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2023.9.28(木)晴れ UBER嘘日記

UBER6件配達。UBER週間30件クエスト獲得。menu2件配達。

 ピザとスイーツをそれぞれ別店舗からピックアップ。その二つをタワマンの最上階のお宅に配達した。ピザとスイーツを注文ということから察するに到着を待つお客さんのウキウキ感は半端なかろう。
 防災センターを経て着いたタワマン最上階は、防音性と地上からの遠さから完全な無音に包まれる。記憶によると、ここには前に来たことがある。

 インターホンを押す。「ありがとうございますウーバーイーツです」 住人が出てくる。「俺だあ。トー横の王だあ」 やっぱり。「出前館でアカウント停止を受けた気分はどおだあ?ウヒャヒャヒャヒャ」 王は大変ウキウキして俺を待っていた。

 俺は掌を合わせ腕を真っ直ぐ頭上に上げて、呪文を唱える。「オーロラ…」 凍気が丹田あたりから腕に上がってくる感じがする。出るのか?まさかまさか。振り付けの再現性に自信はあるが。「エクスキュー…」 俺はカミュの必殺技オーロラエクスキューションを出そうとしている。

 「待て待てそんなぶっそうなことをするんじゃない」 王は俺の動きを静止し、土下座することを提案した。「土下座をすれば出前館のアカウント停止を解除してやる」
 俺は一も二もなく土下座した。日本には土下座がある。膝を折り額を床に擦り付ければ全てがチャラになると言う日本が世界に誇るべき文化。俺はアカウントを回復し、王も満足そうで大変よかった。

 後でアプリを見てみると、アプリ内の俺の評価が96→97になった。王がグッドを押したからなのか、それはわからない。

つづく

この連載小説のまとめ 

 

この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。