなかったら・・・
さすがに、20年間もこの水準かこれ以上の金利が続くとは、到底思えません。
となると、どこかで利下げに転ずると思います。
そのタイミングが遅かったとしても、20年という償還期限の後半になるとは、到底思えないです。
ただ、いつになるか分からない、という点はありますが、最悪は、そのまま抱えておけば、損失を被ることにはならないと思います。

このような思惑で、現状、少しずつ買っている状況です。
ちなみに、これは現物のゼロクーポン債なので、ドルで買っております。
口座に余っているドル資金があったので、債券にも振り向けております。
つまり、このドル建て債券は、ドルで増やして、ドルのまま運用に回すので、為替については心配不要なものです。

仮に、目論見通り、数年くらい先に、金利の低下があるとします。
すると、今のドル高は、金利が原因なので、ドルは一気に安くなるでしょう。
僕らは日本人で、日本の証券会社を使っています。
ドル建ての米国債でも、為替を計算して、円建てで損益が判定されます。
つまり、45.64ドルで購入した債券が、2%まで利下げして70ドルになったとして、ドル建てだと24.36ドルの利益が出ます。
ここに税金がかかってくるのですが、円建てで145円→120円程度になっていたとすると、どうでしょうか、
最初の45.64ドルは、円建てに直すと6762.3円(1ドル=145円)になります。
売るときが70ドルで120円とすると、8400円になります。
ドル建てだと50%くらいのリターンがありましたが、円建てだと24.2%程度のリターンになります。
もし、もっと円高が急速に進めば、もっと円建てのリターンは圧縮されます。
それだけ、払う税金も安くなります。
もしこの時、株価も下落しているなら、まさに大チャンスです。
大きく増えた米ドルで、下落した株を買い増すことができます。
もちろん、こんな全部うまく行くとは到底思えませんが、債券投資だけで考えても、十分満足できるリターンでしょう。
さらに、利下げしているのだから、ドル円の為替も、円高に動くことは、ほぼほぼ想定できることだと思います。
(実際には、利下げを市場が予想して、実際に利下げする前に、為替相場はある程度は動くとは思いますが。)

さて、別にゼロクーポン債である必要はなく、4%の利回りの国債に投資すれば、利下げすると、債券価格は上昇します。
上昇の仕組みは、前の記事で説明した、利上げで債券価格が下がるのと、逆の方向に動くからですね。
クーポン付きだと、金利がある分、本体価格への変化は、マイルドになってしまいます。
やはり、ゼロクーポンだと将来の金利分も含めて、全部現在価格に乗っているので、一気に利益を得ることができます。
むろん、金利情勢が明らかに目論見から外れる、つまりこの場合だと、5%、6%と際限なく上昇していくと、この作戦は大損害を被ることに・・・
ただ、個人的予想でしかないですが、4.5%~4.75%、どんなに上がっても5%程度かな、と思っております。
理由は、前の記事でも書いた通り、米国の債券発行残高も莫大に増えており、そこまで金利上昇に耐えられないであろう、ということです。
4.5%なら、先の例での4%水準で買った45.64ドルの価格は、41.46ドルに低下します。
10%程度なら、耐えきれるでしょう。
個人的には、20%の損失が出ると、けっこう冷や冷やしてきます(笑)
5%になると、37.7ドルになり、けっこうギリギリのラインになります。
5.5%を超えると、敗北ということで、素直に20年間待ちます(笑)

ただ、20年利回りで5%を超えるか?と言われると、たぶん超えないと想定しています。
これは個人的な予想でしかないので、もちろん、この記事を信用して取引しても、何の責任も負えないことは、念押ししておきます。
ここで米ドルが新興国通貨並みに下落すれば、債券の利回りも上がっていくことになりますが、そうなるとリーマンショックなど生ぬるいような世界金融市場の終焉が見られるでしょう・・・(笑)
そもそもお金の価値が激減するのだから、意味不明なことになると思います。
恐らく、現金で持っていても、意味がないでしょう(笑)
これだけ国際通貨として流通している米ドルが、急激に紙切れになることも、可能性はゼロでないにせよ、そんなことばかり考えていたらゴールドにしか投資できなくなります。
やはり、ある程度のところで、想定しうる範囲を決めて、リスクを取っていくことしか、投資家にできることはないでしょう。
今回は大雑把な計算でしたが、おおよその目論見は伝わったかと思います。

ただ、この出口戦略の一番の問題点は、債券を売るときにかかる手数料なんですよね・・・
SBI証券だと、売るときに5%近く、持っていかれます。
ちなみに、満期償還だと単純に額面を受け取れます。
なので、途中売却前提だと、ちょっと出口の負担がきついな、という感じです。
狙い通りのリターンが出れば、すごい強いんですが・・・
こればかりは、やはり出たとこ勝負なので、何とも言えないですね・・・

ただ、債券価格というのは、金利だけで決まっています。
特に国債となると、通貨発行できる政府の信用リスクはゼロに限りなく近いので(唯一、先ほど述べた貨幣価値の崩壊だけがリスクか)、株式ほどの下落や信用リスクを背負う必要はありません。
今の株式市場は、底打ち派もいる中で、方向性が見えない状況です。
不況の足音も聞こえております。
不況がどれほどの規模になるかはわかりません。
個人的に、今の状況でリーマンショック級になる可能性は低いと考えています。
しかし、事態は急変することもありえます。
どこぞのおそロシアな独裁者が、核兵器を使うかもしれません。
金利の急激な上昇によって、僕らの知らない間に、何らかの経済システムの破壊が起きる可能性も、十分あり得ます。
中国の不動産バブルの崩壊の余波が、全世界に波及するかもしれません。
分からないからこそ、債券のように、リスクが限定された投資対象は十分魅力的だと感じます。
株式に対して、債券のクッション機能が、働く可能性もありえます。
このように、世の中のバランスが大きく崩れたところ、というのは、投資チャンスが転がっていることも多いです。
コロナショックなんてそうでしたね。

次回の記事では、またまた債券投資で、今度は日本のETFでできる債券投資、というテーマで行きたいと思っています。
個人的には、簡単に日本円で買える日本のETFでの投資が、一番手軽だと思っています。
それでは、次も市場で会えることを祈っております!

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