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ねじの話 「ドリルねじ」 vol.6

ドリルねじは 様々な取付部材 下地材 要件 に対応・適合するよう、頭部やねじ部、ドリル部にバラエティーがあります。Vol.6では代表的な 頭部の種類とその特徴をいくつかご紹介します。

ねじの話 「ドリルねじ」 vol.1 ドリルねじの特徴とトラブルのメカニズム
ねじの話 「ドリルねじ」 vol.2 「最大適応板厚」とは
ねじの話 「ドリルねじ」 vol.3 断熱材等を挟む場合 木質材の取付け
ねじの話 「ドリルねじ」 vol.4 「働き長さ」を考慮する
ねじの話 「ドリルねじ」 vol.5 形状と機能
ねじの話 「ドリルねじ」 vol.6 頭部の種類とその特徴 

ドリルねじの頭部形状の色々

締結する条件を満たすための様々な頭部形状があります。その一部をご紹介します。

六角・HEX

名前の通り頭部が六角形をしています。外部ドライブ(頭部外側にスパナやソケットなどの工具を掛けてねじ込む)なのでトルク(ねじを回すための力)伝達力が大きく、十字穴リセスで起きるカムアウトの心配がありません。大トルクの必要な太径ねじに適しています。


なべ

鍋をひっくり返したような頭部形状でドリルねじでは最も普及している形状です。ねじ込みのための駆動溝(リセス)は多くの場合十字穴が付いています。十字穴はカムアウト(ねじ込みの際に回転させるとドライバー先端が十字穴から浮き上がろうとする現象)が起きやすいので注意が必要です。6ロブ(トルクスとも呼ばれる)などカムアウトし難いリセス形状の物もあります。


取付部材にザグリ加工をして頭部を沈めて面一とすることができます。頭部の引っ掛かりを無く仕上げたい場合に用いられます。なべ頭同様リセスは十字穴が多いです。「フレキ」と呼ばれる頭部を取付部材に沈めるための突起が頭部の裏側に備わっているもあります。


丸皿

頭部上面の丸みのある山なりの部分以外を取付部材にザグリ加工をして沈めて使用します。丸みを帯びた滑らかな頭部は外観を美しく仕上げます。駆動溝は十字穴が一般的です。

トラス

ねじの頭部径が大きいため着座面が広く、押え力が大きくなります。また取付部材の先穴を大きくしても部材を押さえることが出来るので作業しやすいという利点があります。


シンワッシャー

ねじ頭部と平ワッシャーを一体化させています。広い着座面を持ちながらネジの頭部の高さが低いため、出っ張りがあまり目立ちません。取付部材を破損させない為に広い面で抑える必要のあるサイディングやスパンドレル(金属製の波板)の重ね部に使われます。

様々な場面で用いられるドリルねじそれぞれの特徴をとらえ、作業に最適なものを選ぶことが大切です。適切な形状を選んで「適応板厚」と「働き長さ」を確認することで下地材へ取付部材を確実に締結することが出来ます。


ドリルねじによる締結作業の基本

最後にドリルねじによる締結作業の基本について確認します。

① 締結材にねじを垂直になる様に位置決め
② 弱い力で押しあて低速でドライバーを始動
③ 徐々に回転を速め強い力で押しながら削孔
④ 穴が明いたら押し付ける力を弱め、ドライバー先端がリセスから離れないよう注意しつつ高速でねじ込み
⑤ 鋼鈑とねじの座面が密着した際の音を確認したらドライバーの回転を止め締結完了


ドリルねじの打込みには、通常クラッチ機構付きドリルねじ用電動ドライバーを使用します。ドリルねじを正しく選択しても、ねじを締め過ぎるならねじの頭とびや破断や空転、あるいは沈み過ぎなどのトラブルを生じますので、電動ドライバーのストッパー(深さ調整機構)を利用します。

インパクトドライバーを使用すると、ねじ部が固定に近い状態で頭部が強い回転と衝撃を受けます。過度の力が首下の最も細い谷部に集中し頭飛び(破断)を起こすリスクが増大しますのでお勧めできません。

締結作業の効率を劇的に向上させるドリルネジ。ドリルねじの特性を正しく理解して利便性を最大限に生かしましょう!

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