ワクチン接種したで
そういえば先日ついにSARS-COV2のワクチンを接種したのである。
私の免疫力は最強なのでワクチンなど必要ないのだが、社会情勢を鑑みてやったんである。ワクチンでSARS-COV2という世界観が変わるとは思えないが、ワクチン接種が普及しない限りなにも前に進まないし、であるなら医療従事者は率先して接種するべきなんである。
Pfizer/Biontechのワクチンだ。とりあえず痛かったです。てゆうかまだ痛いです。もう1回しないといけないそうです。他の人に聞くとインフルエンザワクチンの比じゃない痛さだそうです。
安全性・有効性については既報のとおりである。New Englandに掲載された論文を読むのが面倒な人はこの忽那賢志先生のわかりやすい記事を読むといいだろう。
mRNAをワクチンにするというアイデアにはとても驚いたのだが、ずいぶん前から研究されている手法のようである。色々な分野に応用できるといいね。
RNAが自分のDNAに組み込まれるのじゃないかと心配している人もいるようだが、分子生物学の実験をしたことがある人はそんなことはまずおこらないと一瞬でわかるだろう。
そもそもRNAは非常に不安定なのだ。だからほとんどの生物は遺伝情報をDNAに保存しているし、mRNAのワクチンはマイナス80度のディープフリーザーに保管しないといけないし、コロナウイルスなどのRNAウイルスはすぐに変異するし、RNAをDNAにもどさないといけないRT-PCRは非常に感度の低い検査なのである。
ただし添加物もふくめてアナフィラキシーのリスクがないわけじゃない。上掲の忽那賢志先生の記事から引用。
実際にアナフィラキシー反応がどれくらいの頻度で起こるのかについてですが、アメリカで190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こった、とのことです。つまりおよそ10万人に1人にアナフィラキシー反応が起こる計算になります。
インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は「100万人に1人」程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言えるでしょう。
しかし、例えばペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こるのと比べると、決して頻度が高いわけではありません。
ペニシリンのアレルギー反応はよく知られていることからニュースにはなりませんが、新型コロナワクチンは世界中で注目されているため、どうしても目立ってしまいますが、冷静にリスクを評価する必要があります。
なお、この21人のアナフィラキシー反応を起こした方のうち17人はサルファ剤や卵などなんらかのアレルギーがあり、うち7人が過去にアナフィラキシーを起こしたことがあったそうです。
71%の人で接種15分以内、86%の人で接種30分以内にアナフィラキシー反応が出現しており、ワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見るようにしましょう。
なお、この21人のアナフィラキシー反応を起こした方々は皆さん退院されており、迅速に、適切に対応すれば命に関わることはほとんどありません。
これだけ安全なものにびびる人って、普段どんだけ低リスクな生活してるんだろうね。
歩道を歩くことすらリスク高すぎて不可能なんじゃなかろうか。車に轢かれるかもしれないし、Air pollutionで呼吸器疾患になるかもしれないし、謎のウイルスに感染するかもしれない。
もちろん社会からのプレッシャーによってワクチンを接種させられることで自由を侵害されたと感じるのは理解できなくもない。私だってそうしたプレッシャーがなければ接種しなかったかもしれない。
しかし公衆衛生というのは元々が個人の自由とは相性が悪いものだ。それでも公共の福祉のために強制されるものなのである。だから多くの人がアホくさいなあと思いながらも自粛したのである。
まあ日本は英米ほどコロナで人が死んでいないのだからワクチンなんて必要ないんじゃない?という意見は理解できなくもない。英米ほどワクチンのベネフィットがないのであれば、リスクの評価も変わってくる。でもそれなら自粛も必要ないという話になりかねないわけだが。
しかし陽気に感染しまくっている英米からいち早くワクチンが登場したことにはなにかしらのダイナミズムを感じずにはいられないのであった。
参考図書
峰宗太郎先生の図書なので信頼してよいでしょう。