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#212 漫画論25|Jドリーム

先日1999年ワールドユースについて書きまして、その際にJドリーム飛翔編について触れましたが、そういえばJドリームについて紹介してなかったので、紹介しましょう。


Jドリームはオフサイドの塀内夏子先生がオフサイドの次に連載した作品で、当時開幕したJリーグをメインとするプロサッカー漫画だったんですが、早々に主人公の鷹が日本代表に入ったので日本代表漫画にシフトチェンジし、人気を得た漫画でしたね。
僕の周りも「シュート」か「Jドリーム」をみんな読んでましたね。
塀内先生は「男の哀愁」を描くのが非常に上手く、今作もかなり熱中して読みましたね。


Jドリーム あらすじ

Jドリームは「無印編」「飛翔編」「完全燃焼編」の3部構成となっております。

無印編

Jリーグ開幕前年の92年、プロ化に伴いかつての三菱から「浦和レッドダイヤモンズ」に名前が変わったチームのベテランエースの本橋の元に、16歳のテスト生・赤星鷹が現れます。
鷹は背も小さくフィジカルも弱く体力もないのですが、抜群なテクニックと勝負感、更にマリーシアを兼ね備えた天才少年で、レッズに入団し、サテライトで活躍してトップチームに昇格し、当時最強のヴェルディを倒す原動力となり、早々に日本代表に入ります。
そこで相棒のエース北村と共に、1994年アメリカW杯予選に出場してアメリカを目指すのですが、作中でもドーハの悲劇があり・・・
本家よろしく、W祝杯には出場できずに物語は終了。


飛翔編

そんな感じでアメリカW杯に行けなかった鷹ですが、作中ではまだまだ17歳とかそんな感じ。
ワールドユースの日本代表キャプテンとして、世界に挑みます。
(現実世界で言うと95年か97年ワールドユースとかその辺ですね)

エース迫丸、守備の要の立浪、GK浜本、そして快速の中居とオリジナルキャラも躍動し、トーナメント式のワールドユースにて初戦のスウェーデン、2回戦でウルグアイ、準決勝でアルゼンチンを下し、決勝はイタリア。
PKにまでもつれ込む接戦を制して、日本優勝!
飛翔編はシンプルで面白かったですね。


完全燃焼編

そして、ワールドユース優勝メンバーに、ドーハ組の北村や富永、嶋+新メンバーが加わった布陣でフランスW杯を目指します。
が、正直この辺であまり熱が冷めて・・・正直そんなディテールまでは覚えてないっす。
個人的には架空の国が出てきたことにリアリティを感じられなかったのと、あとは無印編の上條とか黒咲とかを出してほしいとか思ってたりでした。


Jドリームの魅力

とにかく人間ドラマですね。

1〜2巻の主役の本橋さんは怪我で、念願のJリーグそしてW杯目前に引退と言うエピソードで、マジで悲しいです(というか本橋さんが主役の漫画と誰もが思ってしまう演出)
北村は家が火事で全焼し、借金返済の為にサッカーで生計を立てるハングリー精神の塊。
富永や嶋も怪我と戦いながら夢のW杯を目指し、その中でベテランになって若手と競争する・・・とか、そして主人公の鷹も母親の面影を探して・・・とか、とにかくサッカー以外にも深いシーンが多々あります。

あと、この作者の良いところはサッカーの試合をそんな長く書かない所ですね笑


Jドリームの好きな試合 BEST10


10位 レッズ vs ヴェルディ(ナビスコ杯)|無印編

92年にJリーグ開幕前に行われたナビスコ杯、レッズは最終節まで決勝トーナメント進出できるかできないかの瀬戸際で、最強と言われていたヴェルディと対戦します。
敵は三船、松田、滝沢、柏谷etc…と、代表クラスの選手がゴロゴロいるんですけど、そんな相手に本橋さんの全盛期を彷彿させるインターセプトからのミドルで先制するも、本橋さんが滝沢と接触して途中交代・・・そこで代わった鷹が躍動します。
同点に追いつかれるも、ライン側から見事なロングシュートで勝ち越し。
そして上の絵のように、やばい局面でハンドしてピンチを防ぐんですが、その際に「(手を使わなきゃ防げなかったから手を使ってPKになったけど)PKだったらキーパーが止めてくれるかもしれないじゃないか!」と正論。
そしてこのPKを土田(なぜかレッズは全員実名だった)が止めて勝利。
鷹はデビュー戦を白星で飾ったんですね。


 9位 日本 vs UAE(アメリカW杯1次予選 アウェー)|無印編

そして鷹は速攻日本代表でも中心人物となり、アジア一次予選で現実同様UAEと対戦するんですが、UAEのGKの17歳が凄い。こいつは作中最強のGKでした笑
ホーム&アウェー形式で行われ、ホームはエースの北村がこのGKに臆してしまい0-0のスコアレスドローで終わったんですが、アウェーでは北村が躍動し、更に鷹の技ありシュートで2-1で勝利。
このGKのラビンはまた再登場して欲しかったですが、ここで消えてしまって悲しかったです。


 8位 レッズ vs ヴェルディ(Jリーグ93)|無印編

そして一時予選が終わって、93年にJリーグ開幕。
レッズは本家さながら負けまくるんですが、鷹にスイッチが入ったこのヴェルディ戦で4-3で全得点を鷹が決めるという無双っぷり。
韓国のエースのユンファもいい感じに試合を盛り上げ、熱い試合でしたね。


 7位 日本 vs サウジアラビア(アメリカW杯最終予選)|無印編

そして最終予選。日本はイランに2-0で勝利するも北朝鮮に0-1で敗れ、背水の陣で挑んだサウジ戦。
鷹のゴールと、覚醒した北村の2ゴールで3-2で辛勝。
この時のサウジは9番のエースのアル・ハリと、6番のシャリモフと言う選手がエグかったんですが、彼らも完全燃焼編には当たり前のように不出場!
そして、この試合(と言うか最終予選全部)は日本がアウェイの白ユニフォームを着てたんですが、サウジも白のユニフォームを着て、白vs白で試合してるのは流石に無いなと思ってました笑


 6位 日本 vs 韓国(アメリカW杯最終予選)|無印編

韓国は作中最大のライバルでしたね。とにかく強かった。
この試合も北村がハットを決め、そして鷹が決勝点のオーバーヘッドを決めて4-3で買ったんですが、洪明甫からインスパイアを受けたホン・ソンボと、前述のユンファに日本は苦しめられて苦しい試合でした。
あと、この試合では本郷と言うDFの要の選手の描写が泣けるんです。
そしてこの時点で日本代表は出場圏内にいたのですが・・・


 5位 日本 vs スウェーデン(ワールドユース 1回戦)|飛翔編

そして飛翔編に飛びますが、ワールドユース初戦の相手はスウェーデン
。FWにヨハン・ステファンスというなかなかエグいFWがいたんですが、対策をしていた立浪と浜本が完全に封じ込めて3-0で快勝。
ちなみにこの時期、少年マガジンでは「誰がゴールを決めるか」みたいなトトカルチョをやっていて、それもそれで面白かったですね。
(俺も勝手に予想していたけど1試合も当てられなかった気が)


 4位 日本 vs ウルグアイ(ワールドユース 準々決勝)|飛翔編

そして2回戦のウルグアイは、完全に日本を偵察しており、丸裸にされた日本代表は隙をついてやられてしまいます、が!
鷹と迫丸が決めて2-1で辛勝
そしてこの試合の裏では迫丸がお母さんの手術(?)が同時並行で動いており、そんな中でゴールを決める演出が憎かったですね。


 3位 日本 vs アルゼンチン(ワールドユース 準決勝)|飛翔編

そしてアルゼンチンには鷹の初めてのライバルのビーベこと、アンドレア・リナレス(だっけ?)と言うエースがいました。
このビーべも鷹に似て、小柄なんだけど技術力が高く、そしてマリーシアが上手なんです。
とにかく一進一退で楽しいゲームでしたね。
そしてこの試合はアルゼンチン留学をしていた浜本のドラマも見応えがありました。


 2位 日本 vs イタリア(ワールドユース 決勝)|飛翔編

そして決勝の相手は絶対王者のイタリアと対戦です。
イタリアはバランスが取れた好チームだったんですが、日本も負けていません。常に先制される苦しい展開でしたが、二度追いつくJAPAN。
そして死闘はPK戦にまで続き、最後は名手のヴェルデ相手に競り勝ち、優勝!
熱い試合でした!


 1位 日本 vs イラン(フランスW杯最終予選)|完全燃焼編

そして最後はこの試合でしょう。
シリーズ最終章にして、ジョホールバルの歓喜を再現させたこの試合。
イラン代表のエースは「日本は軍人(伊達)が1人、農民(北村)が1人、あとは子供だ」とか言っていた記憶しかないんですが笑
そして、あと印象に残っているのは勝利後にサポーターがみんな「W杯は夢だったんだ」と言って泣いているシーン。ここは込み上げるものがありました。
そして何故か本大会の描写は現実世界(3戦全敗で終了)になってしまったという笑


Jドリーム ベスト11

そんなJドリームの個人的ベスト11を紹介します。

  1 GK 富永 朗
  4 DF 立浪 誠
  6  DF 嶋 泰年
 14 DF 吉川 望
 15 DF 本郷 猛
  0 MF 赤星 鷹
  7 MF 迫丸 瞬
 10 MF 本橋 譲二
 11 FW 北村 大地
16 FW 中居 真
18 FW 伊達 勲

キーパーは浜本もいいけど、やはりベテランであり人間味のある富永。

DFは立浪と本郷でチャレンジ&カバーはいい感じにできる感じがします。
サイドバックは左は吉川で、嶋が絶対右もできるから嶋にやってもらいましょう。ちなみに嶋はサッカー漫画において初めてサイドバックでフォーカスされた貴重な存在です(もしくは俺フィーの槌矢?)

MFは守備的な位置には無印の2巻までで消えてしまった悲運の本橋さんにキッチリ守ってもらい、オフェンシブには迫丸と鷹で攻撃をデザイン。

FWはちょっとアンバランスですが中居はウイングで、伊達と北村はポジションを変えながらセンターかトップ脇を陣取るイメージですかね。


そんな感じでJドリームはまさに夢でした。
また塀内先生にはサッカー漫画描いて欲しいですね!

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