アニメや漫画の実写化が悪みたいな風潮に辟易するのは私だけなのかもしれない

なんかクソ面白くないラノベのタイトルみたいになってしまった。

最近、アニメや漫画の実写化が多い。直近のメジャーどころでは「ジョジョの奇妙な冒険」と「鋼の錬金術師」が控えている。
そういう風になってくるとまた実写化作品に対する風当たりが強くなるのが常で、ツイッターやまとめサイトではさんざっぱら罵詈雑言がぶつけられ、自分としては「はぁ…またか…」といった感じ。

まず、前提として間違っているのが、実写化作品が必ずしも駄作になる訳ではないということ。それは昨今のハリウッドを見れば一目瞭然だ。特にマーベルコミックスを原作とした実写化作品の出来はかなりのもので、各大手映画サイトの評価も4以上(或いは7以上)付いているものもあり、今最も商業的、かつ批評的にも一定以上の成績を収めている。BCコミックスの方はスーサイドスクワッドやバッドマンVSスーパーマンなどでは悪評が目立っているが、言うほど悪い出来の映画ではないと私は思っている。何よりBC勢には「ダークナイト」という歴史的大傑作の成功の余韻がまだ残っているため、まだまだ勝負には出られるだろう。

ではなぜ、日本のアニメ・漫画原作の実写映画が全体として評価が低く、興行収入も振るわないのか。
私が思うに、それはクリエイターとしての執念の差であり、日本の「一連の実写化映画」 を作っているクリエイター達にはそれがないのではないか。
極端な例だが、クリエイターの執念の集結とも言って然るべき映画はかの「パシフィック・リム」だ。これは何か特定のアニメ・漫画を原作とした実写映画ではないが、日本のロボットアニメや怪獣映画に頻出する要素を抽出し、それをとても高純度でアセンブルしているという意味で、最高の完成度だと思っている。それを成し遂げたのは生粋の日本オタクであるギレルモ・デル・トロという変態トトロ。彼は日本のあらゆるサブカルチャーへの愛と敬意を「パシフィック・リム」へ反映させている。それは細かなディテールへの作り込みから、外連味溢れるロボや怪獣の表現。ゲッターロボなどを彷彿とさせるほどの俳優の叫び…などなど。「アニメだからこそリアルに見える表現」というものを実写映画で実現させた例としてこれほど際立っている作品もないだろう。それほど、この映画を作ったクリエイター達の「再現してやろう、なんなら先達を超えてやろう」という尋常ならざる執念が透けて見えるようだ。

では、日本の実写化映画ではどうなのかというと、そのような執念は全く見えず、全てが適当に見えるような作品ばかり。上で書いたような、あらゆる点への相当高レベルな作り込みや、或いは原作に対する敬意や愛情が感じられない。理由は恐らく、原作やそういうジャンルのものが「わかっている人」が指揮をとらないから。プロダクションや配給会社が全て統括しているような、そういう安っぽい、そして薄っぺらくつまらない、情熱など微塵もないお役所仕事のような奴がお金の為だけに作ってしまうからではないか。

また、クリエイター陣だけでなく映画そのものにも原因はあると思う。それは映画としての画が驚く程安っぽいこと。画というのはそのままの意味で画面に映っているシーンだ。撮影機材か、照明が、それともセットやロケ場所が悪いのか、或いは撮影監督がマヌケなのかわからないが、もはや映画なのかと疑わざるを得ない画をしているのが、昨今のダメなタイプの実写化映画だと思う。その画の安っぽさといったら尋常ではなく、昼のドラマのように見える程だと私は思う。
(私は思うに、そもそも映画というのは画の質がある程度高ければ、脚本や演技がちぐはぐでも割と見ることが出来るものだ。例を挙げておくと「剱岳 天ノ記」。この作品は脚本や、此処の演出がなんだか圧倒的におかしいが、画のルックが尋常じゃないほど美しいため、「なんだかわかんないが…すごかった…」となる映画である。)

だが、そういう駄作が目立つ実写化作品が多数な中にも珠玉の名作が幾つかは存在することも此処で明言しておきたい。近年では「アイアムアヒーロー」「バクマン」「るろうに剣心」(これについては1作目以外は個人的には微妙です。)などなど。日本製の実写化映画、だからダメだという訳ではないということだ。これらの映画を作ったクリエイター達は原作に対する敬意を示し、原作ファンも満足させるように、かつ実写ならではのオリジナリティを醸し出す作品を見事に作り上げている。だから良い作品になるし、私たちも楽しむことができる。

残念なことに、今もアニメ・漫画原作の実写化映画に駄作が多いのは事実。

だが、それはクリエイター達(或いは配給会社やプロダクション)が悪いのであって、実写化という挑戦そのものが悪いという訳では全くないと常々思っている次第。
しかし今後もそのような体制が続くと「あー日本の実写化映画はダメだね」という考えが根付いてしまうだろう。
執念を持ち、信頼できるクリエイターに作らせていくこと、これが大事だと思う、私なのでした。

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