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ポール・ブルーム『反共感論』読んだ

過剰な共感に対する批判の書であり、自分の関心と重なるところがあるので読んでみた。

なお訳者はジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』も手掛けている。

まず共感は情動的共感と認知的共感に分けられる。情動的共感は直感的、無意識的なもので、自分や身内、あるいはかわいそうランキングの高い個体に対して沸き起こるものである。

この種の共感は進化の観点から適合的であるが、世界がひとつに結ばれている現代では非常に危険である。インパクトのある映像とストーリーでかわいそうランキングの高い人が目に入ったならば、ついつい援助をしたくなる。世界中から不釣り合いなほどの寄付が集まるだろう。
そして目に入らない人々は無視される。たった一人に過剰な寄付をするくらいなら、他の困っている人たちにも分け与えるのが合理的だが、共感が重視される社会ではそうはならない。

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853字

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