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リートは資産分散になりうるのか?(投資対象になるのか?)

前の記事で、「資産配分が重要」という記事を書きました。
今回は、「リートを資産分散に組み入れるべきか?」ということに焦点を絞って、書いていきたいと思います。

・リート不要論

「リートと株式の相関が高く、リートのリターンは株式より低い。よってリートは不要である」
こういう意見があり、確かに一利あるとも思います。
S&P500の中にも、少数ですがすでにリートがいくつか組み入れられております。
そうなると、本当にリートは不要なのか・・・?
いえ、リートは不要ではありません・・・!!
以下、それを説明していきます。

・リートのリターンはけっこう高い

リーマンショック時に破綻したリートがありました。
もちろん、価格は暴落・・・
では、それで終わったのか・・・?
リートの中身は、不動産です。つまり、リートが倒産しても、中身の不動産という資産が残っているため、それを買い取り、救済する他のリートに買収されました。
これにより、今はほとんど元の価格に戻っています。
もし、暴落時に買っていたら・・・
凄まじいリターンをたたき出しています。
リターンは切り取る期間次第ですが、時にはリートが株式を追い抜く時があります。


こちらは配当なしの比較です。青がリートです。配当なしだと株にけっこう負けてますが・・・


配当込み指数です。青がリートです


特に、配当込みのトータルで見ると、決してリターンが低いわけではない、というのが理解できると思います。

・結局は、株式と同じ動きをする

これも一理あるとは思います。
確かに、先のグラフでもトピックスとおおよそ似たような動きをしています。
しかし、ところどころに逆相関になっている個所もあります。
2016年ごろ。2018年~19年ごろ。
あとは最近の金利上昇によるリートの下落と、円安効果による株価上昇ですね。
資産配分で投資していれば、値動きが違うときにはリバランスが発生し、いい具合に売買できると思います。
つまり、資産分散効果は、時によって生じる、ということになります。
生じなくても、リターンがそこそこあるので、株式に追随してリターンを刻み続けてくれます。
個人的には、ある程度組み入れておいたほうがいいのではないか、と思えます。

・価格変動が激しい

これもそうなんですよね(笑)
いや、確かに、リート不要論にも納得できる理由はあり、だからこそ不要論が出てくるわけで・・・
価格変動の主原因としては、やはり金融機関が所有していて、似たような動きをするので、一気に動きやすい、ということでしょうか。
あまり個人投資家でもリートに投資する人はいません。ほとんど株式でしょう。
インデックス投資家の中でも、株式と、現金か債券くらいしか資対象になっていません。
つまり、リート投資家の多様性が、株式に比べると低い、ということです。
特にコロナショック時には、一気に値下がりし、株式以上に値下がりしたのは、投資家の記憶に新しいでしょう。
また、株式は急激に反発しましたが、リートは20年の秋くらいまでダラダラした値動きでした。
某高橋ダン氏も、そのときに「リートは嫌い!」という動画を出していたのを、鮮明に覚えています(笑)
動画の内容は、「株価は回復したのに、リート価格は回復していない、これはリスクが高い。さらにリートはリターンが株式より限られているので、あまり好きではない」というものでした。
結果は知っての通り、そこからリートも価格が上昇していきます。
このころから、逆神としての才能を開花させていたのかもしれない・・・(笑)
まあ、冗談は置いておいて・・・
何を言いたいかというと、価格変動が激しいのは、確かにデメリットなのですが、逆に利用できれば、メリットになりうる、ということです。
ピンポイントでタイミングを図らないといけないのでは?という疑問もあるかと思いますが、20年の秋くらいなら、そこまでピンポイントでなくても、リターンを取れると思います。
あとは、価格変動は激しいのですが、よく考えると、リートは不動産賃貸業です。
リートの営業利益というのは、ほとんどの銘柄でだいたい安定しています。
企業の営業利益よりも、リートの分配金は安定しています。
もちろん、株式のように連続増配や配当性向の引き上げなどによる、上振れ余地も限られていますが、それこそ「株とリートの違い」として、異なる資産クラスを組み合わせる意義になっていくと思います。

・リートの税制面のメリットを考えてみる

真っ先に思いつくのは、リートは法人税が免除されている、ということでしょうか。
最近は法人税の増税も議論されています。(支持率稼ぎのために、法人税減税も言い出しましたが・・・)
法人税が上がれば、我々投資家の取り分である「税引き後最終利益」が減ることになるので、株価も配当も打撃を受けます。
リートに、このような「法人税増税リスク」はありません。
しかし、配当には法人税がかかっているから、確定申告をすることで、最大7%まで税金を下げられます。
リートには、この権利はありません・・・
個人的には、株式をメインにしつつも、リートもいいものは個別に拾っていって、配当金と分配金でバランスを取り、増税リスクに備えていきたいと考えています。

・投資方法

リートを組み入れることに決めたとして、どういう投資方法があるのか・・・?
一番手軽なのは、リート指数に投資することで、結局はスリムシリーズの「国内リートインデックス」が、一番やりやすいでしょう。
今なら、リート指数に投資するだけで4%以上の利回りがあります。高配当株のリスクと比べると、低いリスクで利回りを得られるのでは、と思います。
投資信託なら100円以上1円単位で投資できるため、少額から投資しやすいですね。
個別リートもありますが、だいたい1口10万円以上からなので、少額ではやりづらいこと。
個別銘柄でリターンを出そうにもリート銘柄は60銘柄程度、さらにどれも不動産賃貸業なので、差が少なく、株式のように色んな投資チャンスがあるわけではないことから、リート指数への投資で十分だと思いますし、そちらをメインにした方がいいでしょう。
また、海外の不動産にも投資できます。スリムの「先進国リートインデックス」を買えばいいだけなので、非常に楽です。
自分自身の投資方針としては、リートインデックス投信を主力にしつつ、補完戦略になりそうな個別リートを拾っていく感じです。

・最大リスク

もちろん、地震でしょう(笑)
特に南海・東南海大地震は、専門家によると、いつ発生してもおかしくないらしいです。
発生した場合、東日本大震災レベルの地震が、東京、名古屋、大阪などの日本の主要都市圏で発生するみたいですね。
もちろん、保険である程度カバーしているだろうし、リートの物件は耐震性もあるとは思いますが、被害が発生するのは間違いないでしょう。
そこはもう、自然災害なのでしょうがないのですが・・・
それまでは投資比率を落とすか、投資しない、というのもいいですが、それだとあまりに保守的過ぎるような気がします。
破綻リスクもありますが、今はもう無理な資金調達や開発を行っていないので、自然災害以外では限りなく低いと思います。
さらにインデックスで分散していれば、破綻に関してはほぼ無視していいリスクでしょう。
あとは、金利上昇ですね。
日本でも金利が上昇しております。
こればかりは、どうしようもなく、将来の金利がどうなるのか、それが分かれば誰も苦労しないわけで・・・
ただ、リートの中身は不動産なわけで、今はインフレもしているので、理論上はインフレ分建物の価格は上昇していきます。(同じ建物を建てるのにも、原材料費の値段が上がっていたり、人件費が上がっているため)
「日本は人口減少しているのに、建物はいくらでも建てられるから、需給で価格崩壊するのでは?」という懸念も当然あるかと思います。
しかし、リートが保有しているのは、東京付近の不動産が多い。当然、「いい土地」は限られているので、そこに立つ建物の価値が暴落するというようなことは、よほど突発的なことがない限りは、ないと思います。
他の地域であっても、ちゃんと立地は検討して投資しているはずなので、そこまでの懸念は行き過ぎのように思えます。

・まとめ

結局、投資するかしないかは人それぞれ、ということになりますが・・・
やはり個人的には、ある程度の組み入れはしてもいいかな、と思い実際に投資しています。
また人によっては、リーマンショック時に破綻リートに投資して、見事リバウンドで一気に資産を増やした人もいるわけです。
これは完全に投機の話ですが、投資としてもリートを最初から切り捨ててしまうのは非常にもったいない、と感じます。
GPIFも取り入れていないし、リートを入れると資産構成が複雑になるのであまりやりたくない、という気持ちもわかるので、そういう人は無理にやらなくてもいいかな、と思います。
とはいえ、せいぜい「先進国株、新興国株、日本株、日本債券、先進国債券」の5つに、日本と先進国のリートが加わって7つになるだけなので、そこまで大変になるとも思えないですが・・・
株式部分をオルカンにしているなら、もっとシンプルですよね。
劇的なリターンを狙えるわけではないですが、PFで投資していくにあたって、リスク当たりのリターン、という点で効率を上昇させる効果は、あると思います。
投資する、しないは、結局は個人の自由です。
ただ、盲目的にリートを除外していたなら、一度検討してみてもいいのではないでしょうか。

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