狂気の軍師と燃える王都

「くはははははは! やはり、国が滅びる音は何度聞いても心地良い!」

軍師の女は煙管をくゆらせながら、満足そうに眼下を眺める。
血と臓物が焼ける臭い、阿鼻叫喚の悲鳴とモンスターどもの咆哮を聞いてなお、笑えるという事が理解できない。

俺はと言えば、昼間食べたパスタを城壁の上で戻している所だ。当然だろう。何千、下手すれば何万もの人間が目の前で虐殺されているのだ。
俺のせいで。
俺のせいで!

「どうした我が主、お前が望んだ事であろう?」

あぁ、望んだ。俺を殺そうとした王国に復讐がしたいと。このまま異世界で何も為さずに死ぬのはイヤだと。この世界でもクズみたいな人生のまま終わるのは御免だと。

目の前まで逃げてきた女が、ゴーレムに踏み潰される。死んだばかりの人間の臓器って、あったかいんだな。知りたくなかったよ、畜生!

「なに、案ずるな。全て小生が請け負ってやろう。最高に面白い人生になるぞ、我が主よ」

女軍師は自信満々に俺に宣言した。

【続く】

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