【発達障害漫画家】親愛なる沖田×華先生へ
あなたは沖田×華(おきた・ばっか)という漫画家をご存知だろうか?
学習障害、ADHD、ASDのフルコンボを抱えながらも正看護師の資格を取得している。
さぞかし看護というお仕事に情熱があり、試行錯誤しながら大変なお仕事に従事されているのかと思いきや、割と早い段階で風俗嬢に転身されている。
で、ひょんなことから漫画を描いてみることになり、今では連載を複数かかえる人気作家さんだ。
「透明なゆりかご」はNHKでドラマ化もされた。
私は沖田先生ほど「チョロQ」みたいな人を見たことがない。いつも何かに激突している。何歳になられても激突している。いやもちろん、変わった部分とか、ご本人が工夫されていることもあり、昔は時速200kmくらいだったのが、今は時速130kmくらいになっている。でもやはり激突は激突なのだ。
そんな沖田先生の作品の中で、私が1番好きなのは「今日もやらかしてます」シリーズだ。
看護師時代の話から、自分で会社を起こすほどの人気作家となった最近の話まで、ありとあらゆる場面で、ありとあらゆるやらかしをやらかしてきた沖田先生の人生記録のような作品だ。
この作品で、私が1番衝撃を受けたのは「障害や精神疾患のことを、おもしろ明るく話してもいいんだ」ということだった。
何せこの作品が掲載されていた雑誌の名前が、
「本当にあった笑える話」なのだ。
笑える話を集めている雑誌で、一際ハイテンションで描写していたのが沖田先生だった。
リアルとコミカルのバランス感覚が天才的
先ほど沖田先生が、発達障害のフルコンボだと紹介したが、これだって沖田先生じゃなければ「フルコンボ」なんて書き方は躊躇うかもしれない。
太鼓の達人だったらフルコンボしたらもう一個追加されてしまうし。
沖田先生の過去は幼少期から相当なものがある。
癖が強過ぎるお父様を始めとする複雑な家庭環境だったり、理解のない先生から体罰を受けていたり、周りの子からいじめられたり…。
(この辺は「蜃気楼家族」もお読みいただきたい)
もちろんこの辺の話は真剣なトーンで描かれているが、すぐに「わぎゃーーー!」とか「いやーーー!」みたいなドタバタが始まり、どこかコミカルな雰囲気が漂い出す。
沖田先生は昔から漫画を勉強していたわけではなく、(私は下手だと思ってないが)ジャンルで言うなら「へたうま」なテイストの絵を描かれる。
それも相まってか、どんなに衝撃的な話も、どんなに重たい話も、読んでいて辛くなりにくい(ならないとは言ってない)。
失敗談も笑い話にしていいし、その失敗談の起因が発達障害や精神疾患から来ていても、明るく笑い飛ばすことで、その人が生きていけるならそれが何よりだと思った。
発達障害等の話は、慎重に丁寧に、全方向に配慮して…と思うあまり、結果的に物凄く暗くて重い話になってしまうことが私にはある。
沖田先生も、「はざまのコドモ」という知的ボーダーのお子さんを待つお母さんの話を漫画化した時など、人の体験を描く時は、バランスを非常に気にして描かれているように見受ける。
「誤解のないように」「伝わるように」「不安を煽るだけにならないように」「実情の大変さが薄れないように」
そのバランス感覚こそが沖田先生の強みのように思う。
終末期病棟のリアルを描く「お別れホスピタル」や、
特殊清掃の現場を描く「不浄を拭うひと」
など、
ちょっとでも扱い方を間違えたら大炎上しそうなテーマを、沖田先生は見事なバランス感覚でするりひらりと筆を舞わせている。
そんな天才的なバランス感覚で漫画を描けるのに、ご本人は「チョロQ」で、今日も元気よくどこかに激突しているであろうところが、沖田先生の魅力だ。
どかーんといって、「ワギャーーーー!」となって、「なにやってんですかー!!」と叫ぶ担当さんの声が愛しくなって、励まされて、生きる勇気をくれるのだ。
そんな沖田先生の魅力の集大成とも言える、「やらかし」シリーズの最終巻が出た!
何とこの最終巻を含む、沖田×華作品の数々がKindle Unlimitedで無料で読める。
サクサク読めるので、unlimitedを無料お試し出来る人は、お試し期間でだいたい制覇出来ると思う。
発達障害の症状は人によって様々だし、沖田先生は超複合型なので、全く同じというわけではないが、その分守備範囲が広いとも言える。
「それ!それそれ!私もなるなる!あるある!」と思う部分を漫画で説明してくれているので、家族や恋人や友人など、分かっていて欲しい人に、分かっていて欲しい症状を漫画で伝えられるのが何よりありがたい。
もちろん発達障害を知識として知っておきたいという人にもオススメする。
是非気になったものだけでもいいので一冊読んでみて欲しい。
天才的バランス感覚に感心するもよし。
失敗談も笑い話に出来る明るさに励まされるもよし。
「ああ…まだお酒飲むと、玄関で裸で寝るんですね…」とほっこりするもよし。
色んな側面を惜しげもなくクルクルと見せてくださるので、あなたなりの好きな部分や尊敬する部分が見つかるはずだ。
ご本人にお会いしたことはないが、沖田先生は「生きてる内に出会えて良かった人」の1人だ。
やらかしシリーズも一旦完結したが、また違う形で近況を作品にしてくれるとのことなので、これからも応援し続けたい。
そして私も、ハンドルがついてなくて、ブレーキもどっか行きがちな車に乗っている者として、反省したら笑い飛ばしていける強さを身につけて生きていきたいと思う。
沖田先生、本当にありがとうございます。
これからも応援しています。
では、またねー。
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