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2023.10.12(Thu)Sunny UBER LIE DIARY

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 ニューヨークへ家族旅行に行った際、戯れにホテルでUBERアプリをオンした時のことだ。アプリは普通に動いて注文が入った。俺は「WAO」と驚き、即、注文をキャンセルした。あーびっくりした。
 しかし、しばらく考えて「これは挑戦だ」と受け止めた。俺はやおらスーツケース空にした。そしてその空になったスーツケースを抱えてホテルを出たのだった。次にレンタサイクルを借りる。この借り方はガイドブックで勉強済みだった。自転車カゴの上に空のスーツケースを乗せて出撃準備完了だ。

 改めてアプリをオン。今度も注文が入る。今度はWAOと言わない。Jesusと言う。LaysPizzaからだった。ピックアップに行くとLaysPizzaはピザ屋だった。おっかなびっくり店員さんに「アイムウーバー」と言う。店員さんから番号の確認があり商品が手渡された。おお、日本と一緒だ。俺は店を出てスーツケースにピザを入れる。

 さてさて、お店から受け取った商品をお客さんのお宅に配達するというのがUBER稼業。見事成功すればお慰み。

 アプリを見るとセントラルパーク脇にピンが立っている。建物名はDakota Apartmentsとある。…まさかね。このDakota Apartmentsが、俺の知っているダコタハウスならその昔ジョンレノンも住んでいた高級アパートとなるのだが、いやどうなんだろう。
 アプリの備考欄に記載がある。英語だ。読めません。翻訳ボタンがあるので押下する。商品は玄関の守衛に預けろとのこと。おおラッキー。部屋にお届けするよりだいぶ楽な配達なんじゃないの? ジョンレノンに会えるかな(会えません)。

 俺は自転車にまたがり八番街こと8thAvenueを2キロほど北上する。Dakota Apartmentsはそのまま8thAvenue沿いにあり、お城みたいな姿をもって俺の前に現れたた。多分…これ…ダコタハウスだな…。テレビで見たことがある。守衛さんも立っている。ジョンレノンは銃弾を受け、撃たれた撃たれたと言いながら守衛さんの腕に倒れこんだんだ。この守衛さんではないが。
 「アイムウーバー」俺は守衛さんに言った「ミスタースミスオーダー」。 守衛さんは手招きのような仕草をした。俺はそれを「注文画面を見せろ」の指示とイマジンし、スマホを前にかざした。「OK」 ピザは受け取られ配達は完了した。俺の頭にステージクリアのファンファーレが鳴る。

 俺は成し遂げた。アプリを見ると1件配達で3ドル入っていた。3ドル! こっちでもスリコかよ。しかし「コ」ではない。1ドルコインがあればそうなるのだが、アメリカで1ドルはコインではなく紙幣。よってスリ「コ」ではなくスリ…紙幣はビルなので、スリ「ビ」だ。俺はスリビをゲットした。

 俺の世界が広がった。UBERアプリさえスマホに入れておけば、俺は世界で生きていける。

つづく

この連載小説のまとめ 

 


この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。