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踏み出す勇気ーファーストペンギン

五月病という言葉は、今も生きているのでしょうか。

新入生や新入社員が希望をもって、入学・入社をしてきたのに、その環境になじめず、こんなはずではなかったと疎外感や孤立感をもち、ストレスを感じ、それが生活そのものに大きな影響を与えることです。言葉で表すと、このような簡単な図式であるようにに見えますが、そこに至る経緯は、人それぞれであるし、複雑な要因が微妙に絡まり合っていると思います。

教師を続けていると、4月は、新入生だけでなく、クラス替えなどもあり、新たな人間関係を構築する過程で、苦しむ子を多く見ます。

私たち教師も同じであると思います。新たなクラスをもつとき、いつも、うまく経営ができるかなとか、子どもたちが自分になついてくれるかなと不安を抱いていました。順調な船出であったとしても、ある日突然、子どもたちが学校に来なくなったり、教室に入った瞬間に全員が背中を向けていたりするのではないかと思ってしまうこともありました。

教師になって、三回り目(三年間持ち上がりの三回目)のとき、入学式後のホームルームで、今まで抱えてきた不安を、すべて話しました。その学校で担任できる最後のクラスという思いがあったのかもしれません。特に、これまで、その学校で子どもたちと関わり失敗したこと、笑い話になるようなことをすべて話しました。

すると、子どもたちのこわばった顔から、笑顔が出てきて、場が和んでいくのが分かりました。これに味をしめ、オリエンテーション期間中のホームルームでは、子どもたちの自己紹介時に、これまでで一番恥ずかしかったこと、笑い話になるようなことを、話してみようということをしました。当然、私がまず第一号です。入学式では話しきれなかったことを伝えました。

子どもたちからも、面白い話が多く聞かれました。子どもの頃、回転ずしで食べ終わったお皿をレーンに戻してしまったこと、活発な性格で男の子をよく泣かしていたこと、など微笑ましい話を聴くことができ、クラスがまとまったと思えた瞬間でした。

これは、心理学でいうところの、自己開示であり、アイスブレークを伴ったエンカウンターでもあったと思います。

あなたがたは将来、どのような仕事に就くにしても、人と関わる、人とコミュニケーションをとらなくてはなりません。円滑なコミュニケーションを図るうえで、自己開示ということは大事な武器になると思います。

群れで生きているペンギンは、餌の魚を得るために海に飛び込みます。彼らが飛び込む海には、彼らを捕食する生き物、シャチやあざらしが待ち受けています。それでも、自分たちが生きるために彼らは飛び込みます。

そのような危険が待ち受ける海に、最初に飛び込むペンギンを、私たちはファーストペンギンと呼んでいます。

あなたも、より良い仲間を得るために、話すことができる範囲で良いので、自己開示をしてみませんか?それができるようになったとき、あなたは、ファーストペンギンです。



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