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ワークショップ第17回『複素数体手作り実習』【数学部】[20211115-1128]

皆さんこんにちは! 数学部部長のHirotoです.

今回のWSでは,「複素数を実数から構成する話」を扱いました.

内容の解説には「手書きorLaTeXの資料」+「Youtube講義動画(コミュニティ内のみの限定公開)」を用いました.

以下,その内容を皆さんと共有したいと思います.よろしくどーぞ.

Hiroto 
おはようございます!
数学部が2週間WSを担当します。よろしくお願いします!
○今回のテーマ:「複素数体手作り実習」
○形式:私が作成した動画やpdfをもとに、複素数の具体的構成法を眺める
○みなさんの心構え:前も述べたように、ここにはさまざまな数学的世界をもった方々がいます。そこで、今回のWSへの参画方針を習熟度別に示しておこうと思います。従う必要はないですが、参考にしてみてください。
①私は数学に触れたことがない!/数学が嫌いだ!内容に触れたくない!
→数学をやって目をキラキラさせている人たちを見て、何をそんなに熱弁することがあるのか、そのモチベーションを探ってみてください。一種の社会科見学のような気持ちでしょうか。内容ではなく、メタな視点で"人間"に疑問を投げかけていただければと思います。
②私は義務教育(中学)レベルは思い出せる!orおぼろげながら言われれば「あ〜」となる!
→義務教育では「実数」までしか取り扱いません。いわゆる数直線上の数が実数です。その世界では、「2乗して-1になる数」は存在しえません(考えてみてください!もし説明ができそうでしたら遠慮なく投下してみてください!)。今回は、そんな世界を飛び越えようとしているモチベーションを探ってみていただけると良いと思います。
③私は(現行過程の)高校の文系レベルの数学に触れている!(複素数の計算が朧げながら記憶にある)/理系レベルの数学に触れている!(複素数平面という概念の経験がある)
→高校では、「2乗して-1になる数をiとして、それを元手に計算する」ことを学びます。しかし、そのような禁忌と思えるようなことをして体系に綻びが生じてしまわないかどうかにはノータッチです。つまり複素数を"天(教科書という名の権威)から与えられている"ような形になってしまっています。今回の発表ではこの複素数を実数から手作りしたいと考えていますので、「存在しない数」と言われがちな複素数に現実感を持たせることができるかもしれません。それをモチベに聞いてみてください!質問大歓迎です!!!どんなに初歩的と思える質問でもここにいる誰も恥ずかしいとは思いません。ジェイラボはそのような空間であることを私は感じています。
④私は大学まで数学をやった!(抽象的代数構造に親しみがある)
→今回聞くべきことは後半のおまけステージである「四元数を発見する話」に絞られると思います。前半の複素数手作り部分は復習といいますか、やったことあるなぁ程度で思ったことを投下していただければと思います。後半の話は意外と知名度が少ない気がしているので、ぜひ聞いてみていただけると僕が喜びます。感想やご指摘などくれた日には昇天いたします。
上の指針に従って(従わなくても良いですが)、2週間楽しんでいければと思います!改めて、よろしくお願いいたします! 
Hiroto

上の習熟度区分①-④のどれに自分が属すると思いますか?
①    03
@YY 12, @Bungeee, @コバ
③    12
@けろたん, @こがわ, @YY 12, @ほうむたろう, @Tsubo, @イヤープラグさざなみ, @Shun, @野澤, @いいだ, @Yujin Yonehara, @Bungeee, @マッキー
④    5
@Hiroto, @蜆一朗, @Tsubo, @西住, @ていりふびに
どれにも属さない    0

Created by @Hiroto with /poll
Hiroto 
まずはじめに、指針の確認も兼ねまして、自身の数学的状況を投票してみてください。
投票数制限をかけていないため、二つ以上該当しそうな場合はそれら全てに入れてみてください。
Hiroto

数の実在感に関するアンケート
① 自然数は実在する(整数一般はそう言えない)    2
@YY 12, @野澤
② 整数は実在する(有理数一般はそう言えない)
③ 有理数は実在する(実数一般はそう言えない)    2
@Yujin Yonehara, @いいだ
④ 実数は実在する(複素数一般はそう言えない)    1
@こがわ
⑤ 複素数は実在する    3
@イヤープラグさざなみ, @蜆一朗, @Tsubo
⑥ どの数も実在しない    4
@西住, @けろたん, @Shun, @マッキー

Created by @Hiroto with /poll
Hiroto 
このアンケートにも答えてみてください.排反に分けたつもりなので,一人一票です.しかし尽くせてはいないと思うので,そういった方はコメントをくださると嬉しいです.(例えば「正の実数は全て実在するが,負の実数は実在しない」など)
以下補足です.
・数の体系は「自然数⊂整数⊂有理数⊂実数⊂複素数」と広がっていきます.
・自然数は「(0), 1, 2, …」のやつです.
・整数は「… -2, -1, 0, 1, 2, …」のやつです.
・有理数は「整数/(0でない)整数」で表せる数全体です.
・実数は「数直線上」の数全体です.
・複素数は「i^2=-1となる数を仮定したときの,a+bi(a,bは実数)」全体です.
・整数であって自然数でないものは「(0,) 負の整数」です.0を自然数に含めるかどうかは任せます.
・有理数であって整数でないものは特に呼び名はありません.「既約分数にしたときに分母が±1でないもの」とでも言えるでしょうか.
・実数であって有理数でないものは「無理数」です.(√2, π, …)
・複素数であって実数でないものは「虚数」です.(i, 2+3i, …) 

ていりふびに
遅れましたが、先日のアンケートの答えになります。
僕にとっての答えは「どの数も存在している」です。「実在」しているというよりは「存在」しているの方が感覚に近い気がします。
その上で、実数と虚数の区別は特にないですね。どれも同じように存在していると感じます。
Hiroto 
@ていりふびに ありがとうございます!
答えが特にある問いではないのですが、数学の高等教育を受けると扱う数全てに実在感を感じるようになってくることが多い気がします。
ただ初めからそうという人は少なそうです。虚数への絶大なる違和感をどこかで捨て去った瞬間があるはずで、それが皆さんどの段階で起こるのかに興味があります。
少なくとも僕は、具体的に構成するまでは複素数にはずっとハテナが付き纏っていました。ちゃんと根本から存在を認められたのは実は最近なのかもしれません。

けろたん 
「虚数は実在しない」 という主張には大抵は「自然数は存在するが」 という前置きが隠れている気がします。 (そして, 存在しないものを教えてなんになる, という教育論が続けられれていることも多いような。。。)
自然数の場合, 足したり, 引いたりという計算操作が人間の認知スペックからそこそこの訓練量で大抵の人には直感的に可能なので, 実在する具体的なものを1つ, 2つ, 3つ とかぞえるときに, 個数に対応する記号をもってこれるなにか, という意味での自然数の実在性なのだと思います。
この場合, 記号に対応する現実の状態がある(想像できる)ことを実在と言っていて, (大仰な言い方ですが, 記号がつかえる工学的応用例=実在でしょうか) 数学の専門用語としての(?) 実在 (論理構造の依存関係を整理して, あるルールをエラいルールの組み合わせで表現できる経路があること) とそもそも違う意味での実在観を持っているので, これをもって 「虚数は存在しない派」 を説得するのは難しそうな気がしました。

Hiroto 
@けろたん
なるほど!教育の観点から見るのも面白そうです。
虚数の工学的応用例としては「交流回路(のインピーダンスなど)」が思いついたのですが、これでは説得は難しそうですかね?実数範囲でもできると言えばできるので、説得としては弱いかもしれません。 

けろたん 
実在という言葉で指しているものが違うので, 説得がなにを意味しているかによると思います。
工学的道具として抽象概念(の体系)が有用で手に馴染むことと, 数学的に基礎づけられていることは本質的には別のことなので。
Hiroto 
まずはじめに、複素数を作る方法の一つ目を見ます。具体的には「R^2に積を入れる方法」です。
R^2とは「実数2つの組全体」のことです。ここには自然な成分ごとの和が入っています。しかし、ここに積を成分ごとに安直に定めると、「逆数が存在しない元」が出てきて都合が悪くなります。そこで、高校で習った複素数の天下り的な知識を元手に、R^2の中にいい感じの積を入れてみようではないか!というのがこの資料の内容です。
Hiroto 
返信欄の方で議論にもなっていますが、数の実在性について語る際には「何を基準に実在しているとするか」が肝です。
皆さんは"どのような基準で"アンケートに投票を行ないましたか?
一言とか感覚でもいいので、教えていただけると嬉しいです。

けろたん 
抽象概念の実在はモノが実在するような意味での実在ではない, として「どの数も実在しない」 に投票しました。
(モノの実在感にもいろいろあるのでなんとも難しいです。 例えば, 数学が人間によって物体を依り代として表現されるので, 我々が数学をするにはモノとしても実在せざるを得ない, とか。) 

Hiroto 
関連する話題として例えば、「正方形は存在するか」などが挙げられるかもしれません。作図可能性の話で言うなら、理想的な直線ですら作図することはできません(どうしても太さができてしまう)。しかし、「長さが作図ができるから√2などは存在する」といった立場も有力であろうとは思います。何をもって「現実に数が存在してる」といえるのか。認知科学的な興味深い問いだと思います。

Hiroto 
@けろたん たしかに「紙やデジタル的記録に残すことが数学」というメタな立場で見ると、数学として表出したものは全て"実在"しているといえるかもしれません。概念の実在とは何か。あまり大仰な話にはしたくないですが、哲学に一歩足を踏み入れざるをえない問いだと思います。

Bungeee 
私は投票できずにいました。数が存在するってどういうことなのかがわからなかったからです。言葉が存在するなら、どこかに実在するんじゃないの?と思いました。

Hiroto 
@Bungeee なるほど、率直なご意見ありがとうございます。
唐突に「実在」というワードを使うことで戸惑いを与える意図もありました。というよりも、一義的に意味を与えられる類の言葉ではないため、皆さんに違和感を抱いてもらいながら各々定義していただくことを狙いとして問いを投げさせていただきました。
巷では「虚数は存在しない数!」という言説が多く広まっています。この言説に関してはどのように思われますか?

Bungeee 
「虚数は存在しない数!」という言説は聞いたことがあります。私の率直な考えをいうと、そんなことを言い出したら、実数も存在しないかずなんじゃないの?何が違うの?って思ってしまうのです。数って存在する/しないの話に乗る次元のものではないんじゃないのかな、と。なんか気持ち悪いというかなんか背中がかゆいような気持ちです。そう定義する、そう表現します、とかそういう話なんじゃないのかなって思っています。

Hiroto 
@Bungeee 実数と複素数の間に横たわる(世間的な)大きな壁とは何なのでしょうかね、、。結局のところ「慣れ」でしかないのかもしれません。いつの日か小学校で当たり前に複素数をやるようになれば、当たり前のようにみんな虚数を受け入れるようになる可能性もあります。
「実在」という言葉がむずがゆいというご意見はごもっともだと思います。僕も全く同じように思います。

コバ 
私はアンケートに答えられずにいます。
というのも、「そもそも数って実在するの?」という疑問があるからです。
今私の目の前にはボールペンとメモ帳があります。
そこに「1」と書いてみます。(実際に書きました)
しかし、これを「1」が実在しているか、と言われると甚だ疑問です。
なぜなら、目の前にあるのは、インクがほんの少し乗った紙だからです。
そもそも「実在とは何か」という話になってくると思います。
その「インクがほんの少し乗った紙」を見て、確かに私は「1」を脳内に想起しています。
しかし、想起できれば「実在する」かと言われると、そうではないと思います。
例えば、私は「羽の生えた空飛ぶブタ」を想起することはできます。
しかし、そんなモノはこの世界に実在しません。
想起できたからといって、それが「実在する」とはならないようです。
以上のことから、「実在するとは何か」を定めないと、私はこのアンケートには現状、答えられないです。

Hiroto 
@コバ ご意見ありがとうございます!
今回のコバさんの意見は「数一般」に関するご意見だと思います。基準を定める必要があり、それが難しいというのは非常に共感できます。
それでは少し視点を変えて「1と-1と√3の実在性の違い」などに関してはいかがでしょうか。
抽象の視座では「数は実在する」か「数は実在しないか」のいずれかになりますが、その基準は考えてみると難しいものです。そこで、一旦具体的な数を考えてみるという回り道を提示させていただきました。もちろんこれも答えが唯一に決まる類のものではありませんが、抽象的なことを考える足掛かりになるかもしれません。

コバ 
そうですね!
まずは私も具体的な数から考えてみたいと思います。 

こがわ 
実数も虚数も存在はすると考えます。しかし実数は実在すると言えても虚数は実在するとは言いにくいと感じています。「りんごが1つ」など自然数の考え方を知り、分数の計算をして、という順に学習のなかで正負を問わず実数を扱ってきました。具体的な例をあげれば実数の説明はできる気がするため、実在感があります。虚数については理論的にきれいに作られているため存在はすると考えますが「1+2iを説明して」と言われると複素数平面を持ち出すしかないように思います。三次方程式の解を求めるときやものの回転などは虚数という概念があるから説明できているだけで、結局虚数は「そう考えると都合がいい」ように作られた数の印象をぬぐえません。

Hiroto 
@こがわ ご意見ありがとうございます!
実数と複素数の間の境界が言語化され、明確になった気がします。
ここからは僕がなんとなく最近思い始めたことなのですが、「2の3乗根(実数のもの)」と「虚数単位i」を受け入れる際に生じる心理障壁の差に非常に興味があります。
○代数的には、、
・「2の3乗根」:x^3-2=0の実数解を"あると信じて"導入した数。
・「虚数単位」:x^2+1=0の解を"あると信じて"導入した数。
○図形的には、、
・「2の3乗根」:直線や曲線は連続であること(中間値の定理)をあくまでも高校範囲では"信じて"存在を認める。実数の積は一方を1とみなしたときのもう一方の場所を示す。
・「虚数単位」:直線上の点を数と認めたのなら、平面上の点も数と認めて良いだろう。複素数の積は一方を1とみなしたときのもう一方の場所を示す。
「2の3乗根」に関しては、代数的にはムリやりぽいけどもなんとか数直線に隙間がないことや小数展開が収束することを信じることで受け入れられていて、「虚数単位」に関しては、代数的にはムリやりぽいまま(数IIの範囲では)そのまま突き進むことで拒否反応が生まれている。比較をするとこんな感じなんじゃないかと思います。つまり、(高校範囲では)代数的なムリやり処理を我々は図形に頼って受け入れている。よって、複素数平面の導入によって救われる民は数多くいるのではないでしょうか。数Ⅱで複素数平面がカットされていることに問題の一端を見ました。個人の感想です。 

Tsubo
投票する際は「電気とかフーリエ変換とかで使うと便利だし複素数は実在してるやろ!」って適当に入れたのですが,言われてみれば数や数学的な概念の「実在」ってどういう基準で言えばいいのかよく分からなくなってきました.ただ波といった現実ではありふれたもの,つまり物理的な存在を観測,解析する際に複素数はどうしても現れてくるので,たまたま人間の感覚器官が複素数の実感が持てないように設計されてしまっているという印象がします.

Hiroto 
@Tsubo ご意見ありがとうございます!
僕も数の「実在」なんてものはよくわかっていません笑。決着もつける気はないです。ただ、皆さん各々の「実在に関する感覚」が聞けて、とても面白く感じています。
複素数が自然科学に"どうしても"現れてしまうという感覚を、物理や化学の人は程度問題こそあれ体得しているようなイメージがあります。
感覚器官が複素数の実感を持てないように設計されている、というのは半分同感です。つまり、代数的側面(i^2=-1)に関しては今までの実数までのアナロジー(順序など)が使えないため、脳や身体が一旦拒絶反応を起こすのは理解できます。しかし、図形的見方も援用するならば「平面の実在を認めることと複素数の実在を認めることは同義」だとも思うのです。おそらく平面(R^2)に関しては異議を申し立てないのに複素数に関しては異議を申し立てるという人が非常に多いのではないかと思いますが、端的に指導法の問題なのではという気がしてきています。ただ実用で言えば、複素数平面を教え込むよりも計算手順だけ教え込んだ方が圧倒的に速い、と。最適な教育とは何なのでしょうか(ハイパー脱線)。

Tsubo
この世の中には「複素ニューラルネットワーク」なるものも存在するらしいので,もしかしたら人間のハードウェアレベルなら複素数とも親しいのかもしれません(笑)https://www2.rikkyo.ac.jp/web/tnitta/jCNN.html

Hiroto 
専門外なので分からない点も多々ありますが、「複素ニューラルネットワーク」すごく面白そうです!ありがとうございます!
Hiroto
複素数を作る方法二つ目「実数係数多項式をmod(X^2+1)で捉える方法」です。
高校では、多項式の割り算や整数の合同を学習しました。ここでは多項式にも同様に合同概念を導入し、mod(X^2+1)で考えてみます。そうすると明らかにX^2+1は0と一致し、「X」という元は「2乗したら-1になる数」になっています。このようにして、R^2にいい感じの積を入れるよりも「2乗して-1になる数作りたい!」という欲求そのままに複素数を構成することができます。少し高等テクニックですが、例も交えて解説しているため、ぜひご覧ください。動画では詳しく説明しているので、詰まったところがあれば該当箇所を見てみてください。
蜆一朗 
所長の初見入試チャレンジ (2019 年か 2020 年の東北大だったと思う) でもこのことを背景に持つ問題が登場してました!Z/nZ という集合の代数構造は、学部生レベルの代数学でよく登場しますし、高校生にもわかる表現で書き直して高校数学の範疇に落としやすい題材です

Hiroto 
なるほど!その動画は見ていないので後ほど見てみたいと思います。
整数の合同などの概念が「イデアル」「剰余環」という言葉を用いて統一的に見れることは、学びたての頃かなり興奮しました。
僕が環論の入門を人に教えるとしたなら、間違いなく初等整数論を例にして始めると思います。
Hiroto
また、積を図形的に捉える話ですが、3次元空間に積をうまく入れられない話もこれで初等的には説明できそうです。
iを(0,1,0), jを(0,0,1)として積を先のように入れることを考えます。
(1+i)×jを考えるときに問題が生じます。1からみたjの位置を、1+iを新たに1と捉えて実現しようと思ったときに、一体どの平面上で90°回せば良いのかわからなくなります。
空間にしてしまったことで回転による不定性が生じてしまう。
→平面上ならその不定性が生じないため積が入れられる。
→その"結果"が回転を表している。
こんな流れでしょうか。私も今初めて考えた話ですが、割といい説明だと思います。
ていりふびに 
複素数を分かりずらく感じる一つの理由として「和と積を両立する順序がない」というのがあると思います。複素数以外の数をどう教わってきたかを思い出すと、自然数を起点にしてそこからの大小関係で学んでいる面があります。例えば1/2は1の半分などです。
結局は直線と平面の違いをあげているのと同じですが、複素数を平面として捉えないで違和感を言葉にすると「順序」がでてきました。

Hiroto 
「順序体にできない」という性質は確かにかなり本質的かもしれません。
我々が「直観」を発揮するとき、「順序」と「距離(位相的性質)」にほぼ全てを託していて、代数的な性質は少し論理度が高いような気がします。
認知科学的問いを各々の人の認知様式から捉えていく試みが想定外に面白くて楽しいです。
Hiroto
代数学の基本定理に関するPDFです。
位置付けとしては、のちの「フロベニウスの定理」への布石なのですが、高校で証明抜きで使っていた代数学の基本定理の証明に触れるという意味では、単体でも読む価値はあるかと思います。
いくつか高校範囲では知らない仮定を置いていますが、そこも含めて言語化していますので、ぜひご一読ください!
Hiroto

代数学の基本定理について
① 主張を知らない    9
@いんげん侍, @西住, @いいだ, @YY 12, @野澤, @こがわ, @コバ, @Bungeee, @Shun
② 主張を知っているが証明は見たことない    2
@Yujin Yonehara, @けろたん
③ 証明を一つだけ知っている    3
@yuuma, @Tsubo, @ていりふびに
④ 証明を二つ以上知っている    2
@Hiroto, @蜆一朗

Created by @Hiroto with /poll
Hiroto
これは本当にただの市場調査です笑。
素直な状況をお聞かせいただければと思います。
「証明を知っている」は見たことある程度で大丈夫です。自力で再現できるところまでは意図として問うていません。
Hiroto 
代数学の基本定理の主張は、
「複素係数の1次以上の多項式は、何かしらの複素数を代入したら0になる」というものです。
これがなぜ特別な主張なのかわかりますでしょうか。「複素」と書いてある部分を「実」にとりかえると、この主張は成り立たなくなります。(例としてx^2+1を考えてみてください。)
「代数学の基本定理を成り立たせる」ことが、複素数などというよく分からん数を導入する一つのモチベーションになっています。
Hiroto 
https://drive.google.com/file/d/1SmbtVHyEsUZxPv6giBoU18vjgevVIwOT/view?usp=drivesdk
ちょいちょい誤植あるので、注意してください。後で訂正します。 
おまけという名の大詰め、「代数学のフロベニウスの定理」の資料です。
ていりふびに 
4元数は今回のWSで初めて学びましたが複素数と同じように存在感がありました。代数学はこれまでほとんど勉強しませんでしたが、他分野の数学を学ぶなかで構造さえ定まっていれば体感として違和感はないようです。
個人的に興味深かったのは拡張した定理でも次元の偶奇が定まっていることです。次元が3になるような条件を考えると、代数的に取り扱いにくくなるのかなと思います。(予想)

Hiroto 
https://www.ams.org/journals/bull/1958-64-03/S0002-9904-1958-10166-4/S0002-9904-1958-10166-4.pdf
この論文を参考にしましたが、どうやら「2^n」の形であることが本質的なようです。そうすると1を例外処理しなくて済みますし、統一的な解釈なのかなとも思います。
この論文の内容はほぼ僕は理解できていない(つまりホモトピーの話がよくわかっていない)ので、理解できるように精進したいです。
Hiroto 
四元数(複素数)の発見に関するストーリーをざっとまとめます.
・複素数が実数の拡張であることは納得できそう.
・それでは複素数の他に実数の拡張概念はないのか?複素数の“特別性“を確かめたい!
◎(代数学のフロベニウスの定理の主張)いい感じの実数の拡張(積の可換性は保証しない)は複素数とよくわからん四次元のやつのみである!!!!!!!
 ・積の可換性も加えると実数の拡張は複素数のみ!!!複素数は特別だった!!
◎よくわからん四次元のやつのことを四元数と呼ぼう!!!三元数とかはありえない!!

四元数は天下り的に与えられることの多い数なのですが,このようにしっかり特別性を持った数であることが少しでも伝わればいいなと思います!
Hiroto 
少々認知科学的な(哲学的な?)議論が盛り上がりましたが,「数をどう認識しているか」という問は最低限算数をやっていれば参加できる話題でしたので,様々な意見が聞けてとても参考になりました.
このような話を膨らませるのがやはり面白そうなので,前々から計画しているように「数学の認知科学/G. レイコフ」を哲学部さんと共同で読むWSができればいいなとぼんやり考えています!まだ私は読み切れていませんが,よりメタで人間的な数学の話ができそうでワクワクしています.ぜひご期待ください.
次回のWSはこれまでコツコツと積み上げてきた「線型代数入門/斎藤正彦」輪読会のログを皆さんと共有するつもりです.数学的内容だけでなくメタな意味でどのように線型代数が重要なのかといった話もするつもりなので,こちらもぜひご期待ください.
2週間お付き合いいただきありがとうございました!また次のWSでお会いしましょう!
こがわ 
遅くなりましたがすべての動画を視聴しました。理解できたかと問われるとそこは厳しいのですが、少なくとも興味深かったとは回答できます。群環体については何もわかりませんが(教養数学の範囲ではなかった)、高校までの範囲で可換な数の基本的な計算や処理はマスターできるはずということなのでしょうか?そうならば、応用上使うかどうかとは関係なく、複素数まで含めて可換な数の「存在」を実感できるような学習指導要領の方がいいのかなと思いました。ナベアツは四元数の存在を一般市民に知らせようとしていた…?この発表のためにかけた時間と労力を考えると頭が下がります。ありがとうございました。
ちなみにこういった理学系の論文のデータベースにはどのようなものがあるのでしょうか。生命科学系ではPubMedが有名で、研究でも仕事でもよく使っていました。

Hiroto 
動画全部見てくださったの本当に嬉しいです!!!!!!!半ば自己満足で作ったところもあるのでお見苦しい箇所だらけだったと思います.もっと動画スキルを向上させていきたいです.
群環体の定義自体は小学生でも理解できるはずです.したがって,無理のない範囲で指導要領を変えていくことも可能ではあると思います.しかしやはり実用性という点でこれは採用されないとも思います.「実数は存在するけど虚数は存在しない」という言説は消えないのでしょう...悲しいです.
論文データベースは正直私も詳しくないので逆に教えていただきたいです笑 Google scholarゴリ押しで今回の論文は見つけました.


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