「空の極みへ」から生まれた小さなお話⑥
長い時間だったのか、ほんの数秒だったのか。
閃光が収まり目を開けた時、隣にいたはずの少年の姿はなかった。周りを見回しても、あの小さな背中はどこにもない。
ふと視線を夜空に向けると、やはり幼い少年はいなかった。
その代わり、人間で言えば17~18歳位の青年が逞しい背をこちらに向け、大きな翼をはためかせ宙に浮いていた。
何より目を奪われたのは、さっきまで隣で泣いていた竜人の皇子の背から生えた翼が、圧倒される程に紅く染まっている事だった。
「あれは……まさか赤竜!?」
漆黒の翼を持